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転移層って?【第59回-実技1-問1(3)① 気象予報士試験の解説】

第59回気象予報士試験の実技1を解説していきます。
全ての記事を無料で公開します。
1人でも多くの人に、気象について興味を持ってもらえたらうれしいです。


問題

(3)図4には華中から東シナ海にのびる停滞前線の転移層がみられる。このことに関連して、以下の問いに答えよ。

① 転移層の上端の気圧と転移層の厚さを、いずれも10hPa刻みで答えよ。また、その答えを基に、図4に記入されている指定気圧面の高度からの比例配分により、転移層の上端の高度と転移層の厚さを、いずれも10m刻みで答えよ。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済
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転移層って?

転移層という言葉が出てきましたが、皆さま大丈夫でしょうか?

暖気と寒気の間にあるのが転移層(前線記号:出典1)

暖気と寒気の境目を図にしました。
一般に、境目には転移層(遷移層とも)という前線帯があります。

つまり、暖気と寒気の境目には、転移層があるので、
境目はある程度厚みがあります。

また、ふつう、上空ほど気温は低くなるものです。

にもかかわらず、前線の付近では、暖気が持ち上げられているので、
下層には寒気があっても、転移層を境に上層には暖気があります。

したがって、転移層を境にして上空ほど気温が高くなっています。

(上段)転移層は上空何hPaにある?

① 転移層の上端の気圧と転移層の厚さを、いずれも10hPa刻みで答えよ。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済

その転移層がどの高さにあるのか、聞かれてしまいました。

転移層とは、つまるところ、暖気と寒気の境目なわけです。
その転移層を発見するためには、
空気の特徴が付近で大きく変化するところを探しましょう。

具体的には、
・上空ほど暖かく(気温が高く)なるところ
・湿度が大きく変化するところ

を発見するといいと思います。

図4をみると、転移層は630~650hPa付近でしょう。

したがって、上端は630hPa、厚さは20hPaです。

(下段)転移層は上空何mにある?

また、その答えを基に、図4に記入されている指定気圧面の高度からの比例配分により、転移層の上端の高度と転移層の厚さを、いずれも10m刻みで答えよ。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済

指示どおり、図4に記入されている気圧面と高度の関係をみると、
700hPaで3070m、600hPaで4270mだそうです。

これは、福岡の地上から気球(ラジオゾンデ)を飛ばしたとき、
3070m地点で気圧700hPa、4270m地点で気圧600hPaを観測したという意味です。

700hPaから600hPaまでの100hPaの間に、1200m上昇しますので、
1hPaあたり平均12mだとわかります。

したがって、転移層の上端630hPaの高さは、
1000hPaから700hPaまで3070m + 12m/1hpa × 70hPa = 3910m

また、700hPaから600hPaまでにおいて、厚さ20hPaはmにすると、
12m/1hPa × 20hPa = 240m

まとめ

いかがでしたか?(^▽^)/

転移層は、暖気と寒気の境目にあるものです。
転移層を境に、気温や湿度といった空気の特徴が大きく変わります。

そうした場所を、状態曲線から発見するといいでしょう!

出典など

出典1:気象庁「気象庁|予想天気図の説明」(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kurashi/FSAS_kaisetu.html)から抜粋して作成

※ 本記事における解答や解法は、個人の見解であり、(一財)気象業務支援センターとは関係ありません。