「離婚後の共同親権とは何か」読書会#5(後半) レジュメ
【前回】
<参考文献>
長谷川京子「共同身上監護ー父母の公平を目指す監護法は子の福祉を守るか」梶村太市・長谷川京子・吉田容子編「離婚後の共同親権とは何か」(日本評論社、2019年)83頁以下
共同を推進する付属装置
1.「共同」推進論の底流ー「子どもの福祉より親の権利」
・公平さ
・似非科学に根差した「経験則」
2.監護裁判の変質ー「子どもの福祉」から「父母の平等」へ
・「父親差別」批判を梃子にした父権回復
⇒アタッチメントの問題を「父母間の公平」にすり替え
・「子どもの視点」から「父母の視点」へ
3.安全リスクを立証責任で処理したら子の安全・安心は守れない
・法律要件分類説
例外事由を主張する側に立証責任⇒立証に成功しなければ「ないこと」として処理される
4.フレンドリー・ペアレント・ルール
・DVや虐待の主張→「寛容性がない」と判断
・被害者から権利を取り上げる
5.DV・虐待主張への制裁条項
・2006年豪州法で創設
・「子の連れ去り」処罰論
6.片親引き離し症候群
・「母親は嘘をつく。それに洗脳された子どもも父親からの性虐待などの虚偽をでっち上げる」
7.紛争事案ほど「公平」のため共同親権(監護)が命じられる
・裁判官へのプレッシャー、「不公平」批判への対処
8.結果
①被害親子が安全上のリスクにさらされる
②父母の葛藤対立に子どもを巻き込まれる
身上監護を「共同」にすると何が起こるか
1.紛争事案ほど「共同」身上監護が命じられる
・「紛争家族に「共同は無理だろう、という常識は通用しない」
・客観的証拠などで証明できないDVや虐待の事案
2.接触そのものの害
・米国・・・7年間で470件余りの殺人事件(父→子・母)
・加害親への継続的接触による健康被害
3.乳幼児のアタッチメント障害のリスク
4.「共同」身上監護を維持するために起こる問題
①交替住所
・安定しない生活
・敵対する野営地の行き来
②養育の質の低下
・一貫性を欠く養育へのストレス
・実質的な養育を受ける時間の短縮
③養育費の減少
④子ども分配時間の調整と紛争激化
⑤転居制限
むすび
非監護親の利益>主たる監護親の利益>子どもの利益
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