日和佐の山から
こんにちは、今回は魚のお話です。
高密路網を展開している日和佐の自伐型山林ではいくつもの沢がありまして、大水が出た時にだけ流れる小規模な沢や、割と安定して流れてる沢もあったりと。
標高は150m~300m程度と高く無いですが、日和佐川水系に直結する水源の最上流部にもあたります。
この写真は水量がある時ですが、基本的には路面に水は流れず地下を流れてる感じです。
そして、このような場所にも実は魚が生息しているのです。
それがこの
ナガレホトケドジョウ Lefua torrentis (Hosoya, Ito & Miyazaki, 2018)
という種類の魚です。
環境省レッドリストでは絶滅危惧ⅠBに分類されてます。
自然環境下で撮影した写真はたぶんほとんど無いと思います。(石下にすぐに隠れるので撮れない。)
このナガレホトケドジョウと近縁種のトウカイナガレホトケドジョウが河川の源流部付近に生息してる種でして、ホトケドジョウの仲間でこのような源流部に生息するのは世界中この2種のみという事なのです。
しかも、ナガレホトケドジョウは2018年に新種記載という事で比較的新しい発見でもあります。※以前はトウカイナガレホトケドジョウも同種と考えられていた。
孵化直後では無いがナガレホトケドジョウの稚魚(1cm程度)です。
大体、魚って孵化後の仔魚期はフワフワ浮遊してる期間がありがちなのですが、このナガレホトケドジョウは孵化後すぐに着底するらしいです。
観察してるとこの個体は割と逃げずにフワフワ浮遊してたので(成魚に比べて)撮影も可能でした。
ナガレホトケドジョウは地域によって紀伊・四国集団、山陽集団、日本海集団に区別されるみたいです。
それぞれの地域で長い年月をかけて(何千年単位)独自に成長してきた歴史があるという事です。
同じ徳島県で生息してるナガレホトケドジョウでも流域が違うと「なんか違うな~」と思ったり。もしかしたらほんとに違うかもしれないし、そうでもなかったり。これからいろいろと分かってくる可能性もありますね!
そんなナガレホトケドジョウが高密路網を展開してる作業道のすぐ横で生息してるのはうれしく思います。
作業道を展開する前もナガレホトケドジョウが生息してるのは把握してましたが、洗い越しを展開後に稚魚が再生産してるのを確認できたのは今回が初めてです。
道とナガレホトケドジョウの共存。
これからも見守って行きたいと思います☺