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#417【ゲスト/編集者】出版営業から書籍編集者に転身!営業ならではの企画づくり

このnoteは2022年6月16日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

「流行語大賞」を主宰する版元の編集者の仕事 

土屋:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める、土屋芳輝です。本日は編集部の森上さんとともにお伝えしていきます。森上さん、どうぞよろしくお願いいたします。

森上:よろしくお願いします。

土屋:本日も素敵なスペシャルゲストをお招きしているんですが、今日はフォレスト出版ではなく、他の出版社の編集者がゲストに来てくださっているんですよね。

森上:そうなんですよね。もう何度か他の出版社の編集の方が来てくださっているんですけども、今回は自由国民社の編集部の方で、お忙しいにもかかわらず、ゲストにお越しいただきました。

土屋:ということで、ゲストに来ていただいたのは自由国民社の編集部、副編集長の三田智朗さんです。三田さん、今日はよろしくお願いします。

三田:よろしくお願いします。

土屋:早速なんですけれども、三田さんから簡単な自己紹介をお願いできますでしょうか?

三田:はい。ただいまご紹介にあずかりました、自由国民社の編集部の三田と申します。私は15年ほど、社会人をやっているんですけども、そのうちの13年ぐらいは出版業界のいわゆる書店営業と呼ばれる、書店を回って本を置いてもらうという営業を長くやってきました。そして、自由国民社で1年ほど宣伝部を経た後に、最後の1年半ぐらいなんですけども、編集部に移って、ビジネス書を中心に編集をやっております。なので、編集1年生っていう感じで、今日はあんまり具体的なノウハウとか、もしかしたらお話があまりうまくないかもしれないんですけども、付き合っていただけたらと思います。よろしくお願いします。

土屋:よろしくお願いします。ありがとうございます。森上さんと三田さんはつい最近知り合ったと伺ったんですけども、どのようなかたちでお知り合いになったんでしょうか?

森上:これは三田さん、先週ですよね?

三田:そうですね(笑)。先週。

森上:まだ知り合って1週間も経っていないっていうね(笑)。三田さん、あれは20人くらいですかね?

三田:そうですね。20人ぐらいの集まりというか、会合でしたね。

森上:そうですよね。各出版社の編集者が集まる会合があって、それこそコロナでなかなかできなかったことが一気にできたっていう感じではあるんですけど。そこでVoicyのこのチャンネルの話をしていたら趣旨をご理解いただけて、ゲスト出演していただけるとのことで、本当に1週間も経ってないのに、すごいお願いをしちゃったなと思っていて……。

三田:(笑)。

森上:三田さんとはまだまだ知り合って間もないので、今日はこの場を借りて、いろいろとお聞きできたらなと思っているんですけど、まずは三田さんが先ほどちらっとおっしゃっていましたが、新卒で自由国民社さんに入られた?

三田:何社か経て今の会社なんですけれども。自由国民社は4社目で、その手前は出版社で営業というかたちでずっとやっていました。

森上:出版の営業の歴史が長いというのは、他の編集者とは違う目線で企画を立てたりとか、売ったりとか、いろいろやられていそうですね。

三田:そうですね。やはり売り場を知っているというのは結構強くて、どうしても編集者目線で企画を立てると、世の中へ出す意義っていうところはすごくエッジが立つんですけど、どこのコーナーに行くのかとか、どう展開されるのかっていうところのイメージっていう……、ラストワンマイルみたいなところは他の編集者よりはより具体的にイメージできるかなという感じですね。

森上:その視点は大事ですよね。私も二十数年ずっと編集畑でやってきて、いまだにそのあたりは営業部の意見っていうのは参考になりますよね。

三田:そうですよね。参考になりますね。編集者になると、皆さんそうだと思うんですけど、時間がなくて、なかなか書店に行く時間がないじゃないですか。だけど、ケーススタディとして、営業って一日何件も回るので、売り場をほぼ知り尽くしてるというところと、どんな本が今売れているのかっていうのを把握されてるので、そこの意見を聞けるっていうのは非常に大きいのかなと思いますね。

森上:今は自由国民社さんの編集者さんは何人いらっしゃるんですか?

