【第70話】マッチングアプリ廻戦~上玉・玉砕編(櫻子ちゃん夜景編⑦)
そうだ。櫻子ちゃんだ。
夏の幻影。
2023年1番好きだった人。
俺は櫻子ちゃんと付き合うために、一途に走っていた。
どんくらい好きかというと、櫻子ちゃんの大好きなハンターハンターを快活クラブに入り浸って読破したくらいだ。
そしてその後のメッセージである。
そう。これは愛だ。
勝ち組公務員にもこの情熱を送ってあげた。
こんときは分からんかったが、俺も今見て思う。
さすがにキモすぎる。(好きやん)
そしてデート後は必ず反省会を開く徹底ぶり。
そして書ききれなかった夜景編スタート。
櫻子「ね、東京タワー見て!」
源「・・・いや、柱でここからじゃ見えんのよ笑 あ、じゃあ、外に夜景見に行かない。」
櫻子「いいですよ!」
体勢を変えた瞬間、なんか櫻子ちゃんの服の部分が若干よれて、胸の谷間が見えてしまった。見ないように意識していたが、つい目が行ってしまった。
櫻子氏、さりげなくさっと服を上げる。
ば、ばれてただと・・・!?
同時にこれはやらかしたと思った。
1 会計にて
源「ここは、俺が行きたかったお店だから出すよ!来てくれてありがとう!」
「いえ!色々出してもらったので...!」
4000円を握らされ譲らない。
「これくらいは出させてください。」
アートアクアリウム1500円。ディナー割り勘して3000円くらい。
なんなら俺のこだわりサングリアの方が高いから、むしろ今日だけで言えば俺氏+である。
2 夜景テラス
砂浜まで行こうと提案すると、
櫻子ちゃん「ここからでもよく見えますよ!(テラス)」
確かに悪くない。
しかし、鞄に、ふとレジャーシートが入っていたことを思い出した。
そう、このレジャーシートは、マッチングご指導女子B子がくれたお守りなのだ。
B子のためにも、これは使わないと!!!
源「いいね、でも街灯ない方がよく見えてきれいだから、砂浜まで行かない?」
櫻子「....はい!じゃあそれなら!」
3 夜景砂浜編
源「じ、実は、偶然レジャーシートを持ってきてたんだよね!」
櫻子「わーぐうぜん!(棒)」
座る。
ひとしきり写真を撮ったり雑談。
そこから結婚観の話になる。
櫻子ちゃん「私は、5人兄弟で、兄は結婚しました。私は戦力外なんです・・・笑 あと私29歳までに結婚したいです。もし、30過ぎたら独り身でもいいかなあって。」
源「分かる。俺も35くらいまでには結婚したいわ!」
櫻子「わー、じゃあ一緒ですね!」
源「お、おう一緒だね?」
櫻子「もし、子供産むなら、2~3人。兄と妹、姉と弟とか。」
源「うわー、分かるわ!男の子と女の子一人ずつ欲しい!」
櫻子「女の子二人なら源さんひとりぼっちになっちゃいますね。笑」
源「なんで俺女子たちから省かれる設定やねん笑」
ケタケタ笑う櫻子ちゃん。
ああ...。
俺はこの子が好きなんだなって改めて思った。
俺はこの夜景と櫻子ちゃんの笑顔ごと手に入れたいと思った。
ずっと見ていると、櫻子ちゃんと目が合う。
思いが喉元まで溢れる。
源「、、、あのさ櫻子ちゃん。
.....えーと、
源「夜景綺麗だね。(は?)」
逃げてしまった。
どこかで振られる怖さと、3回目で確実に告白すればいいやという甘えが出てしまった。
いや、2回目じゃ早いよねさすがにって気持ちも邪魔をした。
櫻子ちゃん「......あ、えーと綺麗ですね。」
ちょっとローテーションなのが気になった。
しばらく何も言えず夜景を見ていたが、ゆみちゃんがふと時計を見たので、帰ろうと提案。
源「あ、実は櫻子ちゃんにお土産があるんだよね。」
「ジンベエザメのパック」「銀河鉄道の夜ハーブティー」
櫻子ちゃん「あ、ありがとうございます。」とちょっとネタに走っていたので、ゆみ氏苦笑。
源「えとさ、今度また会わない?」
そのタイミングで3回目のデートを打診。自分にしては少し遅すぎる。
櫻子「実は、まだシフト出てないんですよ…」
....。
心にサーッと冷えたものを感じた。
源「あーーマジか!あ、あーうんおけ。」
最悪の事態を察したのもあり、語彙が出てこない。
源「ちなみに何日前に分かるの?」
櫻子「んー、3日前ですかね!」
「じゃあ、3日目行ける前提でどこ行きたい?
プラネタリウムか、渋谷スカイとか?」
櫻子「プラネタリウムですかね!」
この辺で動揺して、お台場海浜公園でなく、東京テレポート駅に行ってしまう。
なんとかモノレール到着
源「豊洲方面だよね。行こうか」
櫻子「あ、私逆方向です。汐留乗り換えなので」
このまま会えなくなるのだろうか。失いたくない。俺はまだ青かった。
源「あ、じゃあそっちで行こうかな。3分しか変わらないし。もうちょっと一緒にいたいし。」
(お前彼氏じゃないだろ。)
モノレールからの夜景
思いの外混んでるモノレール。
まだ残る暑さ。
ほろ酔いで頭は火照っている。
櫻子ちゃんと距離が近い。
甘い匂いだ。
汗が少し混じった匂い。
それでも甘い。
ダメだ源。理性を保て。
理性虚しく、
「あれ見て!」とついボディタッチしてしまう。本当によくなかったと反省している。
9月に友達と八丈島に旅行に行く。
早めに日時を指定すれば、うまく休めるとのこと。
電車で6分後に「きょうはありがとうございました。シフト分かったら連絡します~」と連絡くる。
そして、そのシフトはわかることはなかった。
1年越しの反省会
そう、客観的に見るといかに俺がミスをしていたかがわかる。
1 前提として夜勤明けで来てくれた櫻子ちゃん。
軽く夜景を見たら帰るべきだった。自分の事を優先しすぎて、相手に寄り添えなかった。
→軽くテラスで見ませんか?で気づけ。
2 下心が出ていた。
これは最悪すぎる。もう酒飲むな。
3 タイミングとか色々考えるな。
もうこの際、告白して玉砕くらいしてしまえば、ここまで燻ることはなかった。もしかしたら数%でも成功したかもしれない。
4 大人の男の余裕を見せろ。
これに尽きるわ。女々しいし、頼りなさそうだし。胸を張れ!!!
そして、俺は最後に櫻子ちゃんにアニメの1シーンの好きな曲を送っていた。
未練を残させないためか、既読だけだった。
それでいい。ありがとう櫻子ちゃん。
「4月は君の嘘」のラストシーン
流れる挿入歌。
櫻子ちゃんのおかげで俺は少しだけでも変われた。
人を好きになる気持ち。
好きな人を失う辛さ。
そして、その時、自分を高めるために努力することを誓った。
ああ、やっと。
やっと書けた。
こんだけ引っ張っといて、大したエピソードでもないが、俺にとっては鮮やかな夏の思い出だ。
ありがとう櫻子ちゃん。
俺は、新しい誰かと歩んでいくよ。
自分のことを認めてくれた誰かと。
好きになれた一緒にいれる誰かと。
ああ、今ならやっと思える。
櫻子ちゃん。
どうか、