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ドップラーレーダーで渦を見よう!【第59回-専門-問2 気象予報士試験の解説】

第59回気象予報士試験の専門知識を解説していきます。
全ての記事を無料で公開します。
1人でも多くの人に、気象について興味を持ってもらえたらうれしいです。


問題

問2 気象庁の気象ドップラーレーダーで降水を伴った低気圧性の渦(メソサイクロン)を観測したとき、アンテナを一定の仰角で走査して得られるドップラー速度分布を表した模式図として最も適切なものを、下図①~⑤の中から1つ選べ。なお、レーダーは(レーダー)マークの位置にあるものとする。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済
(一財)気象業務支援センターの掲載許可済

たいして難しい問題ではない

ドップラーレーダーの観測結果を読み取る問題です。

ドップラーレーダー!?なんて身構えてしまいますが、
たいして難しくはありません。

さらに驚くべきことに、
第49回-専門-問2とほぼ同じ問題です。

反時計回りの渦を描いてみよう

問題文によると、レーダーに映っているのは「低気圧性の渦」だそうです。

北半球では、低気圧性の渦とは、反時計回りの渦のことです。
したがって、反時計回りの渦を、図に矢印で描いてみましょう。

レーダーと平行に移動する間のドップラー速度

問題図の凡例にしたがって、上図の矢印に色をつけてみます。
大気がレーダーから遠ざかる部分が赤色、近づく部分が青色です。

あとは、レーダーと平行に移動する2本の矢印は、何色とするのでしょうか?

ここは、レーダーから遠ざかるわけでもなく、近づくわけでもありません。
ただレーダーとの距離がほとんど変わらず、平行に移動しているのみです。

したがって、ドップラー速度は正でも負でもなく、0に近い値。
2本の矢印は、肌色とします。


まとめ

以上の検討を踏まえると、解答は⑤です。

いかがでしたか?
ポイントは、次の2点です。

  • 低気圧性の渦、すなわち反時計回りの渦を描く

  • レーダーと平行に移動する間は、ドップラー速度は0に近い


なお、ドップラー速度が0に近いということは、次の2つの場合があります。

  • 大気がレーダーと平行に移動しているので、
    レーダーとの距離がほぼ変わらない

  • 大気が静止しているので、
    レーダーとの距離が変わらない

今回の問題を解く上では気にする必要はありませんが、念のため留意しましょう。

出典など

※ 本記事における解答や解法は、個人の見解であり、(一財)気象業務支援センターとは関係ありません。