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全選挙民が投票前に読まないといけない本だと思うのでオススメしてみた

安倍晋三さんが亡くなりました。
ご冥福をお祈りします。

そして、明日は参議院選挙です。

なんだか・・・激動ですね。

個人的には安倍さんを殺した犯人を恨みます。なぜならば、今回の暗殺事件は安倍さんが残した数々の負の遺産をすべてチャラにして、悲劇のヒーローにしてしまう可能性があるからです。

ともあれ・・・ご冥福を祈ります。

「日本には差別がない」という大きな誤解

亡くなった安倍元首相含め、日本には二世議員、三世議員がたくさんいます。

いわゆる「世襲議員」です。

この世襲議員の存在こそが根源的な差別を生んでいるのではないかと警鐘を鳴らしている書物があります。

それが・・・苫米地英人『世襲議員という巨大な差別です。

 私はこの本の中で「差別」について考えていきます。
 といっても、ある特定の差別だけを俎上にのせているわけではありません。もっと根源的な差別とはなにか?を歴史を遡って見ていきます。そうすることで現代の差別が見えてくるからです。
 では、現代の差別とはなんでしょうか?
 それは人種差別であり、さらに言えば、ある特定の人々がある特定の人々に対して取る理不尽な行動と、その行動の肯定であり、固定化です。
 わかりやすく言えば、身分制度がそうです。インドのカースト制度などがその典型ですが、実を言えば、21世紀の日本にもそれはあります。その差別はわかりやすい身分制度の形をとっているわけではありませんが、確実に私たちの日々の生活を破壊しています。
 例えば、いまの日本は失われた20年、30年と言われています。なぜなら、バブルの崩壊以降、他の先進国は確実に成長しているのに、日本だけがずっとマイナス成長だからです。
 なぜこんなことが起きているのでしょうか?
 さまざまな要因が考えられますが、私は、日本に大きな差別があるからだと思っています。
 しかも、その差別をほとんどの人が気づいていません。目の前にあるのに、それが差別だとわからないのです。だからこそ、多くの日本人は「日本には差別がない」と思い込んでしまっているのです。
 そもそも差別とはなんでしょうか?
 肌の色で人を差別するというのももちろんそうですが、最も根源的なものとしては生まれによって人生が決まってしまうことです。本人がどれだけ努力しても、どれだけ才能があっても、生まれた場所、生まれた家、生まれた血筋にとって、人生が決定されてしまうことを言います。
 あるポストを巡る競争があった時、候補者の一人がどれだけ高い能力を示しても、ある人の息子だというだけで、その息子のほうがポストを奪ってしまうことを私たちは差別と言います。
 人種差別というのはこれのわかりやすい例であり、だからこそ、多くの人が糾弾するわけです。
 ところが、その一方で、私たちは生まれた血筋によってポストが決まることをそれほど疑問に思いません。例えば、ある会社の社長が息子を次の社長にした場合、ほとんどの人は「しょうがない」もしくは「妥当だ」と思うでしょう。
 しかし、この感覚は、明治以降に私たちに植え付けられた感覚なのです。

苫米地英人『世襲議員という巨大な差別』より

「社長の息子(娘)が時期社長になる」
「政治家の息子(娘)が同じ選挙区で政治家になる」

こういうことに対して、私たちのほとんどは疑問に思いません。むしろ、そういうものだろうと感じてしまいます。ところが、ここに根源的な差別が潜んでいると苫米地博士は指摘します。

でも、私たちはそこに「差別」という意識は持ちません。

そして、この感覚は明治時代以降に受け付けられたものだというのです。

いったい、どういうことでしょうか?

「差別」はつねに人為的に作られている

◎歴史を振り返りながら差別を考察
 なぜ、歴史を振り返りながら差別を考察していくのかと言えば、まさに差別が人為的に作られたものだからです。
 はっきり言えば、日本にいまある差別は、ある時期に作られたものなのです。
 その一例を挙げましょう。さきほどの、息子を次期社長に据えるというのは現在ではあまり違和感がありませんが、江戸時代であれば、ありえない選択なのです。
 なぜなら、江戸の商家では自分の息子を跡取りにするのはご法度と考えられていたからです。
 商家の息子はどうしても甘やかされて育ちます。そんな人間が店の主人となれば、家はたちまち傾くことを商人たちは知っていましたし、町の人々もわかっていました。実際、商家を実の息子が継いだら、その店の信用はガタ落ちとなり、取引を中止する問屋が少なくなかったといいます。ですから、商家では娘を有能な番頭と結婚させたり、養子に迎えて跡を継がせたりしていました。
 武家にしてもそうです。よく武家は世襲制だったと言われますが、それは大名の話であって、武家は有能な跡取りがいない場合は、実子よるも養子をとって跡を継がせます。家という意味では世襲かもしれませんが、現実には有能な人材に家を継がせていく方法がずっと取られていたのです。
 ところが、現代はどうでしょうか? 世襲を良しとし、血のつながりを素晴らしいと思ってしまう感覚すらあります。
 現代の日本人は、誰かの息子である、誰かの血筋である、ということでその人を特別視することを容易に受け入れすぎているのです。