三田:編集者は正社員、契約等と合わせて12人ですね。

森上:結構いらっしゃいますね。

三田:そうですね。出版社の中でまずまず多いほうなんじゃないかなと思いますけど。

森上:そうですよね。全員、書籍を担当されているんですか?

三田:そうですね。弊社の場合は『現代用語の基礎知識』という、毎年必ず出させてもらっているんですけども、それ専用の編集部というのもありまして、要するに雑誌ですよね。雑誌と一般書籍と分かれながらやっているっていう感じですね。

森上:あー。なるほど。「現代用語の基礎知識」は年1回ですか?

三田:年に1回ですね、今は。

森上:なるほど。流行語大賞とか、あれですよね? 自由国民社さんと言えばって感じですよね?

三田:そうですね。毎年、流行語大賞をやっていますね。

森上:そうですよね。あれを生み出す元となる、「現代用語の基礎知識」を担当しておられる方が12人の内の半分ぐらい?

三田:いや。シーズンによって上下するときもあるんですけども、多いときだと4人、5人ぐらいでやっていまして、通常の忙しくないときとかだと……、忙しくないときっていう言い方はあれなんですけど……。通常のときだとだいたい2人か3人ぐらいでやっているかなっていう感じですね。

自由国民社の企画の立て方、書籍づくりの裏側

森上:それ以外は皆さん、書籍の編集をやられているっていう感じなんですね?

三田:そうですね。書籍編集っていうかたちですね。

森上:かなりいらっしゃいますね、そういう意味では。書籍は年間で何冊ぐらい出されている感じですか?

三田:弊社ですと……。

森上:月に何冊くらい?

三田:月に5、6点は出ているかなと思いますけどね。

森上:60点ぐらい?

三田:そうですね。そんな感じかなと思うんですけど。

森上:ご自身では年間で5、6冊やるってことですかね?

三田:そうですね。人によってまちまちなんですけど、僕の場合はビジネス書ってこともあって、「ビジネス書ってこともあって」って言ったらおかしいんですけど……。去年は年間で20冊ぐらい出しました。

森上:え! 1人で!?

三田:そうですね。1人で20冊……。

森上:それ、すごいな(笑)。そうだ! この前のお酒の席でもお聞きしたかも。

三田:話しましたね(笑)。

森上:そう! びっくりしたんですよね(笑)! 20冊って、入稿が2週間に1回ペースですよね?

三田:そうですね。だから毎月必ず入稿していましたね(笑)。全然意識してなかったんですけど。

森上:いや、すごいですね。三田さんはずっと営業畑でやられていて、編集というものに対しての意識が高かった? ご自身で希望を出されて編集に移動されたんですか?

三田:基本的には会社の辞令みたいな感じだったんですけども、この業界を志したときから編集はやってみたい仕事だなっていうのはずっと思っていたんですけど、さすがに社会人を十数年やって、もうここでキャリアが築けていたので、今移るのっていうのは全然イメージができなかったですね。

森上:なるほどね。今、御社はビジネス書以外の書籍だと、僕の印象では『ねこ背は治る!』とか、健康書もかなり多いですよね。実用書が強いですよね。ジャンル的にはあと、ビジネス、心理とかがあるんですかね?

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三田:心理だと、ちょっと前に『平常心のコツ』っていう、植西先生の本がブレイクしていましたけども。心理と、女性実用書みたいなところとか。あと旅行ガイド書なんかも最近だと売れている本が多いのかなっていう印象があります。

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森上:旅行ガイド書! へー。それは「以外」のジャンルですね。

三田:そうですね、去年出した『フランスの小さくて温かな暮らし 365日』っていう、フランスの観光スポットと言うか、日常で見かけるようないいところの写真を1日1個ずつ掲載しながら、その風景だとか写真の説明を加えて、みんなに見せていくっていうか。そういうかたちの本ですね。

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森上:いわゆる世界の絶景系の本プラス、ガイドもちゃんと付いているっていう。実用性も兼ね備えたというか。

三田:若干エッセイにも近いのかなと思うんですけど。

森上:なるほど。

三田:はい。それが今、5万部突破だったかな。

森上;素晴らしいですね。

三田:それぐらいまで動いていまして、売れているかなっていう印象ですね。

森上:素晴らしい。それこそもう去年は20冊を三田さんだけで出されているということですけども、企画ってどうやって決めているんですか?

