【ソムリエが伝授】自分好みのワインの見つけ方|10秒でわかるチャート付き
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
毎年1回、日本国内でワインがニュースになるボジョレ・ヌーヴォー解禁が、今年も迫っていますね(2020年は11月19日)。大人としてワインぐらいは知っておきたい。でも、覚えることが多そうで、小難しいそう……。そんなふうに感じている人は、意外と多いのではないでしょうか?
たしかにワインは、こだわり出すと奥深いものなものだけに、いったんその沼にハマるとズブズブとハマっていく人が多いようです。ハマる人はハマる。難しいと思ってしまい、なかなか手を出さない人もいる。それがワインの世界なのかもしれません。
ただ、ソムリエで、ワインコンサルタントとしてもプロにもアマにもレクチャーしている人物として、業界内外で注目されている竹内香奈子さんは次のように言います。
「そんな堅苦しいものではないですよ。異性と同じでワインも星の数ほど多くのタイプがあり、どれがおいしいと感じるかは個人の好みによって千差万別。まずは、自分にとっての『おいしい』を見つけることから始めてみてください」
そう言われると、ちょっと気が楽になるような気がしますが、実際に自分の「好み」を見つけるにはどうすればいいのでしょうか?
竹内さんは、ワインの味を知るための一番簡単で重要な方法を、著書『男のためのハズさないワイン術』で次のように解説しています。
「おいしい」を見つけるには、いろいろなワインを飲んでみることです。
どんな味なのかの感想(表現)はひとまず後にして、自分の好みかどうかを感じてみましょう。
「飲み比べ」は、ワインの味を知る、自分の好みを知る上で、一番簡単で重要な方法なのです。
ただ、グラス1杯のワインを飲んで、次に違うワインを1杯飲んで、また……となると、どうしても最初の味の記憶が薄れてしまいます。酔っ払ってしまいますしね。そこで、少量ずつグラスに入れて飲み比べる方法が、やはりベストとなります。
「ワインの味の違いがよくわからない」と言うお客様に飲み比べをしてもらうと、「ホントだ! 味も香りも違う!!」と喜んでもらえます。
これが奥深いワインの森に入る最初の一歩です。
――『男のためのハズさないワイン術』より
やっぱりと言うべきか、とりあえず飲み比べ。ちょっと肩透かしを食らったかもしれません。「あ、この味は好きかも」「これはちょっと口に合わないかも」と、自分なりに判断するだけでも十分楽しめると思うのですが、竹内さんは、自分好みのワインをさらにはっきり知るための基礎知識として、ブドウの品種を覚えておくと、より好みがわかるといいます。
味を決定する4大要素は、「品種」「産地」「ヴィンテージ」「造り手」です。この中で最大の決め手となるのは「品種」です。
――『男のためのハズさないワイン術』より
では、どの品種を覚えればいいのでしょうか?
生食用ブドウの巨峰やピオーネのように、ワイン用ブドウにも多くの品種があります。品種にはそれぞれに個性があり、色合い、香り、味わいなどワインの特徴の基本が決まります。
私が働いているワインショップでは、お客様が選びやすいように品種ごとに分けてワインを並べています。レストランでもワインメニューには、品種が書かれていますよね。
ワインを選ぶとき、ブドウ品種はとても重要なのです。
そう、品種の特徴さえ知っておけば、おいしいワインにたどり着くことができるのです。
――『男のためのハズさないワイン術』より
とはいえ、ワインに使われるブドウ品種は、イタリアだけで300種類以上、世界には数千種類あるとのこと。
「えっ! そんなに覚えるの?」
そう思った方、安心してください。竹内さんによれば、おさえておきたいブドウ品種は、赤ワイン3種類、白ワイン3種類。まずはそれだけで十分とのことです。
まず赤ワインから。
【赤ワイン3種】
◎メルロー
◎カベルネ・ソーヴィニヨン
◎ピノ・ノワール
竹内さんの著書からそれぞれの特徴を見てみます。
◆カベルネ・ソーヴィニヨン──力強い王様「ライオン」
この名前は、聞いたことがある人は多いでしょう。
世界中で栽培されている赤ワインの王道的な品種で、世界で最も有名で人気のある黒ブドウです。私が初めて飲んで覚えた品種でもあります。
ボルドーの主要品種で、あの5大シャトーにも使われており、ボルドーではブレンドして使用されています。
深みある色合いと酸味、さらに渋みが強いのが特徴。プラムやブルーベリー、チョコレートの香り。重みとコクがあり、力強くて男性的な感じがします。
しっかりした骨格は、まるで動物の王様のライオンのようです。
◆ピノ・ノワール──華やかで気難しい女王様「ヒョウ」
ブルゴーニュの主要品種で、気候や土壌を選び栽培するのが難しい黒ブドウ。単一で使われることがほとんどです。
世界最高級のワインとして知られる「ロマネ・コンティ」もピノ・ノワール100%で造られています。
渋みが少なく酸味が高く、軽くてフルーティなのが特徴。ラズベリーやチェリーの香りの他、キノコ類や革製品の香りもします。複雑で華やかな香りとしなやかで繊細な気品ある味わいは女性的な感じがします。
他の品種とブレンドされることがあまりなく、まるで気難しいヒョウのよう。
カベルネ・ソーヴィニヨンとよく比較される品種です。
◆メルロー──丸みがありおっとりした「カピバラ」
ボルドーの主要品種で、世界中で栽培されています。ボルドーでは、カベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドして使われています。
