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荒くれ者
ここは新宿歌舞伎町。日本一の繁華街にして
危険な一面も持つ大歓楽街。
そんな街に暮らす青年の物語である。
ララは、いわゆる不良少年といやつで、決して褒められるよくな生活を送っていなかった。それは、小さい頃から苦労して生きてきた為であり、冷たく厳しいこの街で生きていくには、このようになるしかなかった。
生まれつき人一倍真っ直ぐで曲がった嫌いな性格は、時に人を傷つけることはあっても、心優しいララを良く知る者は皆、ララを頼るのだった。
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おい、どうしたんだ!
おばちゃん、しっかりしろ、おばちゃん。
そこには、近所で食堂を営む、いつもララに優しくしてくれるおばちゃんが倒れていた。
店もぐちゃぐちゃにされていた。
誰にやられた?
大丈夫か?おばちゃん。
あ~ ララさん
突然2人の男が乗り込んで来て、ここで商売したかったらショバ代だせって言ってきたの。
ショバ代なんて出せないって言ったら、怒り出して店をめちゃくちゃにされて、私がやめてって抵抗したら、ひどく殴られて。
なんて奴らだ!
俺が仕返ししてやるからな。
大丈夫よ、あなたは関わらないで。
あなたにまた、美味しいものを食べさせてあげないとね~ と、おばちゃんは細い声で話した。
くそ~
おばちゃんに、こんな事しやがって。
許せね~
そんな時、突然おばちゃんが血を吐いた。強く蹴られて内臓を傷めたらしい。気管に血が入ったのか強く咳き込んで話も出来ない。
そのうち、おばちゃんは気を失った。
どうした?おばちゃん。
おばちゃん、おばちゃん。
必死の問いかけにも
おばちゃんの返事はなかった。
おばちゃんは、息をひきとった。
おばちゃん、おばちゃん。
必死に叫ぶララの声は、届かなかった。
ララの涙が止まらなかった。
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ちくしょう
あいつら、ゆるせね~
身よりのないララは、
また一人大切な人を失った。
もう、誰一人こんな事で失いたくね~
ララは、店を飛び出した。
店を襲った奴らは、すぐに分かった。
新たに乗り込んできた関西を中心とする武闘派のヤクザだった。そいつらは、店を襲った後、大きな顔をして繁華街をうろついていた。
おい、お前らがおばちゃんの店を壊した奴らか?
あ~そうだよ。
だからどうした。チンピラ。
なかなか言うこと聞かねえから、ちょっとお仕置きしたまでさ。
熱くなりやがって、おばちゃんのおっぱいでも吸ったのかい、黙って寝んねしてな。
ふざけるな!この野郎。
あんな良いおばちゃんがもう生きてないんだ。
おまえら、なんてことを。
うわ~〜
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大きな雄叫びをあげて、ララは襲いかかった。
そして、こぶしを、怒りを、叩きつけた。
殴りかかるララに対して二人は、ナイフを持ち出してきた。
ララの頬をナイフがかすめる。
二人のナイフが容赦無くララに襲いかかる。
だが、ララはそれをかわした。
ララのこぶしは、奴らを捕え、
奴らはついに沈んだ!
ララは仇を打った。
二度と好き勝手をしないと約束もさせた。
街の平成は取り戻した。
だが、おばちゃんはもう帰っては来ない。
釈然としない思いを抱きながら、ララはネオンの光る夜の空を見上げた。
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荒くれ者のララのお話でした。
おしまい