見出し画像

大島を前線はいつ通過するの?【第59回-実技1-問3(2) 気象予報士試験の解説】

第59回気象予報士試験の実技1を解説していきます。
全ての記事を無料で公開します。
1人でも多くの人に、気象について興味を持ってもらえたらうれしいです。

問題

(2) 図9(下)を用いて、御前崎を寒冷前線が通過した時刻を10分刻みで答えよ。また、寒冷前線は南北にのびた形状で御前崎を通過し、その形状と速さを変えずに東進を続けたとして、図8に示す大島の地点を通過すると考えられる時刻を10分刻みで答えよ。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済
図8
(一財)気象業務支援センターの掲載許可済
図9
(一財)気象業務支援センターの掲載許可済

御前崎を寒冷前線がいつ通過するか

まず、問題文の誘導にしたがって、
寒冷前線が御前崎をいつ通過したのか、求めてみましょう。

(1)を解いた方なら、難しくはないですよね!
(参考)気象予報士ユキ(第59回-実技1-問3(1))

図9(下)によると、12時40分に突然、
気温が下降して、風向が変化し、海面気圧が上昇しています。

したがって、御前崎では12時40分に、寒冷前線が通過したといえます。


大島を寒冷前線がいつ通過するか

続いて、大島を寒冷前線がいつ通過するか、求めます。

そのためには、次の作戦で行きます。

  1. まず、御前崎=石廊崎間の前線の移動速度を求め、

  2. その速度で移動を続けた場合、何時に大島に到達するか

1. 御前崎=石廊崎間の前線の移動速度

まず、前線の移動速度を求めます。
速度 = 距離 ÷ 時間なので、
距離と時間を明らかにしなければなりません。

距離ですが、
わかるのは、御前崎=石廊崎間の経度差です。
御前崎は138.20°、石廊崎138.85°です。
したがって、2地点の経度差は6.5目盛、0.65°です。

また、時間ですが、
同じ前線通過という現象が80分差で起きています。
(御前崎は12時40分、石廊崎は14時00分)

以上を総合すると、
前線の移動速度は、0.65/80となります。単位は°/分です。

2. 同じ速度で移動したときの、大島の到達時刻

次に、石廊崎から大島まで、
1.で求めた速度で移動を続けた場合、
大島にはいつ到達するのか、求めてみます。

時間 = 距離 ÷ 速度 で、速度は1.と同様なので、
あとは距離を明らかにしなければなりません。

先ほどと同様に目盛を読むと、
石廊崎=大島間は、5目盛、0.5°です。

以上を総合すると、
時間 = 距離 ÷ 速度
時間 = 0.5° ÷ (0.65/80)
時間 = 61.5…

単位は分ですので、石廊崎=大島間の移動にかかる時間は約62分となります。

そもそも、石廊崎を寒冷前線が通過したのは、14時00分。
そして、その62分後に大島に到達する計算です。

したがって、解答は10分刻みで、15時00分です。
(出題者の解答例では、15時10分も可。)

まとめ

いかがでしたか?🙂

あとでじっくり見ると解けそうですが、
本番だと、焦って解けないかもしれませんね😭

速度を求めるには、①距離と②時間の情報、
時間を求めるには、①距離と②速度の情報がそれぞれ要ります。

今、何を求める必要があって、そのためにはどんな情報がいるのかを
意識しながら解きましょう!

出典など

※ 本記事における解答や解法は、個人の見解であり、(一財)気象業務支援センターとは関係ありません。