カベルネ・ソーヴィニヨンに香りは似ていますが、カベルネ・ソーヴィニヨンに比べると渋みと酸味が少なく、まろやかで濃厚なのが特徴。丸みがあり、なめらかな口当たりで飲みやすいので、女性に人気です。
やわらかい味わいは、まるでおっとりした癒し系のカピバラのようです。
次に白ワイン3種です。
【白ワイン3種】
◎シャルドネ
◎ソーヴィニヨン・ブラン
◎リースリング
◆シャルドネ──どんな環境でも仲良くなれる「イヌ」
ブルゴーニュの主要品種で、どんな環境でも育つので世界中で栽培されている白ワインの代表的品種。世界中で最も有名で、人気のある白ブドウです。
これといった特徴がなく、産地や造り方によってどんな味わいにも変化します。
酸が青リンゴのようなキリッとするものからヨーグルトの乳酸のようにまったりするものまであり、味の幅が広く、酸味とコクのちょうどいいバランスがあります。
寒い地域では、レモンやライムの香り、温暖な地域では、パイナップルやマンゴーなどトロピカルフルーツの香りがします。樽を使って熟成させることによって、ナッツやトーストのような香ばしい香りも出てきます。
誰とでも仲良くできて社交的。適応能力があり、みんなの人気者はまるでイヌのようです。
◆ソーヴィニヨン・ブラン──大草原にいるクールな「シマウマ」
ボルドーやロワールの主要品種で、世界各国で造られています。また、ニュージーランド産は世界的に高い評価を得ている品種です。以前、ワイナリー研修でニュージーランドに行ったとき、ソーヴィニヨン・ブランの品質の良さに驚きました。
青草、緑、植物系の香りとグレープフルーツのような柑橘系の香りもします。樽を使って熟成させることによって燻したようなスモーキーな香りがするものもあります。爽やかな酸味とすっきりした味わいが特徴です。
青草を思わせるグリーン系の香りは、まるで草原を駆け巡るクールなシマウマのようです。私は、ソムリエ試験のときに「ソーヴィニヨン・ブラン=青草」と覚えていました。
それぐらい青っぽい草の香りがするのです。子供の頃、新緑の季節に原っぱで転がって遊んでいたときの草の香りを思い出してみてください。
◆リースリング──ドライになったり甘えたりのツンデレ「ネコ」
ドイツの主要品種で、フランスではアルザスで造られています。
辛口から極甘口までと、味わいの幅が広いのが特徴です。
青リンゴや柑橘系の香りと、しっかりとした酸味と果実味があります。そして、ミネラルが豊富。酸と甘みのバランスがはっきりとあらわれる品種です。
リースリングを飲みたいときには、お店の人に辛口か甘口か聞いてみることをオススメします。
ドライな感じになったり甘えん坊になったりと、まるでツンデレ系なネコのよう。
――以上、6種の解説すべて『男のためのハズさないワイン術』より
さらに、赤白各3種の中で、基準となる品種があるといいます。
それはズバリ、赤は「メルロー」、白は「シャルドネ」。
この2つを基準に好みを探っていくと、おのずと自分の好みがわかってくるそうです。
では、赤ワインから試してみましょう。
まずは、メルローを飲んでみます。メルローを基準にして、もう少し重たいのがいいなと思ったら、カベルネ・ソーヴィニヨンがいいでしょう。反対に、もう少し軽いのがいいなと思ったら、ピノ・ノワールを試してみてください。
色が濃く重たく渋みが最もあるのが、カベルネ・ソーヴィニヨン。色も味も軽快で最も渋みが少ないのがピノ・ノワール。
メルローは渋みもほどよくあり、ちょうど中間と覚えておいてください。
次は、白ワイン。
まずは、シャルドネを飲んでみます。シャルドネを基準にして、もう少しすっきりした味がいいなと思ったらソーヴィニヨン・ブラン。もう少しフルーティな味がいいなと思ったらリースリングを試してください。
――『男のためのハズさないワイン術』より
このように、赤ワインはメルロー、白ワインはシャルドネを基準として、6つの品種のおおまかな味を体で感じ、覚えておくと良さそうです。
ただ、「飲み比べ」するのがめんどくさい。それよりもっとお手軽に、自分の好みを知りたい。そんな方に向けて、竹内さんが10秒で自分の「好み」がわかるチャートを作成してくれました。
赤ワイン篇、白ワイン篇、それぞれあります。ぜひチャレンジして、あなたの好みを知る参考にしてみてくださいね。
10秒で好みがわかるチャート(赤ワイン篇)
10秒で好みがわかるチャート(白ワイン篇)
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いかがでしたか?
自分好みのワインを知ったら、あまり今までワインに興味のなかった方も、ワインの沼にハマってしまうかもしれません。
今回紹介した書籍『男のためのハズさないワイン術』では、気鋭のワインコンサルタントの竹内さんがワインを楽しむ知恵と実践法を解説しています。
【主要目次】
第1章 今さら聞けない、ワインの超基礎知識
第2章 接待や商談がうまくいくワイン術――ビジネス篇
第3章 女性に「センスいいね」と言われるワイン術――デート篇
第4章 リラックスして楽しめ、予習にもなるワイン術――家飲み篇
また、同書の巻末ページには、竹内さんが厳選した1000円以下の高コスパワインリスト(PDF)を無料ダウンロードできるURLも載っています。興味のある方はチェックしてみてください。
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