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【がっかり】観光列車etSETOra(エトセトラ) 山陽ルート尾道→広島 乗車レビューと改良案

【がっかり】のタイトルのとおりネガティブな感想noteになるのですが、「こうすればよくなる!」の提案も考えました。
その結果、文章ががっつり大ボリュームになってしまったので、目次から適宜お好きな所からご覧ください!
【追記】復路の経路変更が発表され、山陽ルートが無くなるようです…残された期間中に少しでも集客するための方策として読んでもらえると幸いです。。


山陽本線 尾道~広島乗車レポート

広島県を走るJR西日本の観光列車「etSETOra/エトセトラ」に乗ってきました。

広島を起点に、往路は海側・呉経由の尾道行き、復路は尾道から山側・西条経由の宮島口行きとして走ります。

今回乗車したのは復路の山陽線ルート。

海沿いを走る呉線ルートに比べて、山陽線ルートはひたすら山あいを走っていくのでそんなに人気ないかなと思ってましたが…


2週間前の予約時で既にけっこう埋まっていて、当日尾道駅ではしきりに「満席です!グリーン券をお持ちでないお客様はご乗車になれません!」とのアナウンスが。

「海側ルートが取れなかったから山側ルートにした」とのブログ記事もあり、そういう人も多かったのでしょうか…?


僕はというと、最初から山陽ルートがお目当てでした。

前身の「瀬戸内マリンビュー」で呉線ルートは乗車済で、かつ観光列車での"セノハチ越え"を体験してみたかったのです。

***


尾道駅では列車入線時から

「お待たせいたしました!本日はお天気もよく、発車後進行方向左側に瀬戸内海の絶景が皆様をお出迎えします。ぜひお楽しみいください」

との駅員さんのアナウンスが。

さあこれから観光列車の旅がはじまるぞ!との期待感を高めてくれます。

でも今思えばここがクライマックスだったかな…汗


尾道出発後、次駅の糸崎で一旦停車(運転停車)。ドアの開閉はせず、隣で待機中の当駅始発列車を横目にすぐの発車。

三原を出てからは特にこれといった案内等はなく、観光列車にしてはかなりのハイペースで途中駅を通過していきます。

折り返し列車が発着する白市でも、待機中の当駅始発を追い越します。
糸崎とは異なり、運転停車せずにそのままの通過です。


次の停車駅西条では、酒蔵の案内はあったものの到着後はすぐの発車。

開始当初は20分ほど停車時間があり、駅でのおもてなしもあったそうです。
コロナの影響でやめてしまったのでしょうか…?

※参考記事「西条駅での待避」


ディーゼルカーで行く「セノハチ」

そしてお目当てのセノハチ。

セノハチ(瀬野八)とは、瀬野~八本松間の急勾配の山越え区間の名称。
軽井沢の碓氷峠に匹敵する難所区間です。

かつてのSL列車はそのままでは登りきることかができず、最後尾の車両に牽引車両を付けて押し上げていたそうです。

※参考記事・文献「セノハチ」


このエトセトラでは、八本松から瀬野へ勾配を下っていくことになります。

「登りじゃないんだったら楽勝じゃん!何も苦労しないじゃないか」と思うかもしれませんが…


この長い長い下り坂で、制御できないほど加速するのは大変まずいこと。非常時に止まりきれない恐れがあります。

そのため、通常のブレーキとは異なる「抑速ブレーキ」を搭載した車両で走る必要があります。
(乗用車のエンジンブレーキの強化版みたいな感じですね)

なので、かつての近郊型通勤車両103系では、このセノハチを走ることができず、峠道手前の瀬野駅で折り返し運転となっていたのです。

※参考「103系車両」


国鉄型ディーゼルカーのエトセトラではどのような走りを見せてくれるのだろうと思っていたのですが…

観光列車としての乗り心地向上のために騒音・揺れの軽減にかなり力を入れたと思われ、まるで最新型車両227系レッドウィングのようなスイスイとした走り。

まるで下り坂の勢いそのままに、呉線との合流駅・海田市も走り抜け、あっという間に広島駅に到着です。


文字通りの「快速」エトセトラ

復路の時刻はこちら。


1本前の電車の乗り継ぎと比較すると、エトセトラの方が宮島口には早くことがわかります。ちゃんと快速運転してます。


糸崎を出てからは運転停車や通過待ち等なく、終始後続の列車から逃げるように、観光列車にしてはかなりのスピード(通常の営業列車並み)でした。

先日乗ってきた四国まんなか千年ものがたりや伊予灘ものがたりでは、スピードを落としてゆっくり時間をかけて走るので、それとはかなり対照的です。


【提言】「急行」エトセトラにしてみては?

