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相当温位が鉛直方向に一定、その心は!【第59回-実技1-問4(2)④⑤⑥⑦ 気象予報士試験の解説】

第59回気象予報士試験の実技1を解説していきます。
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1人でも多くの人に、気象について興味を持ってもらえたらうれしいです。

問題

(2) 18日12時になっても関東地方の気象状況はほぼ変わらず、図10(下)に示すように、強いエコー域もほぼ停滞している。このため、この付近で局地的に3時間降水量が50mmを超える大雨となった。この大雨について説明した次の文章の空欄(①)~(⑦)に入る適切な語句または数値を答えよ。ただし、①②④⑦は漢字、③は50刻みの整数、⑤⑥は下の枠内から1つ選び答えよ。

 図12によると、地上付近の相当温位はシアーライン(▲の位置)の東側のほうが西側より(①)く、シアーライン付近で相当温位の水平傾度が大きい。シアーラインの西側の(②)相当温位気塊の上端は等相当温位線の混んだ部分の上端であるとすると、その気塊の厚さはおよそ(③)hPaである。
 シアーライン付近の上空では、(②)相当温位気塊の上端から600hPa付近までは、周辺より相対的に相当温位が(④)く、およそ318Kで鉛直方向にほぼ一定となっている。これは、(⑤)によって大気が(⑥)していることを示している。また、この付近の平均的な風向がシアーラインの走向にほぼ(⑦)しているため、シアーライン付近に強雨域が形成され、シアーラインが停滞したことで、同じ地域で強雨が持続し大雨となった。

⑤⑥ 安定 凝結 混合 蒸発 対流 沈降

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済
(一財)気象業務支援センターの掲載許可済

④シアーライン上空の相当温位

 シアーライン付近の上空では、(②)相当温位気塊の上端から600hPa付近までは、周辺より相対的に相当温位が(④)く、およそ318Kで鉛直方向にほぼ一定となっている。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済

シアーライン付近の上空の相当温位は、
周囲より高いのか、低いのかを問われています。

▲印を地上から上空600hPaまで進んでいくと、
おおむね317Kから318K程度で一定です。

これは周辺より④高いといえます。

というのも、ある高度、例えば800hPaに注目すると、
▲印の上空850hPaでは、相当温位317K台ですが、
▲印の西、東経139°の上空850hPaでは、相当温位315K台だからです。

⑤⑥西側の低相当温位気塊の厚さ

これは、(⑤)によって大気が(⑥)していることを示している。

⑤⑥ 安定 凝結 混合 蒸発 対流 沈降

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済

まず、問題文における「これ」とは、
相当温位が鉛直方向にほぼ一定であるようすを指します。

そもそも一般に、相当温位は、高度によって異なります。

その日の気象条件によりますが、
例えば、「南から暖かく湿った空気が流れ込んだ」ときは、
下層の相当温位が高くなっています。

にもかかわらず、今回、下層から中層まで相当温位が一定ということは、

  • 下層と中層の間で鉛直方向に⑤対流が活発なため、

  • 空気が⑥混合して、相当温位がほぼ同じと考えられます。

ところで、異なる高度の空気が活発に対流しても、
なぜ相当温位は同じなのでしょうか?

これは、学科一般知識の、「相当温位の保存」で学ぶことです。

相当温位は、湿潤空気塊に含まれる水蒸気をすべて凝結させたときに放出する潜熱(凝結熱)によって空気塊を加熱したときの温位と解釈できますから、凝結の有無にかかわらず一定となります。なので、相当温位は、乾燥断熱変化でも湿潤断熱変化でも一定です。

(出典1:気象予報士試験受験支援会 [2008]2019:145)

⑦シアーラインと風向の関係

また、この付近の平均的な風向がシアーラインの走向にほぼ(⑦)しているため、シアーライン付近に強雨域が形成され、シアーラインが停滞したことで、同じ地域で強雨が持続し大雨となった。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済

(1)で考察したように、11時時点のシアーラインは南北にのびており、
それは12時になってもほとんど変わりません。

一方で、シアーライン付近の風向は、
図12から、おおむね南よりの風です。

したがって、シアーライン付近では、
風向が、シアーラインの走向にほぼ⑦一致(平行)しています。

まとめ

いかがでしたか?😁

図を丁寧に読み取れば、ほとんど正解できるかと思います。

ただ、相当温位が鉛直方向に一定であることが何を意味するかは、
学科一般知識をマスターしないとわからないかもしれません。

実技と併せ、学科一般知識も復習していきましょう!

出典など

出典1:気象予報士試験受験支援会,[2008]2019,『らくらく突破気象予報士かんたん合格テキスト〈学科・一般知識編〉』技術評論社

※ 本記事における解答や解法は、個人の見解であり、(一財)気象業務支援センターとは関係ありません。