【フォレスト出版チャンネル#128】「怒らない人」は損をする
このnoteは2021年5月12日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。
「怒る一流」と「怒れない二流」
今井:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める今井佐和です。本日は『「怒らない人」は損をする』というテーマで編集部の寺崎さんとフリートークでお話していきます。寺崎さん、よろしくお願いします。
寺崎:よろしくお願いします。
今井:早速なんですけでも、個人的にはアンガーマネジメントとかで「怒りというのはコントロールをした方がいいもの」とか、「すぐに怒って感情をコントロールできないのはよくない」みたいなイメージがあるんですけども、怒らない方が損をするんですか?
寺崎:そう。うちでもベストセラーになった『怒らない技術』という本は累計100万部を突破しているんですけど、それだけ世の中的には怒っちゃいけないというふうに言われているんですけど、過去に担当した本で向谷匡史(むかいだに・ただし)さんという方が書いた『怒る一流 怒れない二流』という本があるんですけど、この本では「怒らないことがかえって損をする」という警鐘を鳴らしているんですよ。
今井:ほう。
日本人はなぜ怒れないのか?
寺崎:日本人って「怒らない民族」って言われているじゃないですか?
今井:はい。
寺崎:これ、外国から見たら異様な国民性らしいんですよ。
今井:確かに韓国ドラマとか中国ドラマとか見ていると大体大声で喧嘩をしているなという印象があります。
寺崎:韓国と中国だけじゃなく、日本以外の世界はみんなそうだと思うんですよ、僕は。
今井:アメリカとかも?
寺崎:うん。
今井:確かにそうかもしれない。
寺崎:侵略された経験がないから、日本って。
今井:島国ですもんね。
寺崎:そうなんですよ。だから、いわゆる対立がないので怒らない。でも、これ別世界に行ったら損しちゃうんですよ。やっぱり日本人は怒るのが苦手なんで、どうやって怒る時は怒ればいいのかっていうのがこの本に書かれています。
「怒り」には2種類ある
今井:なるほど。ところで怒りには2種類あるって聞いたんですけれども。
寺崎:そうですね。本の中では「反射」と「反応」っていう2種類が怒りにはあるよって言っています。どういうことかって言うと「反射」の方は スポーツでよくゴールキーパーが 右にゴール打たれるぞと思って右に飛んだら、左に打たれたみたいなことがあるんですけど、このゴールキーパーの反応がいわゆる「反射」。つまり「脊髄反射」なんですけど、もう少しわかりやすい例で言うと、湯船に浸かっていて設定温度がちょっと高めの時に「ちょっと熱くなってきたぞー。そろそろ出ようか」とか。これは「反射」じゃなくて「反応」なんですよ。
ところがぬるいお湯だと思ったのに入った瞬間熱くて、「あっ!ち!」って足を離す、これが「反射」。怒りもこの「反射」と「反応」の2種類があるんですけど、例えば電車の中で携帯電車でしゃべっている人がいて、カーっときて「てめー、うるせーぞ!」って、こんなふうに怒声を発するのは怒りの「反射」。そうすると、「なんだ!この野郎!」ってまた怒りの反射が返ってきて喧嘩になっちゃう。
怒りをプラスに活かすには「反射」じゃなくて、脳からの命令によって「反応」するものじゃないといけないと。
つまり「怒り方には技術がありますよ」と。
今井:なるほど。動物的に「脊髄反射」でパッと反応するのではなく、一旦お湯をぬるいかな、熱いかなと感じていく、ちゃんと感じている「反応」が大事っていうことですかね?
寺崎:そう。例えば皆さんも夫婦間でよくあると思うんですけど、奥さんが「なんでいつもハサミ使って出しっぱなしにするの!」って言ったら、旦那が「うるせーな!片づければいいんだろ!」みたいな。これ、奥さんの言い方は「反射」。でも、「ハサミ使ったら元の場所に戻してもらえる?」、奥さんはハサミ置きっぱなしで怒ってるんですよ。でも、そうすると「おっと、ごめん、ごめん」なんてなるんですよ。だから、言い方一つ、怒り方一つ。
今井:わかりやすいですね。確かに「元のところに戻してもらえる?」っていうのは、一旦「なんでハサミ出しっぱなしなの!」って怒ったけど、それは口に出さずに「どうしたらいいんだろう。あ!こう言おう!」っていう間があってからの「元のところ戻してもらえる?」だからいいっていう感じですかね?
寺崎:そういうことです。これは私の体験談なんですけど。
今井:(笑)。なるほど。ありがとうございます。
怒らないことによるデメリット・実害
今井:では、早速テーマでもある『「怒らない人」は損をする』ということなんですけれども、怒らないことにある不利益、デメリットってどんな感じなんでしょうか?
寺崎:そうですね。先ほどの電車内の携帯電話の問題であれば、そこは一つ我慢すれば実害を被ることはないんですけど、例えば会社で同僚に手柄を横取りされたとか、営業マンだったら自分で努力してまとめた契約なのに同僚が得意になって上司に報告して同僚の株が上がったとします。これ、むかつきますよね。ここで「反射」で、いきなり「この野郎!」ってなったら上司は事情を知らないから「なんだ、こいつ。嫉妬しているのか」と思われちゃうかもしれない。ここで大人の対応で「まあ、しょうがないか」って諦めたら、これは同僚にもなめられるし、また同僚から手柄を横取りされる、と。
今井:いいカモになってしまいますよね。
寺崎:そうそう。これは完璧に実害になってくるんですよ。つまり、怒らないでいることの実害。この場合どうしたらいいと思います?
