21/3/29 技能の組み合わせが新しい価値を生む

ここ最近、連続的技能習得についての記事を書いているが、連続的技能習得の最大のメリットは、複数の技能を組み合わせることにより新しい価値を創造できることである。複数の技能を組み合わせた最も有名な例としては、スティーブ・ジョブズの「コンピュータ×カリグラフィ」である。スティーブ・ジョブズはコンピュータの世界にカリグラフィの概念を持ち込んだことにより、マッキントッシュという芸術的なPCが世の中に生み出された。コンマリメソッドで世界中を席巻している近藤麻理恵さんは「掃除×執筆」という技能を組み合わせてムーブメントを巻き起こした。

エミリー・ワプニック氏の著書「マルチ・ポテンシャライト好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法」には、複数の技能を組み合わせる効用について下記の通り述べられている。

カリム・ラカーニ博士とラース・ボー・イェッペセン博士が『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌で説明しているように、「問題解決に携わる顔ぶれが多彩になればなるほど、問題は解決されやすくなる。人は自分の分野から遠い問題にも、自分の仕事で出会った解決策で対処するものだからだ」。マルチ・ポテンシャライトが独創的な解決策を思いつきやすいのは、活用できる視点をたくさん持っているからだ。私たちはたとえ一人でも、「問題を解決する多彩な顔ぶれ」そのものなのだ!
クリエイティブな貢献は、知識と経験の深さだけではなく幅広さに左右されることが証明されている。ファッション業界で最も独創的なコレクションを生み出すのは、主に海外で活動しているディレクターたちだ。科学の世界でノーベル賞を受賞するのは、一つのことに打ち込む天才というより、多くのことに興味を持つ人たちだ。一般的な科学者と比べて、ノーベル賞の受賞者は、俳優やダンサーやマジシャンとしてパフォーマンスをする割合が22倍も高い。詩や芝居や小説を書く割合は12倍高く、美術・工芸をかじる割合は7倍、楽器の演奏や作曲を手がける割合は2倍に上る」

連続的技能習得はそれ自体が人間の好奇心を満たす楽しいものであり、かつ、そこで習得した技術を組み合わせることにより新しい価値を創造ができるようになる。連続的技能習得が容易になった21世紀において、この生き方を選択しない理由はない。

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