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【フォレスト出版チャンネル #58】ゲスト|「努力しないで成功」は、良いこと? 悪いこと?

このnoteは2021年2月3日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

1万人以上の起業支援、ダボス会議U33日本代表が語る、創業時の苦労

渡部:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティ渡部洋平です。今日は編集部の森上さんとともに「努力しないで成功するのは良いこと? 悪いこと?」をテーマにお伝えしていきたいと思います。森上さんよろしく願いします。

森上:よろしくお願いします。

渡部:実は今日すごいゲストに来てもらっているということなんですけど。

森上:そうなんですよ。世界経済フォーラム、通称「ダボス会議」ですね。そのアンダー33の日本代表でありながら、今までに1万人以上の起業家支援をされてきた方なんですよね。

渡部:実は僕の上司の渕野が「この方にお金払って教えてもらいたい」と言っていたのを聞いているんですよね。楽しみなゲストに来てもらっています。株式会社ウェイビー代表取締役社長・伊藤健太さんです。伊藤さん、よろしくお願いします。

伊藤:よろしくお願いします。

渡部:ご存じの方も多いかしれないですが、伊藤さんまずは自己紹介お願いしてもいいでしょうか?

伊藤:もちろんです。よろしくお願いします。株式会社ウェイビーの伊藤と申します。株式会社ウェイビーは僕が23歳のとき、2010年なので今から11年前になりますが、当時病気をしまして、それは勘違いではあったんですけど当時は結構重い病気で、意外と人生って短いんじゃないかと思いまして、いい意味での勘違いがきっかけになって会社を立てようと思い立ち上げました。ただ1人だと淋しいので、小学校時代の友達3人、会社務めしていた人間を辞めてもらって、資本金5万円で創業したのが株式会社ウェイビーで、僕のビジネスの人生の始まりになっています。
ただ、会社を立ち上げたものの、お金が本当にありませんでしたので、最初の7カ月近くはずっと借金ですね。クレジットカードをうまく使って、リボ払いをうまく使って、キャッシュフロー、資金繰りってカッコよく言えばそうですけど、リボ払いっていう仕組みを見つけて月末の支払いをなんとか逃れていたみたいなのがありました。とにかくお金がありませんので、知恵を出して、どうやってお客さんに来ていただくのかということを考えざるを得ない状況でした。さまざまなお金がかからない形でマーケティングといわれるものをとことんやりました。かっこよく言えばですけど……。ただ現実的には、とにかくできそうなことをひたすらやってきたと。それが先ほど少しご紹介をしていただいた、僕の今の領域では、自分で事業をやる方、独立される方にアドバイスをさせていただいています。また最近で言うと、副業をされる方もすごく増えていらっしゃると思っています。「自分で稼ぐ力を身につけたい」とか、または「すでに会社をやられている」方とかのご支援を、10年間で約1万社の方からお金をいただいているような会社になっています。簡単ですが、このあたりでよろしいですかね?

渡部:はい。ありがとうございます。本当にすごい人生を歩んで来られて、たくさんのお考えを持っていらっしゃるのでぜひVoicyのリスナーの皆さん、楽しんで聴いていただけるんじゃないかなと思います。そんな伊藤さんと森上さんはいったいどういう経緯でお会いになったんでしょうか? 今回、新刊『行動の品質』も出されましたけど、どういういきさつだったんですか?

森上:そうですね。伊藤さんとはコロナ禍よりもっと前、2019年の異業種交流会的なパーティーがあって、そこで初めてお会いしたんですよ。で、その中で伊藤さんを知っている人だったら誰もが共感してくれると思うのですが、とにかくロジカルで頭の回転が速い方なんですよね。実際初めてお会いしたときも、世界経済フォーラムの話とか起業家支援の実状など、いろいろとお聞きしている中で、「いつかご一緒に本をつくりましょう」とお話ししていました。そこで、「起業家の卵や起業家一年生の一番の悩みは何なのか」をお話している中で出てきたのが、新刊に出ている「行動に関する考え方や実践法」だったんですよね。で、今回、新刊『行動の品質』という本が刊行されたという形です。