今井:えー。冷静になって事実を上司に報告する。
寺崎:なるほど。それだと、どうなんだろうなー。上司はめんどくさいかもしれないし、直接横取りした本人にくぎを刺したいじゃないですか。
今井:あ!本人にくぎを刺したい時。
寺崎:うん。これは「ニッコリ笑顔でくぎを刺せ」って言うんですよ。
今井:笑顔でくぎを刺す?
寺崎:例えば、低い声で笑顔で「君が課長に報告した契約の件だけどさ、あれは俺がまとめたんだよね。今回は目をつぶるから、次は気をつけてな。俺だって趣味で仕事しているわけじゃないんだからさ」
今井:超怖い。
寺崎:これを笑顔で言うの。
今井:低い声、結構ポイントですね。
寺崎:そう。著者の向谷さんっていう方は元々週刊誌記者なんですけど、ヤクザ専門なんですよ。『週刊実話』とか、いわゆる暴力団幹部の方々を取材してきた方なので、その法則らしいんですよね、笑顔+低い声って。で、飲食店の経営者が借金の返済を「1週間待って欲しい」って事務所に来たんだけど、幹部が笑みを浮かべながらドスの利いた声で「わかった。だけど、俺だっていつも機嫌がいいわけじゃないんだぜ」みたいな。
今井:普通に怒られるより怖い。何かされるかもしれないし、沈められそうな感じがしますね、これは。
寺崎:そうなんですよね。まさに竹中直人さんの芸で「笑いながら怒る人」ってあったじゃないですか?
今井:ありましたー。
寺崎:あれを思い出しちゃった。
今井:大好きです、私(笑)。声は怒ってるんですけど、顔が笑って、「ええ!どっち、どっち?」みたいな不安な気持ちになります。
寺崎:そうかもしれない。そのアンビバレントが。
「協調性」はこれからの時代に必要なのか?
今井:いいかもしれませんね。いざというときは「笑いながら怒る」というヤクザの人も使っている素敵な手法を使ってみようということだったんですけれども、それでも怒ることができないよっていう人は どんなふうに考えたらいいんですかね?
寺崎:そうですね。日本人は元々「和を以て貴しとなす」という言葉が表すように、協調性とか和を大事にするっていう文化があるんですけれども、それはそれで素晴らしいことだと思うんですが、裏を返せばこれって自分の本音が言えなくなっちゃうんですよね。
本音って口にするのに勇気がいるじゃないですか?例えば喧嘩になったりしたら険悪な雰囲気になるだろうし、つい本音を隠しちゃう。例えば、会議で仕切っている人の意図する方向にいって、「色々と意見があると思いますが、一つそんな感じでいかがでしょうか」って終わる。そこで、手を挙げて「いや、私は反対です」って、こうやって異論を挟むのってすごく勇気がいることで、さらにそんなことしてしまうと「あいつ協調性がない」なんて言われてしまうんだけど、この本では「でも、果たしてそんな生き方で正しいのですか」って問うているんですよ。周囲に迎合した生き方をしてしまうと自分っていうものを見失ってしまうんじゃないかと。協調性に富んでいるっていう評判と引き換えに自分というものを放棄してしまうことになるのではないかと、だからもっと怒っていいんだっていうメッセージなんですよ。
今井:自分の意見を言うっていうことですね。
寺崎:そう。ここからは私の意見なんですけど、協調性があるって今まで日本では美徳だったんですけど、これっていわゆる大量の労働力、大量生産、大量に売っていくっていう古いビジネス経済モデルの美徳だったんじゃないかなって気がしてて。
今井:まさにそうですね。
寺崎:だって、協調性がある人って兵隊じゃないですか。右へならえって。右へならえの社員ばっかりの会社って結構厳しくなってくる時代じゃないかなって。
今井:しかもその右へならえの駒みたいなところの部分って、今コンピューターがみんなやってくれてますから、今必要なのは右へならえじゃなくて、新しいもの、コンピューターの中身を作っていくようなアイデアとか意見がある人ですよね、きっと。
寺崎:そうですよね。ちゃんと自分の意見があって反対なら反対、怒る時は怒る。今、飲食店が大変じゃないですか。
今井:そうですね。
寺崎:緊急事態宣言終わったと思ったら、今度はまん延防止法が。
今井:マンボウって略すの、すごく私は嫌いなんですけど(笑)。
寺崎:8時までしか開店できない。これ、日本だからみんな従っているけど、諸外国でやったら暴動起きていると思うんですよね。
今井:実際、海外で暴動起きてますよね。暴動と言うかデモとか。
寺崎:デモすごいみたいです、アメリカとかね。だから、やっぱりちょっと日本人は怒らないといけないなって自戒を込めて、この本を読む。
今井:言うべき時に言うと言うか、自分の中の怒りに敏感になると言うか、流されない自分であれっていうことですかね。ということで協調性なんてポイっと捨てて、この『怒る一流 怒れない二流』を是非読んでいただけたらと思います。
(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)