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【野球とデザイン】ユニフォームの背番号は見えにくくて良いのか?
先日のWBCは大盛り上がりでしたね!
アベンジャーズかというほどの名だたる選手が
全員味方なんて夢のようなチームでした。
申し遅れました、candaです。
野球もデザインも好きな駆け出しwebデザイナーです。
日本戦は全試合チェックしましたが、1番印象的なシーンは準決勝のメキシコ戦の最終回ですね。オータニさんの2ベースからの吉田正尚の四球選択、そして不振だった村神様のお目覚め!
ドラマティックな展開すぎて驚きで口が開きっぱなしでした。
そろそろ試合の感想は置いておいて…メキシコ戦で少し気になったことがあります。メキシコチームのユニフォームです。
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赤の布地に緑の背番号。文字がややチカチカして見えたり、見えづらい時があるように感じませんか?
ユニフォームで使用されている赤と緑は、どちらも彩度の高い色。デザイナーの方は耳馴染みがあるかもしれませんが、明度差がない彩度が高い色を組み合わせて目がチカチカする現象をハレーションと言いますね。赤と緑はハレーションの例でもよく出てくる色の組み合わせです。メキシコユニフォームの背番号は黒縁があるとはいえ、ややハレーションを起こしやすい印象です。
また、暗いところだと赤と緑の境目が分かりずらく、視認性が良くないようにも感じます。
ただしメキシコのユニフォームの場合、背番号の部分はメタリックの異素材になっているようで、光の当たり具合によってはくっきり文字が浮かび上がります。特にスタジアム内は照明も多く、ハレーションを感じさせないくらい輝きがありました。
WBC日本代表、決勝進出おめでとうございます🇯🇵🎉
— メキシコ大使館 🇲🇽 (@EmbamexJP) March 21, 2023
日本の攻め、メキシコの守り、侍ジャパンの粘り強さ。
最後まで一瞬も目を離せない、最高の試合をありがとうございました。
決勝でもメキシコチームの分まで頑張って下さい!!🌮🔥🍣 ¡¡VIVA México!! ¡¡VIVA Japón!!@WBCBaseball @MexicoBeis pic.twitter.com/3GOcTi2YKr
メキシコの国旗を象徴するカラーを使用しつつ、布地の素材によって視認性にも配慮したユニフォーム。色の組み合わせの問題を生地感で乗り越えるのは、ウェブデザインをしているとなかなか思いつかない発想で面白いなと思いました。(実はメキシコのユニフォームは米スポーツメディア「ジ・アスレチック」によるWBC参加国の「ユニホームランキング」で1位に輝いたそうです。)
それにしても、カラーユニバーサルの観点から見ると赤と緑は識別のつきにくい色です。帽子や胸元のデザインと同様、文字を白で縁取るなどしたら色覚障害の人にもより優しいのでは…などもう少し工夫できそうなこともあります。そもそも布地の色と文字色には、視認性に配慮した色の規定はないのでしょうか。結論をいうと現在色についての規定は現在無いようです。2021年の記事の参照になりますが、公認野球規則におけるユニフォームのデザインに関してのルールは以下の通り。
(g)ユニフォームには、野球用ボールをかたどったり、連想させるような模様をつけてはならない。
(h)ガラスのボタンやピカピカした金属をユニフォームにつけることはできない。
調べた限りでは現在もそのルールは変わっていないようで、色についての規定はないようです。
さてそんな中、今季14年ぶりにデザインを刷新した広島カープのユニフォームが問題になっているという話を見つけました。
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赤の布地に赤の文字…!
このユニフォームも背番号の部分は光沢のある素材になっているようですが…
日南キャンプ2日目。
— RCCスポーツ (@rccsports) February 2, 2023
新ビジターユニフォーム⚾
赤い!赤すぎる!#カープ pic.twitter.com/ucOqQq9j3S
うーん、確かにこれは…見ずらいかもしれません。。
ショップの商品説明によると、
ボディカラーにはピンクレッド系にも見える「深みのある赤」。
ロゴ色には「鮮やかな赤」を採用。
2色の「赤」が互いに引き立て合います。
とのことですが、引き立て合うというより同化してしまってる印象です。
自分も高校生の頃は野球部のマネージャーをしていた身ですが、スコアを書く際に特に相手チームの選手は背番号で判別していたので、見ずらい背番号だと困りそうな気もします。せっかくなのでさまざまな野球関係者の目から見た、広島新ユニフォームの印象を取材してみました。
■ウグイス嬢:Aさん
Q:広島の新ユニフォームについてどう思いますか。
A:色々な球団のユニフォームを見てきましたが、これは見にくいですね(笑)
Q:ユニフォームの背番号や名前が見にくいことで何か弊害はありますか。
A:例えば代打が出る時、私たちアナウンサーは審判から選手変更の連絡をもらいます。でもそれより前に、ネクストバッターズサークルにいる選手を見て「代打が出るぞ」と確認しアナウンスの準備をします。
背番号や名前が見にくいと、目視だけでは誰が代打するのかわからず、審判の連絡を待たなければいけないので、アナウンスが遅れるかもしれません。
代走が出る時にも、塁に向かう選手の背番号だけを見てアナウンスすることもあるので、遠くからでも見やすいデザインにしてほしいですね。
■審判:Mさん
Q:広島の新ユニフォームについてどう思いますか。
A:ルール上は問題ないです。昨今いろいろなデザインのユニフォームが出てきている中で斬新さは感じました。ただ、見にくい。醜い。それだけです。
Q:ユニフォームの背番号や名前が見にくいことで何か弊害はありますか。
現場の話をすると、顔見知りの選手でも外野を守るなど遠くなると誰だかわからないこともあり「本当に本人が出ているのか」「交代した選手は正しいのか」など、背番号ないしは名前を見て再度確認しています。ユニフォームの視認性が低いとその確認に時間がかかってしまいます。
最悪の場合不正(違う選手が出場する等)もありえます。
■選手:Iさん
Q:広島の新ユニフォームについてどう思いますか。
A:見づらいですね、、、
Q:ユニフォームの背番号や名前が見にくいことで何か弊害はありますか。
A:(ピッチャーの意見として)アマチュア野球だと、例えば電光掲示板がない球場の時に今のバッターが何番打者なのかわからないとかはありそうですね。背番号で判断することもあるので。ただベンチからの声などで補えるので、絶対に困るということはあまりないかもしれません。
なるほど…
やはり記録や進行の立場の人にとっては、背番号というのは重要なのかもしれません。プロ野球選手だとある程度有名なので、シルエットや雰囲気から人を判別できるかもしれない…と言えど、やはり背番号は視認性のよいデザインであるに越したことはなさそうです。
近年、配色のバリアフリーの考え方も広まりつつある中で、スポーツ界にも背番号の配色ルールができる日も近いかもしれませんね。
ここまでご精読いただきありがとうございました!