ララの次郎長さん
おひけ~なすって
おひけ~なすって
お初にお目にかかりやす。
わたくし、清水のララ二郎と申しやす。
わたくしは、しがない渡世人。
本日一泊のお宿をお借りしたく参りやした。
どうか?どこかの片隅にでも置いてやっては頂けませんでしょうか?
それはそれは、お困りでしょう。
旅のお方。
こんなむさ苦しい所でよければ、泊まっていってくださいな。
ありがとうございやす。
ところで、旅のお方。
あなた様は、どういった目的で旅をなさっておいでですか?
あっしは、小さい頃に生き別れた兄のララ太郎を探して旅をしておりやす。
親も死に、あっしに残された最後の肉親にどうしても会ってみたくなりあしてね。
そうですか?
で?手がかりはあるんですかい?
それが、この町に以前両親が住んでいやして、兄は母と残り、あっしは父と江戸へ行きやした。
その後、風の便りで母がなくなった事を知りやしたが、手紙をくれた兄の所在がわからずじまいでして。
そうですか?
ま~今晩は、ここでお休みください。
そりゃ~
めんぼくね~
(ぽりぽり)
旅のお方~
今の話で思い出しましたが、私のうちに務めている奉公人が以前、父と弟と別れ離れになったと言ってましたが、何か聞けるかもしれません、こんど会ってみますか?
ありがとうございやす。
(しばらくして)
コンコン、コンコン
旅のお方は、いらっしゃいますか?
あい、あっしでやす。
お休みのところ、申し訳ありません。
旦那さんに言われて参りました。
ガラガラ
あ、あんた!
あっしと随分似てる顔、
も、も、もしや、あんたの名は、
ララ太郎兄さん?
お、お前、もしや
ララ二郎かい?
兄さ~ん
ララ二郎~
よくぞ無事に生きていてくれた。
もう一生会えないものだと思っていたよ。
あっしもだ!兄さん!
会えて良かった。
おいおい泣いた二人は、
奇跡的な再会に喜びあったのでした(^_^)
ララの次郎長さん でした。
おしまい