渡部:そうなんですね。売れ行きもかなり好調ということで、本当うれしいところですね。

森上:そうですね。おかげさまで伊藤さんにも宣伝にご協力いただきながら、発売1週間で重版も決まって、今ロケットスタートしているかたちですよね、伊藤さん。

伊藤:はい。本当に皆さんありがとうございます。

【行動の品質を上げるポイント①】最速最短最少で最大最高最適な成果を出すことを最優先で考える

渡部:ぜひ『行動の品質』をチェックしていただきたいんですけれども、今日は本の中で紹介されているお考えやノウハウについてさっそくですが、伊藤さんにお話していただきたいと思います。今回、行動の品質を上げるために、3つのポイントを挙げていらっしゃいます。
まず1つ目が「最速・最短・最小で最大・最高の最適な成果を出すことを最優先で考える」と。もう「さいさいさい」って何回言ったかわからないですけど(笑)。2つ目、「1つの行動がそれだけで終わらず、良い波紋を広げることを考える」。3つ目、「自分だけでなく、まわりを巻き込もうと考える」というポイント挙げていただいております。
伊藤さんから1つずつ解説していただきたいと思います。まず、最初の「最速・最短・最小で最大・最高の最適な成果を出すことを最優先で考える」、こちらを教えていただきたいですが、いいでしょうか?

伊藤:はい。ありがとうございます。僕も言葉で日常から言ってくださったセリフを言っているわけではないのですが、ただ考えていることとか行動を集約すると、そういうことを常に意識していると思って、このような表現になりました。
最もわかりやすい象徴的なお話を1個できたらなと思っているのが、例えば皆さんは全く努力をしないで、ものすごくうまくいった人がいたとしますよね。「努力をして成功しない人」についてどう思うかっていうことが結構重要だと思っているんですね。もっと端的に言ってしまうと、「別に努力しなくても成功したほうがいいですよね」ということを、僕は結論として申し上げています。すると、「お!?」って思う方も結構いらっしゃるんじゃないかなと思っています。
例えばうちの両親、母親に「努力なんてしないでうまくいったほうがいいでしょ?」ってもし言ったら、絶対に殴られると思うんですね。「そんなことあるわけないだろ。なにふざけているんだ!」って、反射的に殴られると思うんですね(笑)。でも、その感覚は、僕も持っているんですね。ちょっとした違和感みたいなところですね。
何が言いたいかって言うと、最も重要なことって何かって、これはお客さんにもよく言うことではあるのですが、基本的なスタンスとして、まず「時間が絶対に最も重要」なんですね、人生において。時間って間違いなくなくなっているわけですよ。新しく積み上がることってないわけなんで、「なくなっている時間の中で、僕たちは何をするか」っていうこのルールが絶対のものなんですね。そうすると、健康である時間とか、自分がものすごく動ける時間って、時間の全体の中でもかなり減ってくわけじゃないですか。そうなったら、何をしちゃいけないかって言うと、絶対に無駄なことをしちゃいけないんですね。なので、極端なことを言うと、遠回りなんてする必要はいっさいない。なぜなら、結局たどり着くと、今まで見えなかった景色が見えてしまうので、よりもっとやりたくなる気持ちが生じてくるので、ここに終わりはないんですね。
そう考えると、絶対に遠回りなんてしちゃいけなくて、早くゴールに辿り着くことが、時間が減っている中においてもそうですし、自分の人生を豊かにするっていう意味においても大切で、とにかく時間をかけないことですね。僕で言うと、自分の起業の立ち上がりにお金がまったくありませんでしたので、いかにお金を使わないで、うまく結果を出すか、みたいな、まさに1つ目のテーマみたいなことをずっとせざるを得なかったみたいなところもあるんですね。
なので、一番重要と思っているのは、時間が限られている中で、僕たちは最大のパフォーマンスをする必要があります。これは、誰かから評価されるということだけじゃなくて、自分自身が人生でこういうことをやりたいなとか、せっかく生きているんだから、こういう結果を残したいなとか、それを小さい単位で「今の会社でまず成果を出す」とかでも全然それは構いません。ただ「時間が限られている中で、いかに早くこのゴールにたどり着くか」。この観点がとても重要だと思っています。

「努力」は、「目的」ではなく、「手段」

森上:ありがとうございます。 先ほど伊藤さんがおしゃっていた親御さんに言った「努力しないで成功したら」って、日本人特有のコツコツ系を絶対的に善として、努力しないことを許さない文化ですよね。この考えは、我々の現役世代にも相当根付いているでしょうね。どうですか、支援されていて、起業家の皆さんとかは ?そういった発想はやはりお持ちなんでしょうか?

