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「知性」って何?こんな世界になってしまったのは、、、

※全文公開です。おひねりをいただければ幸いです。
日々精進していきます。

家で引きこもる生活が続く日々。

いかがお過ごしでしょうか?

SNS上では、ますますバカだアホだとの言葉が飛び交ってますね。そんな「賢い」って重要なんですか?いやもう何が正しいのか錯綜する情報の中で正しい情報を得ること自体が難しい中、誰が賢くて誰がアホなのか、即座に判断できない、、。

今日は、そんなことを書いてみたいと思います。

アニメの世界は下剋上あり

最近のアニメ、昔とヒーロー像がかなり違うみたいです。
心優しく、弱き者の味方で、何もかも完璧という、例えば「スーパーマン」のような超人がヒーローでした。
たしかに、昔もヒーローは弱点は持っていましたよ。ウルトラマンは3分しか地球にいられない、とか、スーパーマンも誰だか知られてはいけないとか、スパイダーマンもクモ男!

でも最近のヒーローはもっと半端ない!人より能力が劣っているところから始まる。

『僕のヒーローアカデミア』は、超常能力「個性」を持つことがあたり前の世界で、まったく能力がない「無個性」のデクが主人公だ。

そして『ブラッククローバー』でも、魔法世界でまったく魔力を持たないアスタが主人公。

『鬼滅の刃』も、家族を鬼に殺され、ただ一人残された妹は鬼にされてしまっているという悲惨なところから始まる。

絶望するしかないという世界を、この主人公達は「諦めない」という超強い気持ちでひっくり返していく。
鬼滅はちょっと違うけれど、ヒロアカもクローバーも主人公がヒーローになるってことを目標としている。

ゼロ、むしろマイナスのところからのスタート。
そこからの下剋上。
なんだろう?自分はダメだと思っている若者達が多いからこういったアニメが人気あるのだろうか?

知的エリート=富裕層?

私の感覚だと、日本に住む若者達は、コロナの問題が起こる前から、日本は階層が固定化しつつあり、自分はダメだと思わされている。閉塞感が半端ない!

空想の世界では、自分たちの分身のようなダメなヒーローが活躍しているけど、現実世界ではそれはムリ!なぜなら、「オールマイト」は現れないし、「五つ葉のクローバーのグリモワール」も与えられない。

もちろんわかってますけどね!笑

それだから、現実世界でダメだって思ってしまうと、ひきこもりになったり、近年では8050問題などと言われるようにひきこもりが長期化していることなど、そこに起因しているのではって思うんです。そうすると、仕事から遠ざかり、社会復帰はかなり難しい。
このコロナの問題の長期化もあるので、ベーシックインカムを今こそ導入することを考えてはどうかと思う。経済的な問題解決がまずは先決!

ってことで、経済的問題はおさえつつ、根本的には、教育のあり方を変えるってことも大きいと思う。学歴社会で、どんどん知的エリート層の固定化が進み、アニメの中のような想いだけで下剋上は望めない社会になってきている。

今までも日本に平等で民主的な社会はあったのか、と言われると、どうなんだろう?とは思うけれど。でも、今やもっと固定化の方向に進行中だと思う。

ただ、ヨーロッパのような貴族王族のいる階級社会ではないので、この経済的二極化が進む中、これからそうならないようにしていかないと!ここで何とか歯止めをかけ、方向転換していきたい。

アメリカの平等主義はどこからくるのか

その時に一つ、ヒントになるのが、アメリカ合衆国。
先日、森本あんり著『反知性主義ーアメリカが生んだ「熱病」の正体』を読み返した。


その中に書かれていたことが、これからの世界に重要なことではないかと思ったんです。

なぜトランプ大統領が絶大な支持を得るのか。
日本から日本の価値観で見ているだけでは見えてこないことがあるようだ。

アメリカは、ヨーロッパの階層社会の「知性」という基軸から脱却し、
新たな価値基準を作ってきた。
その価値基準とは、アメリカ独自に変容を遂げたキリスト教。
でも、ピューリタン的キリスト教ではなく、キリスト教に限らずあらゆる宗教の基本感覚「素朴で謙遜なる無知は尊い」という精神が基軸になっている。

その精神は、エマソンやソローが見出した自然主義的世界観を持ち、「リバイバリズム」簡単にいうと庶民的信仰の復活を説いた伝道師たちによって広められた。

「森の生活』で有名なソローは、エマソンに心酔し、弟子的な立場で支援もずっとしてもらっていたそうだ。ソローは、アメリカ合衆国の不正義に反対し、とりわけ奴隷制度、メキシコ戦争に抗議し、税金の支払いを拒否して投獄されるようなアナーキーな人物。

その「市民的不服従」という思想は、遠くインドのガンディーに影響を与えたそうだ。学者でありながら、学問を糾弾する。厳粛な良心を持つ「ハーバードを出たハックルベリー・フィン」のような存在。

その反権威思考は、アメリカ人の精神に通奏低音として流れている。
反知性は反権威であり反権力。
アメリカでは「進化論」を否定されたりする。それは、科学を信じていないというより、神の存在を信じるものにとって、精神、心の領域まで何者にも侵されたくないという徹底した反権威主義の表れである。

そう、この反知性主義は、宗教的確信に根ざした平等の精神である。
そしてトランプが支持されるのは、平民とは程遠い大金持ちなのにって考えるけれど、それ以上にアメリカでは知的エリート層が嫌われているということではないかな。平等、反権威、その精神がアメリカの民衆がどれほど大切にしてきたのか、ということだ。そして「成功」は神の祝福であるという思想がある。だからトランプは絶大なる支持を得ている。

日本では、学校で教えられることこそ真実。それこそ正義。知的エリートこそ善である学歴社会。有識者会議など重んじられ、市民の寄せるパブリックコメントなど無視されることがほとんど。学識と言われ、政策決定の会議などに出る知識人は、政府など権力側の意向に沿った意見を出すことがしばしば見受けられる。その典型的なものが「原子力村」と呼ばれた学者専門家集団。そこに、何も持たない市民はどう対抗すべきなのか。

「オールマイト」も「五つ葉のクローバーのグリモワール」も望めない世界で、私たち何も持たないもの自身がそのことを意識し学び、権威的な知性に対抗していかなくてはいけない。
資本主義とともにこの高度に知性を偏重する社会も変えていかなくては、行き詰まった世界を変えていくことはできないと思っている。

森本あんり氏曰く「真の知性は、反知性主義が育つところにあり、単に知の働き一般に対する反感ではない。反知性主義とは、知性のあるないというより、その働き方を問うものである。」

(文責 鬼灯チイ)

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