140日目・春子 『焦り』
太一くん、ごめんね。
正直に話します。
私の不機嫌の理由は、太一くんが私との結婚について真剣に考えてくれてないのかなって思ったからです。
太一くんなりに考えてくれてるって頭では分かっているのですが、どうしても私ばっかり悩んでいるような気がしてしまったんです。
なんていうか、話が全然進まない感じが辛かった。
ごめんね。
太一くんの気持ちやペースがあるのに、勝手に暴走して。
ても、そういう事に焦りを感じているんです。
私は。
この前飲み会の最後に、写真を撮ることになったのですが、「撮る瞬間にみんなでジャンプしよう」って竹下くんが言い出したんです。
私も思いっきりジャンプしました。
そしてぎっくり腰になりました。
ショックでした。
自分の体が衰えていることが。
みんなに笑われて、恥ずかしかったです。
これから私はどんどんシワが増えて、足腰も悪くなって、ウエストにゴムが入ったスラックスみたいなズボンを履くようになるでしょう。
歳の差を埋めるのは無理だって分かってるけど、たまにひどく不安になってしまいます。
私だけどんどん老けちゃうみたいで。
太一くんは若くてカッコいいから。
電話ありがとう。
太一くんが冷静に話してくれたおかげで、私の気持ちも落ち着きました。
こんな風にケンカみたいなことをしたのって初めてだよね。
太一くん、怒りながらも『LINEスタンプにするなら、もっと良い表情の鮭じゃなきゃ!』ってアドバイスしてくるれたよね。
本当に優しいね。
もっとしっかりしなきゃね。