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【第66話:中後編】3か月越しの陽キャと隠キャのボーダーフリー
そう、秋にも懲りずに、陽キャサークルの少人数練習に参加した。
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今日のテーマはチーム対抗戦だ。
陽キャ親近感ネキ「私、源さんと一緒だとほんと安心する!」
そう親近感ネキとはテニスの相性がいいのだ。無難にゲームを取り進め、6-2で勝利し、チームの勝利に大きく貢献した。
そして2回戦
ここが分岐点と言っていいだろう。AIでいう技術的特異点。
そうペアになったのは、
陽キャ金髪ネキだ。
陽キャ×金髪=真の陽キャといえるだろう。
もちろん前回の陽キャ飲み会編でもメンバーの中心だった。
しかし、金髪ネキは久々のテニスだったのか、ミスを連発する。相手も手堅いペアなので、初めから0ー3と劣勢のまま続く。これでもまだ半分以上の時間が残っている。
俺ができることと言えば、
「大丈夫だいじょうぶ!」
「次行こ!」
「狙いは良かったよ!」
「いつもなら打ててるよ!(そんな知らんやろ)」
と、陰キャ励ましをするだけだ。
しかしこのまま惨敗すると、さすがにあかんな。
そう、陰キャは底力があるのだ。
陰キャ!全集中!!!!
とにかく1点1点を集中して粘った。カッコつけなくてもよい。ポイントを取るためになんでもした。
その結果、
5-3で大逆転勝利をしたのだ。
金髪ネキ「きゃーーー!勝てたーーー!ほんと源のおかげ!ありがとーーー!」
源「いやいや、ネキが頑張ったからだよ!」
俺達の活躍の甲斐もあり、俺達のチームは僅差のゲーム数得失点差で優勝した。
主催ニキ「優勝チームに1000円あげる!」
源「よし、コンビニ行くか!」
金髪ネキ、親近感ネキ、陰キャ風陽キャニキを連れて、コンビニに旅立った。
4人分の飲み物(約800円)とピノを買うことになった。
親近感ネキ「普通のピノとプレミアムピノどっちがいい?」
金髪ネキ「1000円過ぎたらあれだから、普通のピノにしない?」
源「いや、プレミアムだな。俺の計算的には全然いけるわ。」
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一同「さすが公務員!」
そして会計。
店員「1054円でーす。」
なぬっ?
源「すまん財布もスマホも持ってきてないわ・・・」
親近ネキ「私も(´;ω;`)」
陰陽ニキ「俺もだ。」
金髪ネキ「私持ってきてなかったらヤバかったじゃん!」
コートまでの帰り道。
金髪ネキ「・・・んで昨日もクラブ行ってたんだけど~、
(やっぱ陽キャやなあ)
金髪ネキ「最近休みが全然取れなくて・・・。だから土日に休みがあるなんて1か月ぶりかな。」
・・・・。
金髪ネキ「だから、私は嬉しいの。こうやってみんなとテニスして、アイス食べて、飲みに行くなんてない日が。」
西日に照らされた金髪ネキは、めっちゃ陽キャだけど、今日はなんだかものすごく近くに感じた。
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そう。俺は気づいてしまった。
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陽キャと陰キャのくくりなんてものは、
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俺が作り出したまやかしだった。
闇に光がさすときがあるように、
光に闇が落ちるときもある。
表裏一体。キルアとゴン。
だから、俺は、陽キャとか陰キャとか関係なく、全ての人が共存できる世界を作ろうと思った。