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遠州水窪・森歩き ~初秋の森へ~   その③


 樹齢100年を超すような大木が生える森は相変わらず独特の落ち着きがある。この日は雨上がりの平日ということもあり、人の声や足音はもちろん、鳥の声も動物たちの動く音もほとんどしない。ほんとうに静かな澄んだ空気のなかを歩いた。聞いたのはカラ類と小鹿、そしてツグミの仲間(トラツグミだったか)の声ぐらい。こんな無音の世界もなかなかない。

 あちこちの地面でヒトツバカエデの黄葉が目を引く。

 この森に多いブナの木。

 空気が澄み、色も鮮やかなので、思わず森の写真をたくさん撮ってしまう。

 地図を持ってこなかったので山頂は見失ってしまったけれど、車道(天竜スーパー林道)がそば通っているので難なく元の場所に戻ってきた。天気はいまだ快晴。相変わらず誰にも出会わず、山上で一人の昼食。その後、来るときに麓で見かけた紫の花を追って下山することに。

 道路沿いに咲いていた紫の花。

近くで見ると、アキチョウジかな。

純白のジンジソウにはじまり、白い霧が晴れたと思ったら鮮やかな青空、森の地面には黄色のヒトツバカエデの落ち葉が目立ち、最後は秋のシソ科、アキチョウジの紫。雨上がりのキノコと多彩な色に翻弄された秋の水窪、森歩きの一日でした。
                                 了

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