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宅内工事の話
私の家はお世辞にも綺麗とは言えない激安アパート。
築年数結構いってるし、駅から遠いし、壁薄いけど立地で考えるとめちゃくちゃ破格の物件らしい。
友達とかに話すと、「その土地でその家賃?!」と必ず驚かれる。
しかも最近ようやくアパートの中にWiFiが通る事になった。
宅内工事が必要だが、これからは無料でWiFiが使い放題なのだ。
コスパは非常に良いがやはり安いだけあって、生活するうえで欠陥部分はちらほらある。
その中でもなんと最近、お風呂場で雨漏りしている事が発覚した。
これは結構ショックだった。
前から水周り弱いなとは思っていたが、まさか雨漏りしていたとは。
しかも私の部屋の上にも部屋があるはずだから恐らくその部屋の水…?生活排水…?おえ〜
などと考え込んでいた。
管理会社に電話をし、業者さんに現場確認して貰う流れに。
それと同じタイミングで新しく通る事になったWiFiの宅内工事の日程調整も進められた。
私の部屋は他とは間取りが違うらしく、お風呂場近くを点検するとの事。
仕事の都合などもあり、結局相談し始めてから数ヵ月後にやっと各々の工事日程が決まった。
そして先日、カレンダーアプリから「明日は『宅内工事』です」という通知がきた。
めちゃくちゃ忙しい時期だったから工事とかすっかり忘れていた。
少し部屋を片付けて、業者さんを迎え入れる準備をしたところでふと思った。
雨漏りの点検かWiFiの工事か、どっちだ───?
カレンダーアプリの詳細を見ても、大雑把な私らしく「宅内工事」としか書いていない。
どちらの工事も作業箇所はお風呂場。
というかなんでWiFiの配線がお風呂場なんだよ。
結局どっちの工事なのか分かっていないまま業者を迎え撃つ。
予想以上にムキムキの男性が来たので、「どうしよう。この状況、何かあったら犯される…」などと被害妄想を膨らませていたが、業者さんはめちゃくちゃ愛想が良く非常にテキパキ動いてくれた。
作業しながら「ここ、こうなってるから○○なんですよね〜」と、聞いても理解できない私に懇切丁寧に説明してくれた。
話を聞いてもさっぱり分からないからWiFiの事なのか、雨漏りの事なのか探れない。
まるでアンジャッシュのすれ違いコントの様な体験をし、2時間ほどで工事が終わった。
「また何かあったら呼んでください!」と非常に爽やかな挨拶をされたが、私はあなたが何の業者なのか全く分かっていません。
それ以降私の部屋では、新しいWiFiの電波は検知されないし雨漏りも直っていない。
結局あの人が何の業者で2時間近く何をしていたのかも分かっていない。
私にはもう何も分からない。