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髪と漢方の関係②「髪のトラブル」

以前のコラムでは、五行から見た髪と漢方の関係についてお話ししました。
今回は、髪のトラブルと漢方の関係についてお話ししたいと思います。

気・血・水

漢方には、私たちの身体を生理的にみる上で重要な「気(き)」・「血(けつ)」・「水(すい)」という要素があります。

気血水

「気」は私たちの生命力の源となる、いわゆる「免疫力」「自然治癒力」のようなもの。身体を動かし、食べ物から得た栄養を全身に巡らせるにはこの「気」が必要です。

「血」は、いわゆる血液というだけでなく、身体を巡る栄養のようなものとも定義されます。

「水」は、私たちの体内を巡る体液のことを示します。水の巡りが滞るとむくみや消化不良が起こりやすくなります。
これら「気・血・水」のどれもが不足したり巡りが悪くなると、何らかのトラブルの原因となり得ますので、私たちの日々の健康には、いずれもがバランスよく循環していることが理想的です。

「血」を補い、巡らせる

漢方では、髪の毛は血餘(ちあまり・けつよ)と呼ばれており、「血」と密接なかかわりがあります。

血が不足するとどうなるのでしょう。体の末端まで血が行き届かないため、めまい、目のかすみ、爪が割れやすいといったことが起こりやすくなるとされ、同じように髪にも血が行き渡らずに、切れ毛や乾燥など、元気がない状態を引き起こすと考えられています。

血の巡りがうまくいかない場合も同じです。髪の根元につながる毛細血管にまで栄養が届かないため、抜け毛などの症状が出てくることがあります。

また女性は月経や妊娠・出産で血が大変重要となりますし、婦人科系の様々なトラブルは、血と関わっていることが多いです。

髪を含めた美と健康を考える上で、血を補い、また巡らせることは大変重要です。
貧血対策として鉄剤のサプリメントなどもありますが、まずは日々のお食事面で血を補い、かつ、滞りが気になる方は併せて巡らせるようにしましょう。

下の表に血を補う・血を巡らせる食材をまとめました。
参考にしてみてください。

補血&理血食材


「熱」と「湿気」を体から取り除く

その他にも、地肌や髪のベタつきが気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。この症状を漢方では、体内に熱と湿気がこもって排出できていない状態と捉えます。
身体に熱がこもっていると、火照り、イライラ、頭痛、吹き出物などが起こりやすいとされています。この熱は気温の上昇というだけでなく、体内の様々な滞りが熱をもってしまうということもあります。

一方、「気・血・水」のうち「水」が体内で滞ると消化不良やむくみを引き起こしますが、この溜まった「水」と「熱」が結びつくと、ドロドロとした状態になってしまいます。これを「湿熱」と呼び、この状態になると肌トラブルや、関節痛、肥満、便がべたついて匂いが強くなる……などの症状が起こりやすくなります。

これらのトラブルが起こらないようにするには、体内の熱と湿気を取り除くことが必要になりますが、一言で取り除くといっても、単純に冷たいものを飲食したり、むくみたくないからと水分を摂らないようにするのでは逆効果だったり別のトラブルを引き起こすことになりかねません。

熱を取り除く=冷やすではなく、
また、湿を取り除く=水分を摂らないでもありません。


余分な熱を取る効能のある食材や、余分な水を排出する効能のある食材を摂ることが大切です。

こちらも効果的な食材をまとめましたので、ぜひ積極的に日々のお食事で取り入れてみてください。

冷え取り食材表

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この記事を書いてくれた人:古橋 智子(漢方・薬膳・保存食講師)
漢方上級スタイリスト、養生薬膳アドバイザー、中国茶アドバイザー、かんぶつマエストロ。薬日本堂漢方スクール、長谷園 東京店 igamonoなどで講座を担当。20代より保存食作りに親しみ、数々のレシピを考案。素材の旬だけでなく、一人ひとりの体質や体調に合った保存食を提案したいという思いから漢方、薬膳を学ぶ。

インスタグラム
https://www.instagram.com/yakuzen_everyday/

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