…ということで、全体的な僕の感想としてはこうです。


感染症対策での接触機会の低減のためか、アテンダントのおもてなしもなく(車掌さんからの記念乗車証の手渡しはありました)、"ただ淡々と走り抜ける列車"という印象。

これならこれで、復路の山陽線ルートでは

①JR東日本「リゾートビューふるさと」のように「快速列車」として
②同タイプのJR西日本「花嫁のれん」のように「特急列車」として

このように「速達列車」として走らせるほうがいいんじゃないか?と感じました。

***

現状、一応「快速」ということにはなっていますが、広島エリアには快速シティライナーや安芸路ライナーがあり、優位性に欠けたり混同してしまいそうな感があります。

ちなみに①の快速リゾートビューふるさとは、500円均一の指定席券だけで乗ることができます。マリンライナーのような快速要素と観光列車要素の両方を兼ね備えたまさにハイブリッド列車です。

エトセトラはグリーン料金を取っていることもあり、②のような「特急」名称が適切でしょう。


・・・と言いたいところですが、
広島を出てから宮島口までの所要時間が33分。時間帯によっては普通列車より遅い。

そこで、僕が提案するのが「急行」です。


快速と特急の間だから急行、というシンプルな案ではあります。

過去、中国エリアでは急行「みよし」や「つやま」がありました。しかし、現在はJRから急行種別が消滅しています。

そこで「急行」の復刻。

観光列車といっても、十分なもてなしが出来ない(していない?)以上、それなら割り切って速達性を前面に出す急行列車として走らせる。

***

尾道から在来線で広島方面に行く場合、現行では必ず三原もしくは糸崎での乗り継ぎを強いられます。直通する列車はありません。

ちゃんと急行としての名目を果たして西条や広島に早く到着できて、しかも道中優雅な空間でカクテルとおつまみを楽しめる。

・・・これ最高だと思うけどなあ…。

鉄道マニアは急行復刻で大喜びだし、観光利用しない人にも快適な移動ができて、みんなハッピーだと思うんですが、どうでしょう。


観光列車にするならもっと相応のサービスがほしい

また四国との比較ですが…(それだけ良かったのです)

千年ものがたりでは、「沿線地域の魅力創出」にかなり力を入れているように感じます。


大歩危・小歩危や秘境駅のスイッチバック以外にも、阿波川口駅のタヌキ伝説や讃岐財田駅のブナの木など、ガイドブックにも載らないような知られざる沿線情報も詳細に案内してくれます。

とはいえアテンダントの接触機会の低減やダイヤの都合などで、サービスを省略せざるを得なかったのかもしれません。各支社によって方針も異なるでしょう。

JR四国は対面での接客を重視しているような印象を受けます。対して西日本はディスタンス重視の印象。
これに関してはどちらが良い悪いというのはないと考えています。しかし、観光への考え方に「温度差」を感じざるを得ません。


しかし、次の機会に途中下車したくなるような、各駅の案内放送を流すくらいはしてくれてもいいのでは?と思います。


セノハチ峠では、SLを後ろから押して上がっていたとの案内はありました。しかしエトセトラでは下り坂。

「坂で勢いがつきすぎないために、エンジンブレーキを目いっぱい効かせて走っています。床下からのゴォーッという唸りに耳を傾けてみてください」

みたいな解説はほしかったところです。

たとえば子供のために来た電車に詳しくないお父さんお母さんでも、抑速ブレーキの話を聞いたら「なるほど!」となると思います。

***

例えば他にも、

・現在走行中の河内駅では、土砂災害で甚大な被害を受けて学生さんが学校に通えなくなり、夏休みを前倒しせざるを得なくなりました。その後復活を果たし、再びこの山陽本線は地域の足としての役割を担っています。
・ただ今通過しましたのは海田市駅です。午前の呉線ルートはここから分岐します。そのためホームの数も他の駅より多くなっており、広島の第二の拠点駅となっています。

こんな感じでいくらでも話すことはあります。

BGMが流れることもなく、パンフレットすらなかったのは残念でした。
(山陰本線「あめつち」など、他のJR西日本の観光列車にはあります)

心なしか他の乗客も寝ている人が多かったように思います。


広島到着時に「エトセトラでの旅はいかがでしたでしょうか?またのご乗車を~」と放送がありましたが…

僕には旅の魅力はほとんど伝わりませんでした。「え?これだけ??」というのが正直な感想です。


「酒を飲みながら書いた、駅スタンプで見る沿線ガイド」がユニークで面白い!

低評価のレビューを長々と書いてきましたが、面白かったポイントもありました。


「沿線の案内が少ない」と書きましたが、実はカウンターにこっそり置いているメモ帳には、実にディープな情報が紹介されています。


こういう誰も知らないマニアックだったりディープな話を、乗客に楽しんでもらうのが観光列車としてあるべきなんじゃないかなあと考えています。
スタンプの話放送で流したら楽しいと思いますよ。笑

まとめ・鉄道業に求めること

「1回乗って終わり」じゃなくて、また訪れて今度は途中の駅で降りたくなるような、そういう観光需要を生み出すのが苦境の鉄道業界に求められることだろうと思うのです。

せっかくリニューアルをして素晴らしい車両を作ったのに、宝の持ち腐れというか、リピーターを増やす魅力を伝えきれていません。

JR西日本さん、ぜひご一考をお願いします。。


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