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俺が負けたヒロインが多すぎる~ベガちゃん地獄編⑥
同窓会イケメン事変から1週間後
ベガちゃん「実はイケメン君のことなんですが、会ったらわかんなくなっちゃいました。」
源「?????」
ベガちゃん「何だろう、憧れの好きだったのかな。推しと彼氏は違うなって。」
源「よく分からん...」
ベガちゃん「だからまた源さん会えますよ笑
よかったですね。」
源「あー、うん。」
ベガちゃん「最近は幼馴染からのアプローチがすごいんですよ。友達だと思ってたのに。」
源「どんな?」
ベガちゃん「俺は正直ベガのことを異性として気になってるって。同窓会君と飲みに行く約束してから燃えちゃったみたいです。そこまで言うなら告白すればいいのに。」
いやそれもうほぼ告白ですやん。
確かに6年間付き合った彼氏と別れたのだから、まあ遊びたくなる気持ちはわかる。
そこからはまた、週1ご飯に行くようになった。いつもと違うのは、幼馴染君の名前が出るようになったことだ。
ある長月の木曜日
ベガちゃん「仕事無理!会いたい!」
平日に誘ってくるのは久しぶりだ。寿司が食べたいということで、スシローに行き、その後夜の街を散歩した。
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源「結局俺のことどう思ってるの?」
ベガちゃん「好き。源さんは?」
源「この前源さんがいいって言ったじゃん?じゃあ、俺もベガちゃんがいいことに気付いたのかもしれない。」
思ってることを素直に答えた。
ベガちゃん「素直にうれしいです。うん、嬉しい。源さんのこと好きだけど、好きなんだけど、付き合えない。なんでだろう、好きなんだけどな~」
この時うっすらわかっていた。
待っているのだ。本命からの告白を。
なんでだろうねと気づかないふりをした。
主人公の候補くらいに自分を思っていたのに、名前もない役のようなスピンオフも作れないよな
立場が逆転している。
結局俺がエキストラになったか。
肌寒くなってきた。夜の散歩を提案したのは俺だ。
源「あ、ごめん。つきあわせちゃって。」
ベガちゃん「私はいいんです。私が来たかったから来たんですから。あ、明日は泊まってもいいですか?」
金曜日
2人でタコライスもどきを作った。
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ベガちゃんはほんとうに手際がいい。
いつも通りネトフリを見て、途中からは別々の布団で寝て、いつも通り起きて、朝ごはんを食べて、帰る時間になった。
土曜日の朝
源「今日は駅まで送るよ。」
予感なんだけど、何か今日が最後になる気がした。
ベガちゃん「うん。ありがと。またね。」
階段から降りる瞬間、いつものようにこちらを向いて手を振ってくれた。
そう、いつも通りの分かれ方。
だから、来週の花火大会が実現したら、ちゃんと告白するつもりだった。
土曜日の夜唐突にラインが来た。
ベガちゃん「今日、幼馴染に告白された。まだ保留にしてますけど。」
源「なんていうの?」
ベガちゃん「......おーけーしちゃうかも」
大会の日の朝だった。
源「おーけーするんだ。」
ベガちゃん「その人を逃した時に、すごい胸が苦しくなるんです。それって、好きってことじゃないですか?」
分からん。確かに、分かるけど。
源「何時に告白?」
ベガちゃん「夜9時です。」
源「じゃあ、8時45分に電話するわ笑」
ベガちゃん「なんでですか?」
源「やっぱり俺にするなら出て笑」
ベガ「いや、私の気持ちはもう変わりませんけどね。」
源「いや、1パーセントくらいはあるでしょ笑」
ベガ「んー、ないかな笑」
源「じゃあ、0.1%は?」
ベガ「それくらいならあるかも」
源「じゃあ、今日のテニスリーグ戦全勝したら、0.5%に上げといて笑」
ベガちゃん「うん、いいよ。笑」
もう時間がない。
源「じゃ、試合だから。」
ベガ「うん、頑張って。」
頑張れるわけないだろ笑
ひざはボロボロ、メンタルもボロボロでどう試合するっちゅうねん。
ただ、俺はテニスを失ったら、本当にダメになる気がした。
だから、ただ無心で戦った。ひざを使わない打ち方を思考し、ひざを使わなくてもいいように、配球を考えた。
友人ニキ「あーおはようございます。お互い頑張りましょうね!」
「あ、はい。」
「実は、右肩壊して、左手で打つことにしたんですよ。絶対に勝てないけど、少しでもポイントを取ろうかなって。」
「がんばってくださいね!」
「うん、あ、試合楽しんでね。」
がんばってじゃなく、楽しんで。顔が引きつっていたのかもしれない。
そうだ。俺は支えられている。一つつながりが消えても、全部なくなるわけじゃない。今あるつながりを大切にしよう。