相当温位が鉛直方向に一定、その心は!【第59回-実技1-問4(2)④⑤⑥⑦ 気象予報士試験の解説】
第59回気象予報士試験の実技1を解説していきます。
全ての記事を無料で公開します。
1人でも多くの人に、気象について興味を持ってもらえたらうれしいです。
問題
④シアーライン上空の相当温位
シアーライン付近の上空の相当温位は、
周囲より高いのか、低いのかを問われています。
▲印を地上から上空600hPaまで進んでいくと、
おおむね317Kから318K程度で一定です。
これは周辺より④高いといえます。
というのも、ある高度、例えば800hPaに注目すると、
▲印の上空850hPaでは、相当温位317K台ですが、
▲印の西、東経139°の上空850hPaでは、相当温位315K台だからです。
⑤⑥西側の低相当温位気塊の厚さ
まず、問題文における「これ」とは、
相当温位が鉛直方向にほぼ一定であるようすを指します。
そもそも一般に、相当温位は、高度によって異なります。
その日の気象条件によりますが、
例えば、「南から暖かく湿った空気が流れ込んだ」ときは、
下層の相当温位が高くなっています。
にもかかわらず、今回、下層から中層まで相当温位が一定ということは、
下層と中層の間で鉛直方向に⑤対流が活発なため、
空気が⑥混合して、相当温位がほぼ同じと考えられます。
ところで、異なる高度の空気が活発に対流しても、
なぜ相当温位は同じなのでしょうか?
これは、学科一般知識の、「相当温位の保存」で学ぶことです。
⑦シアーラインと風向の関係
(1)で考察したように、11時時点のシアーラインは南北にのびており、
それは12時になってもほとんど変わりません。
一方で、シアーライン付近の風向は、
図12から、おおむね南よりの風です。
したがって、シアーライン付近では、
風向が、シアーラインの走向にほぼ⑦一致(平行)しています。
まとめ
いかがでしたか?😁
図を丁寧に読み取れば、ほとんど正解できるかと思います。
ただ、相当温位が鉛直方向に一定であることが何を意味するかは、
学科一般知識をマスターしないとわからないかもしれません。
実技と併せ、学科一般知識も復習していきましょう!
出典など
出典1:気象予報士試験受験支援会,[2008]2019,『らくらく突破気象予報士かんたん合格テキスト〈学科・一般知識編〉』技術評論社
※ 本記事における解答や解法は、個人の見解であり、(一財)気象業務支援センターとは関係ありません。