伊藤:めちゃめちゃいます。正直、あまり世代関係なく染み込んでいるDNAみたいなものだなと思っていて。その気持ちもわかる。感情的にも合理的にも理解できるんですね。結果、絶対努力が必要になることのほうが多いというのがたぶん正しい表現なんです。ただ、努力って、捉え間違えちゃいけないのはあくまで「手段」なんですね。いわゆるイノベーションっていうものがありますけど、イノベーションとは、例えば一番わかりやすいのは、馬に乗っていた時代があって、馬から車に代わりましたって言ったら、目的地にたどり着く時間って大幅に短縮されたじゃないですか? 馬と車だったらわかりますよね、誰でも。「どっちがいいですか?」って普通に考えて「早く目的地にたどり着く」というゴールであれば、絶対車に決まっているじゃないですか。そこに疑いの余地はないわけなんですね。
何が大切かって言うと、いわゆる努力っていうものは本来「手段」のはずなんですね。でも、「努力を当たり前に最初からしないといけない」という手段が「目的に変わっている」っていうのが、今の多くの人だと思っています。
でも、イノベーションって、知恵を出したんですよね。今あることを努力して、なんとかできるようになりましょうっていう発想というよりかは、知恵を出すことによって、努力とか、時間を大幅に短縮することができました。これがまさに僕がよく肉体労働と知的労働って話をするんですけど、いわゆるパフォーマンス。今回の問題は、やっぱりすばらしい成果を出す人は肉体労働者ではない。
でも、肉体労働がダメって言っているわけではなくて、成果を出したいのであれば、絶対に知的労働。アイデアを出すとか、知恵を出すが必要なんですね。そうすると、知恵って何のために出すかと言うと、今よりも劇的にうまくやることを実現するために知恵を出しているわけなので、そうすると、いかに時間をかけないで同じ結果って出せないかとか、こういう問いに変わるんだと思っているんですね。
きわめて当たり前で、自分でも納得しかないので、ずっとこうやって生きているんですけど、ただほとんどの人って、最初にとにかく勉強しなさいとか、準備しなさいといったことがあるじゃないですか。絶対最初には「修行が必要だ」みたいなのがあって。修行って、もちろん重要な箇所もあるんでしょうけど、重要じゃない箇所もあったりとか、または今の技術だったり、テクノロジーみたいなものをうまく使うと、「そこの工程ってなくせますよね」みたいなことって、たくさんあるわけですよね。なので、「努力を当たり前にしないといけない」って思い込んでいることによって、「知恵を出すという機会を奪われている」ことが僕は問題だと思っているんですね。

森上:なるほどね。本の中にも書かれていますけど、最初から努力が絶対必要って思っちゃうと、これまでのやり方とか常識をそのまま疑わないで受け入れちゃう、つまりイノベーションというか、新しい発想が生まれてこないってことをおっしゃっているんですよね?

伊藤:まさにそうです。

森上:本を読んでいただければわかると思うんですけど、これ、努力を否定しているわけじゃないんでよすね?

伊藤:いや。もうまったく(そのとおりです)。努力は、結果的に後で必要になるものであって、絶対に必要になってくるものなんですけど。ただ、努力は、結果のものなので、「努力なくうまくいったほうがいいですよね?」というだけの話で、そんなにうまいことはなかなかないので、結果として努力は必要になってくるっていう話ですね。

「コツコツ型努力=善」の思い込みが生んだ失敗

森上:なるほどね。1つ、本の中でコツコツ型での失敗の例がありましたよね? ある旅館の話なんですけど。その話をちらっとお話しいただいてもいいですか?

