俺は天の川を渡れなかった。~「誰にも知られない夏物語」~/始動/
こんなに月がきれいな夜に、なんてラインだよ。
苦笑しながら、最後くらいカッコつけようと思い、既読もつけず考えていたが、何も思いつかない。
全くなんて残酷な返事だよ。あと1回会う日残ってるっていうのに。・・・なんていい子だったんだよ。
たった1か月の「誰にも知られない夏物語」だが、今でも鮮明にあの日々を思い出せる。
いつだって天の川越しに手に届く距離に君はいた。
それでも、俺はアルタイルになれなかった。
光り輝くアルタイルは流星のごとく現れ、ベガの心を奪っていった。
気づいたときには、自分をアルタイルと勘違いしていた哀れな偽アルタイルは、名前も役もないエキストラに成り下がっていた。
でも確かに、お互いに「好き」な瞬間はあった。
いくら鈍感な俺でも、言動や行動のサインにも気づいていた。
ただ、たった一言が言えなかった。
まだ、この「誰にも知られない夏物語」を書けるほど、立ち直れてはいない。
8月某日、太陽ちゃんが俺の家に荷物を取りに来た。
太陽ちゃん「久しぶり!最近どう?なんかいいことあった?」
しらばっくれ源「ないよ~(ある。)」
そのころには、ベガちゃんは、新星アルタイルに心を奪われていたのだから、嘘ではない。
太陽ちゃん「ああそうなんだ笑」
源「逆になんかあった?」
太陽ちゃん「・・・うん笑 何回か会っている人はいる笑」
源「え、マジか!笑 写真見せて!」
太陽ちゃん「えー!…でもいいの?結構イケメンだよ?」
(おい、俺がイケメンじゃなかったみたいにいうな。)
そこには、色黒で、頼りがいがありそうで、めちゃくちゃイケメンってわけではないけど、なんかスポーツやってそうな感じでおもしろい感じの・・・・ん?
(俺と系統一緒やん。(自分で言うのもなんかすごいあれだけど。)
源「うん、めっちゃ頼りになりそう!イケメンじゃん!よかったね!何回くらい会ってるの?」
太陽ちゃん「えー、結構だよ!5・6回以上は会ってるかな!」
(おい、一か月で6回は、別れた瞬間から、少なくとも週1~2は会ってるやん。)
源「はやっ!え、ぶっちゃけかぶってたっしょ笑? 気にしないから教えて!」
太陽ちゃん「そんなのかぶってるわけないじゃん!」
源「おお!それは偉いな!」
いうても、俺も別れてから、意気投合したベガちゃんと飲みに行ったのがきかけで、何度も会っていたのだから、人のことは言えない。
結局俺達は似た者同士だったということだ。
ただ一つ違うのは、太陽ちゃんの恋はこれから始まり、俺の何かは線香花火のように儚く散ったということだ。
太陽ちゃんが明日仕事だっていうのに、結局長話してしまい、急いで最寄りの駐車場まで送った。もう少しで、一日が終わる時間だった。
太陽ちゃん「じゃあね。源さん変なところあったけど、私はそういうところも好きだったよ。」
源「ありがとう笑 人間になれるよう頑張るわ!」
一瞬冗談で、「おい!ちょまっ…」と逃げる俺をひこうとするムーブをして、ゲラゲラ笑いながら、颯爽と去っていった。
最後かもしれないので、精一杯手を振った。心から太陽ちゃんと色黒さんがうまく行ってほしいと思った。
(太陽ちゃん、俺の変人さも認めてくれたいい子だったなあ。・・・・めっちゃアホだったけど。)
少し、物が少なくなった部屋は、夏の風が吹き、少し寂しかった。
ここまでの記事を、俺が地球上で世界一上手いと思っている「やなか珈琲のはちみつミルクコーヒー」を飲みながら書いている。
不思議と、黒い感情や、ぐるぐるした思いを、文字にして書き起こすと、すうっと心がほんのちょっと軽くなった感覚になる。
ここで、立ち止まっていてはいけない。
立て。
後退するな。
這いつくばるな。
上を向け。
高めろ。自分を高め続けろ。
俺は陽キャイケメンが嫌いだ。
なぜなら、いつも一瞬で好きな子を奪っていくから。
俺の人生は、いつも陽キャイケメンに狂わされた。
だが、ここで歩みを止めたら、一生勝てない。
たとえ、容姿で勝てなくても、努力で勝てるものを探せ。
自分の価値を高め続けよ。
いつか、3年後に、俺を選ばなかったベガちゃん(他多数)を後悔させるために、努力をしていこうと思う。
そう、見た目史上主義はそろそろ終わる。世はまさに、大陰キャ時代だ。
俺が、「報われなかった陰キャ」の時代を作ってやんよ!!!!!
次回。(もうちょいメンタル回復したら、)
(お互いに心から好きと思える)彼女できるまで毎日投稿、始動。
仮題
「推しの子を押せなかった大人」
「Re:ゼロから始める偽星野源恋愛生活」
「毎日投稿のはじまり」
リアルタイムで、成功を夢見て足掻く、痛くてほろ苦い限界アラサーの奮闘日々をお送りしよう。カミングスーン。