三田:企画の立て方みたいな感じですかね?

森上:まず、三田さんは普段は企画の立て方ってどうしていますか?

三田:企画の立て方は、身近な悩んでいることとか、テーマ的なところとか……。去年、子どもが生まれたんですけども、生まれたときにお金がすごく心配になって、「これから、お金は大丈夫かな?」と思ったので、お金の本を作りたいなって思ったりしたことがあったんですよ。そういう自分の身近な不安をまず最優先にしていまして。

森上:はいはい。

三田:で、もう1つは結構プロデューサーの方とかからいただく企画があるので、見させてもらっておもしろいなと思ったものですとか、そういったものをアレンジして、企画書にさせてもらっているっていう。

森上:なるほどね。じゃあ、結構テーマから企画を立てることが多いんですかね? でも、人からも立てるのか。

三田:そうですね。今の考えだと、若干“人から”の方が多くなりがちなんですけど、テーマも大事にしているっていうのはありますね。

森上:なるほど。企画書を立てたあとは、すんなりいくものですか? 企画会議とかあったりするんですか?

三田:そうですね。だいたい、編集が発案したものを営業の方に見てもらって、最後は決済会議っていうかたちの、3フローなのかな。

森上:3フロー?

三田:そうですね。まずは編集の方にちょっと見てもらったりとかして、「もう少しここにこういう項目を入れてみたら?」とか、案出しをしてもらって、営業の方々に見てもらった上で、最後に決済というかたちですね。

森上:そうなんですね。会議はしっかり3回あるって感じなんですか?

三田:そうですね。会議っちゃ会議なのかもしれないですけど、そんなにガチガチにやるような感じではなくて、「こういうふうにしてみては?」みたいなことも言ってもらえますし、提案をもらうっていう。

森上:なるほど。変な話、三田さんは元々営業部にいらっしゃったから、お聞きしたいんですけども、「こんなのは営業から見たら売れないよ」っていうものも、意外と通る感じですか?

三田:「そうならないように」って言ったらおかしいんですけど、営業にも受け入れてもらえるように、ある程度「こういうニーズがあります」とか、それはしっかり説明してっていうのはありますね。

森上:なるほど。

三田:テーマで考えたり、人で考えて、いいなと思っても、最後に「社会にそういうニーズがあるかな?」っていうのは調べた上で、営業の方に回すっていうことはやっています。

森上:そうですか。じゃあ、そういう意味では、営業と編集はバチバチではないっていうことですね。

三田:そうですね。やっぱりバチバチになってしまうと、あまりいい企画にはならないかな、っていうのがありまして。バチバチになることも必要だと思うんですけど、それでもやりたいっていう気持ちも必要だと思いますし。ただ、僕があんまりそっち系が得意じゃないので、できれば納得してもらって決済に行けるといいなあっていう。

森上:いや、すごく大事です。いわゆる平和的な感じで。素晴らしい。これはタイトル決定とかも同じ様なフローですか?

三田:タイトルもそうですね。タイトル会議みたいなものはないんですけど、企画書を出すときにどういう企画なんだってわかるようなタイトルを仮でつけておいて、直前まで考える時間があるので、そのときにあまりそもそもの趣旨から逸脱していなければ、途中で変えることとか、つけることができるので。

出版営業出身の編集者だからこそできること

森上:なるほどね。それで、今度は本が出るときに、そのための販促とかのことを考えるわけですが、そのあたりは、三田さんだと他の編集者に比べたら、いろいろと仕掛けとかできるアイデアみたいなものがあるんじゃないですか?

