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自律神経のなかで最も大切な「迷走神経」を整えるを生活習慣を紹介!
こんにちは。
フォレスト出版・編集部の美馬です。
さて、先月から毎週金曜日の恒例になっておりますが、これまで5回にわたり9月新刊『自律神経のなかで最も大切な迷走神経の整え方』(小林弘幸・著)の「迷走神経」について詳しく解説をしてまいりました。本日は、そんな迷走神経を整える方法を、第5章「迷走神経を整える生活習慣」から一部抜粋・改編してお伝えしていきます。
▼これまでの投稿はこちらから。
すぐに行動して、ゆっくり丁寧にこなす
これまでの投稿では、自律神経の乱れによって腸内環境が悪化したり、呼吸が浅くなったり、睡眠力の低下が起こることをお伝えしました。
本日は、迷走神経を刺激して整えることで、ガクンと落ち込んでいる副交感神経のはたらきを向上させる生活習慣を紹介していきます。自律神経のシーソーを頭に思い浮かべながら、ぜひ実践してみてください。
◆すぐに行動する
やるべきことや予定があるのに、ほかのことに時間を費ついやしたり、やる気が出なくて先延ばしにする……。そんな「先延ばしマインド」は誰にでも心当たりがあるのではないでしょうか。
2023年、スウェーデンのソフィアへメット大学などの研究チームが、約3000人の学生の「先延ばしマインド」がどの程度あるかを評価したところ、先延ばし傾向が強い人ほど、うつ病、ストレス症状の悪化、睡眠の質や身体活動の低下などがあることがわかりました。
この傾向が強い人は、予定や締め切りに近づくことに必要以上に焦ったり、やる気を出すために自分自身を追い込んだりすることが多いと言います。それが次第にストレスや不安となり、自律神経のバランスを乱してしまいます。
著者の小林弘幸教授は、仕事でも家でも「すぐに動く」ことを意識していると言います。とくに嫌なことや大変なことは、なおさらとのこと。
たとえば、家で皿洗いをするとします。帰宅直後にシンクに皿が積み上がっているのを見ると、つい後回しにしたくなりますが、すぐにやる。先延ばしにするよりも、真っ先に手をつけたほうがストレスはなく、自律神経のバランスを崩さないことを知っているからだと言います。
◆ゆっくり、丁寧にする
すぐに行動することは重要ですが、注意してほしいのは「焦り」は禁物ということ。すぐに行動することと、焦って取り組むことはまったく別物です。
せかせかと歩く、早口で話す、すごいスピードでキーボードを叩く。これらは無意識に行なわれている反射のようなものに過ぎません。それは、交感神経が過剰に高ぶっている証し。一見、テキパキと見えるかもしれませんが、たんにイライラしたり不安に陥ったりして「動きが速く、雑になっている」だけです。
リラックス状態を作る迷走神経にとって「動きが速く、雑になっている」ものほど「不得手」なものはありません。極端なくらい「ゆっくり、丁寧にする」ことで迷走神経は整っていくと認識してください。
たとえば、作業しているときに横やりが入って別の仕事を頼まれると、集中が削がれてイライラするでしょう。そんな精神状態で仕事をしてもミスを連発するだけです。一度、席を離れて、ゆっくり歩いてトイレに行きましょう。そして、手を洗うときには「ゆっくり、丁寧に」を意識してください。しっかりと石鹸で手を洗い、十分に水気を落としてから、ハンカチで拭く。そのハンカチもきちんとたたみ直してからバッグにしまう。そんな「ゆっくり、丁寧にする」を意識するだけで迷走神経は整います。
せわしく手を洗った場合と比べると、時間がかかるかもしれません。しかし、時間の差よりも効果の差は歴然です。迷走神経が整うことで、そのあとの仕事のミスは確実に減ります。
動作を少しスピードダウンするのは、そんなに難しいことではありません。今、自分が何をしているのか、一つ一つ確認することで実現できます。もちろん動くときだけでなく、話をするときも、さらに言えば、焦ったときにこそ「ゆっくり、丁寧に」を思い起こしてください。
◆毎日1カ所、片づける
ゆっくり、丁寧な動きをするための準備とも言えるのが、身の回りの整理整頓、つまり「片づけ」です。ネガティブな感情に襲われたら、身の回りのスペースを片づけてみると、思いのほか気持ちがスッキリすることがあります。
皿洗いの話に戻りますが、2014年に米・フロリダ州立大学の研究チームが、気持ちを込めて皿洗いをすることがストレス解消に効果があることを報告しています。目的意識があれば、幸福感や満足感が得られるということです。汚れているところがきれいになる。散らかっているものが整理される。いらないものを処分する──。
心が晴れ晴れするだけでなく、「片づける」という行為にも、迷走神経を整える効き目があります。ただし、時間をかけすぎたり、ムキになってあちらこちらに手をつけたりするのはNG。かえって交感神経が過剰に刺激されます。
一日15〜30分以内にできる小さなことでかまいません。たとえば、ポーチやカバンのなか、机の引き出し、キッチンの戸棚、クローゼット、靴箱など、その日、片づけたいところを一つ決めて、無理なく行なうようにしてください。片づけているときは、自然と呼吸が深くなります。さらに、ごちゃごちゃしたものが整理されることで心地よい環境に整えば、迷走神経のはたらきは向上します。
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以上、迷走神経を整えることのできるとてもかんたんな生活習慣の一部をお伝えしました。本書ではまだまだ具体的な方法が数多く掲載されています。ぜひお手にとって実践してみてください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。