苫米地英人『世襲議員という巨大な差別』より

江戸時代より以前は、商家も武家も身内を跡取りにすることはなかった。

これは知りませんでした。

いかに現代のほうが異常なのかがわかりますね。

「世襲政治」は日本の巨大な差別だ

 ここで勘違いしてほしくないのは、私は「差別をやめましょう」といった啓蒙をしているわけではないということです。そういう第三者的な話ではなく、私たちはいま現在、強烈な差別の中にいることを自覚しなければいけないと言っているのです。
 私たち現代の日本人はずっと差別されてきた当事者なのです。差別されてきた、被支配者の側なのです。
 ところが、ほとんどの日本人はそれに気づかず、あまつさえ、その差別を容認し、時には応援までしているのです。
「そんなまさか、そんな差別がいまの日本にあるわけないだろ?」
 いまそう思った人は多いでしょう。
 しかも、それは細かくてなかなか気づきにくい、というものではありません。その逆に私たちの目の前に常にありふれたものなのです。あまりにも見慣れ過ぎてしまったために、それが差別だと気づかないのです。
 だからこそ、この差別は根が深く、いまの日本を徹底的に悪くしているのです。
 果たして、その差別とはなにか?
 それは世襲政治です。

 私が調べたところ、親族に国会議員を持つ人間は、持たない人間の2300倍も国会議員になりやすいことがわかりました。また、昨年組閣された菅内閣20人中12人が世襲議員だという報道もありました。
 簡単に言えば、親が国会議員であれば、子供は2300倍も国会議員になりやすく、さらに大臣にもなりやすいのです。
 直近の例を挙げれば、岸信介の孫である安倍晋三氏が二度首相を務め、吉田茂の孫である麻生太郎氏が一度は首相を務め、長らく、財務大臣となり、後任には義弟の鈴木俊一氏が起用されているのが日本という国なのです。
 こんな前近代的なことがいま行われているのです。
 この現実を前に「日本は民主主義の国だ」と言えるでしょうか?
「差別のない国だ」と言えるでしょうか?

 差別とは出身や血筋によって人生がきまってしまうことを言います。ならば、間違いなく、いまの日本は差別の国です。差別を容認する国民が、差別主義者を権力者にいただく、差別社会です。
 そんな社会であっても成立しているのは、国民の多くが「自分たちには直接的な不利益はない」と思っているからです。
 しかし、ちょっと冷静に考えればわかるはずです。
 いまの日本は、世襲議員によって国政が私物化され、上級国民と言われる人たちが罪を逃れる不平等な社会になっていませんか?
 年金が破綻していてもほっかぶりして、なにかと言えば、税率を上げようとする人々がこの国を支配しています。
 国民のほぼ全員が反対しているカジノ法案を通してしまう国会があるのがこの国なのです。
 もう一度、いまの日本をよく見てください。
 不平等なことばかりではないでしょうか?

 その原因の根本にあるのが国会議員の世襲制なのです。
 こんな世の中がいいわけがありませんよね?
 皆さんもそう思うでしょう。
 しかし、こんな世の中を良しとしているのも皆さんなのです。
 21世紀の日本ではもうこんなものにノーを突きつけましょう。
 世襲議員を容認し、ありがたがる世の中を一刻も早く終わらせるために、私は本書を書きました。

苫米地英人『世襲議員という巨大な差別』より

勢いあまって、本書の「はじめに」全文を掲載してしまいました。

明日は参院選です。

あなたの選挙区の世襲議員になんとなく投票する前にぜひこの『世襲議員という巨大な差別』を一人でも多くの人に読んでほしいと思います。

苫米地英人『世襲議員という巨大な差別』もくじ

第1章 差別の源流
 ◎日本の差別の源流「穢れ」
 ◎道教と「穢れ」
 ◎当初、「穢れ」は祭祀と関係していただけであった
 ◎差別につながる「穢れ」は「祓いでも落ちない」とする考え方
 ◎アーリア人がドラヴィダ人を支配するために作ったカースト制度
 ◎釈迦はカースト制度を否定していた
 ◎変貌した仏教
 ◎日本でカースト制度とつながってしまった中国仏教
 ◎増加する「穢れ」と陰陽師
 ◎過激な原理主義者が「穢れ」を差別化していく

第2章 明治維新後も終戦まで続いた日本のカーストシステム
 ◎江戸時代の身分制度
 ◎下級武士は被支配者側だった
 ◎町人・農民たち
 ◎七分の一の命の真偽
 ◎穢田・非人
 ◎江戸時代が進むに連れてひどくなっていく差別
 ◎明治時代のマッチポンプ
 ◎四民平等の正体
 ◎大久保利通たちの本当の思惑
 ◎長州たちは本当にリベラルだったのか?
 ◎長州の差別意識
 ◎故郷の村で首を切り落とされた隊士たち
 ◎最も罪な貴族院
 ◎いまの国会に民主主義はない

第3章 現代の差別
 ◎差別の本質
 ◎日本人は世襲議員を支持していない
 ◎世襲議員の一子相伝の奥義?
 ◎Dynasties王朝政治
 ◎選挙を前にして世襲を擁護する世襲議員たち
 ◎世襲が「穢れ」である証明
 ◎世襲カースト制度を国会からなくす苫米地施策

本体価格700円、本文80ページのライトな読み物なので、おすすめです。

特筆すべきは巻末に4ページにわたって掲載されている「明治から現在まで続く世襲家系図」がすごい!

三菱財閥の創業者・岩崎彌太郎、西郷隆盛、犬養毅など、錚々たる明治時代の大物から始まる世襲の系譜が家系図になっているのですが、現代の岸田文雄、安倍晋三、麻生太郎などなど、ありとあらゆる政治家の面々まで一直線でつながっているかがわかります。

いかにわれわれ一般大衆が「上級国民」に長らく支配されているのかが、見事に視覚化されています。

全選挙民、必読です!

(フォレスト出版編集部・寺崎翼)

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