伊藤:はい。皆さん、日本で一番いい旅館というと、どこを想像されるかわからないですけど、いわゆるランキングみたいなところで言うと、石川県の旅館で加賀屋さんがあります。ずっと人気旅館ランキングで上位を占めているわけですよね。2017年ぐらいの話でちょっと古いんですけど、当時どういう状況にあったかって言うと、例えば僕が宿泊しに行きます。旅館なので、チェックインしてから仲居さんが部屋に通してくださるわけですよ。通していただいてから、結構、旅館って仲居さんが部屋に入ってくることあるじゃないですか。で、当時はおもしろいんですけど、チェックインしてから1時間、部屋に通されてから1時間の間で、仲居さんが何回部屋に入ってきたかという話が載っていたんですね。
何回だと思います? 正解は7回入ってきているんですね。7、8回。1時間に7、8回ってどういうことかって言うと、6分か7分に1回入ってきているんですね。ありえないじゃないですか。テレビのコマーシャルですら、6、7分に1回はないわけですよ。
何が言いたいかというと、日本ナンバーワンの旅館で、潰れている旅館の話じゃないんですよ。日本最高峰の旅館のオペレーションがそうなっていましたということなんですね。
これはなぜなのかって言うと、当時の社長、今でもたぶん社長だと思うんですけど、反省の弁を述べられていて、「加賀屋のポリシーとしても、ずっと昔からお客さんが来られたら、膝を突き合わせて、顔を合わせて挨拶することが最も重要だ」っていうことが根付いているわけですね。で、ここをコツコツと改善していった結果が7、8回、顔を合わせる。さすがにそこまでの目標設定になったわけじゃありませんけど。
多くの会社は、今みたいな当初良かったこと、これは間違いではないと思うんですね。でも、これが間違えた解釈がされていったり、会社によっては、もしかするとお客さんが部屋に通されてから「1時間の間に最低5回は伺いなさい」みたいな、場合によっては数値目標とかに落とされちゃっていたりするわけですよ。これがまさにそこしか見てない。
すなわち、「他の知恵を出そうとしない」とか、「前例を疑わない」ことの大きな弊害で、サービスだと思っているわけですね、加賀屋さんからすると。でも、ただの不親切じゃないですか?

森上:そうですよね。もはや、おせっかい。

伊藤:そう。おせっかいになっちゃうんですよね。

森上:進歩とイノベーションは違うよって話ですよね。ここから導き出されるのは。

伊藤:はい。

渡部:今までと比較してはいけないんですけれど、時間当たりの情報量が圧倒的に多いですね、伊藤さんのお話。聞いていてめっちゃおもろしろいですし、ためになるといいますか。今のお話はnoteのほうにも書かれているんで、一緒に合わせて読んでいただくといいのかなって思います。

僕も努力は手段であることは、ものすごく腑に落ちましたね。努力なんて要らないんだって言われると、「いや、そんなことない」って反発する感情が湧くんですけど、今の話を聞いていたら、本当にロジカルに「確かにそうだよな」っていうところが本当に腑に落ちました。

伊藤:ありがとうございます(笑)。僕もわざと「皆さんの前提を揺るがす」ところからスタートしないといけないと思っているので、よく公演とかで「努力っていらないですよね」みたいな感じで入っていて、「おい、おい」みたいな。「今日、ふざけた奴が来たぞ」みたいなところからスタートしているケースもあるので(笑)。ただよくよく話を聞いていただけると、最初に「そうじゃないよね」と思っている人ほど、納得感を持っていただけたりするので。僕が言いたいことは、結局はプロセスじゃなくて、大きな成果を出すにあたって、僕たちがどういうふうに捉えないといけないのかっていうことですよね。もう少し客観的にちょっと俯瞰したり、冷静に見てみると、こういうことがあるんじゃないかって思っているということです。

森上:そうですよね。伊藤さんと一緒に本づくりしながら、本を売っていく中で努力を一番していますよ、伊藤さんが!

伊藤:(笑)

森上:「努力不要」って言っているけど、一番努力しています、結局。でも、おっしゃっているところは、努力の意味と位置づけが違うということですよね。

伊藤:はい。まさに。

森上:そうですよね。それが、今日の1つ目の教えである「最速最短最少で~」を追求していくということですよね。そのために努力の考え方を変えましょう、と。

伊藤:はい。まさにそうです。

渡部:まさにおっしゃるとおりのお話でした。リスナーの皆さんもハッとさせられて、最終的にはすごく納得したなみたいな感じになられているんじゃないかなっていう気がしました。では、残りの2つのポイントは次回にお話しいただくということでよろしいでしょうか、森上さん?

森上:はい、そうですね。まだ残っていますね。

渡部:ありがとうございます。では、行動の品質を上げるための3つのポイントの1つ目、これ僕も言うのが楽しくなってきちゃったんですけど、「最速最短最小で最大・最高の最適な成果を出すことを最優先で考える」について解説いただきました。では残り2つのポイントは、明日改めて解説いただきたいと思います。伊藤さん、森上さん、今日はどうもありがとうございました。

伊藤・森上:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)



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