三田:やっぱり営業をやっていたので役回りの大切さというか、どれだけ1冊の本を世に広めることができるかっていうところは専門としてやっていたので、リスペクトしながらも、どうしても自分がこういう書店でこういう仕掛けをやってみたいなとか、イベントをやってみたいなとかはあって、著者と一緒に行ったりとか、営業に同行させてもらって、書店さんにプレゼントしたりとか、やらせてもらうことがあって。

森上:結構、営業に同行したりしているんですね。

三田:やりますよね。こういうのをやりたいなっていう想いがあるので。特にビジネス書なので、反響があるお店さんっていうのが明確にわかるっていうところがあるので、そこに関しては「同行させてほしいです」みたいなことは。

森上:なるほど。すごい、すごい! でも、それに関しては三田さんご自身が営業のときに編集を連れて行ったとか、そういったこともあったりとかしたんですか?

三田:結構ありましたよ。逆に編集者の方からも「ついてっていいですか?」みたいなこともあったので、会社でちゃんと「こういうふうにします」と説明してから書店に行ったりとかしていましたね。

森上:なるほどね。よくあるパターンとして、著者さんが行きたいっていうときに担当編集も一緒について行っていうパターンはありますけど、担当編集だけで行くっていうのはすごいな。

三田:担当編集だけではいけないので、「行きたいです」って言って営業と一緒に。

森上:営業と一緒にですよね。それは素晴らしいなと思って。つくった人間(担当編集者)の顔が書店さんに売れるっていうことですもんね?

三田:そうですね。やっぱりどういう想いでつくったのかっていうのがしゃべれるっていうのは一番の強みだと思っていますし。

森上:そうですよね。

三田:書店さんとしてもそこが聞けたほうが展開につながるっていうのがあると思うので。

森上:なるほど。いや、素晴らしいですね。そういう文化が自由国民社さんの中にはあるって感じですね、編集が同行したりっていう文化が

三田:そうですね。あまり他の編集者のスタイルはわからないんですけど、僕自身はやっぱり営業上がりっていうことを自覚していまして。

森上:なるほど。

三田:営業上がりの編集者として差別化できるところはどこなんだろうと考えた結果、そういう売り場に直接足を運ばせてもらうってことを考えました。

森上:いや、素晴らしい。それは自由国民社さん以上に、もしかしたら三田さん流なのかもしれないですね。すごいな。

三田:ありがとうございます。

森上:なるほど。そんな三田さんご自身は「あそこの書店さんのビジネス書の担当者さん」とか、営業時代で培った人脈は結構使えるじゃないですか?

三田:そういうときもやっぱりありますね。ただ営業時代から……、これは皆さんご存知だと思いますけど、ビジネス書といえば、丸善丸の内本店さんでいかに扱っていただけるかっていうところが大きくて、そこで売れることそのものが全国の書店で売れることにもつながっていくというか。シンボルになっているお店なので、そこには御礼参りですとか、「イベントをやらせてください」みたいな提案をさせてもらったりするんですけど。

森上:そうですか。素晴らしいですね。土屋さん、うちで編集だけで行っているなんて聞いたことなくないですか?

土屋:聞いたことないですね。

森上:ないですよね(笑)。著者さんと一緒に、営業担当と3人で行くことはあるんですけど。編集だけはないな。素晴らしいな。いいですね。いろいろとまだお聞きしたところなのですが、お時間がちょっと。

土屋:ということで、社外秘レベルの貴重なお話までお聞きしたんですけども、そんな三田さんが担当されたおすすめの本として、『1日1分読むだけで身につくお金大全100』『定年ひとり起業 マネー編』という2冊があるんですよね。

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三田:そうですね。はい。

森上:先ほどおっしゃっていた、お金をテーマにしたお話ですよね。

三田:そうですね。

森上:これについてはまた明日、お聞きしたいとは思うんですけども。

土屋:そうですね。こちらの本についてはまた明日、お聞きしていきたいなと思います。取り急ぎ、この本のアマゾンのURLだけ貼っておきますので、タイトルを聞いただけでも気なるという方は明日の放送前までに、例えば電子書籍だったらすぐにチェックできると思うのでチェックしてみてください。ということで、三田さん、森上さん、本日はありがとうございました。明日もよろしくお願いいたします。

三田:ありがとうございました。

森上:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)

 

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