エンゲージメントと最も相関が高い「強みの活用」とは?
先日まではエンゲージメントの【5C】のコミュニケーション、コモンパーパス、コネクトに関してみていきました。
今回は4つ目のCである「コラボレーション」についてみて参ります。
【5C】のコラボレーションとは
上の図にあるように、コラボレーションとは強みを活かした人たちが役割分担し協力している状態を指しますが、ここでいう強みとは、単に「得意なもの」ということではありません。
ここでいう強みは、「エネルギーを与えてくれるもの」のことで、俗にいう、ワクワクするもののことを指します。
つまりエンゲージメントに関わる強みは、「能力」ではなく「欲求」に近いものを指します。
得意と強みは違う
私の知り合いで、TOIECが900点ある方がいるのですが、当然英語は得意です。だから社内で英語関係の翻訳の仕事があれば、必ず彼に回ってきます。英語が堪能な彼は、社内で非常に重宝され、上司からも可愛がられましたが、1年も立たないうちに会社を辞めました。
彼曰く、英語は得意だが好きなわけではない。自分が好きなのは企画したり新しい商品やイベントを考えたりする仕事で、翻訳の仕事は苦にはならないがワクワクはしなかった、とのことです。
強みが何よりもエンゲージメントに影響する
アメリカのエンゲージメントの専門機関 ADPRIの調査でも、エンゲージメントに最も相関の高い質問は「仕事で強みを発揮する機会が毎日ある」だと報告しています。
エンゲージメントは大きく分けると、従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントに分かれます。前者は会社に対しての愛着ですが、後者は仕事に対しての愛着です。
強みが活かせるかどうかは、ワークエンゲージメントそのものでもありますし、それを活かさせてくれる環境(会社や仲間)に対するエンゲージメントでもあるのです。
前述のADPRIはこうも報告しています。
つまり、いくら使命に共感してようが、良い仲間に囲まれようが、賞賛を浴びれる環境にいようが、「自分の強みが活かせない環境」に人は本当の意味でエンゲージメントしないということを示しています。
脳科学で見た強みとはどういうものか?
では強みとはどういったものなのでしょうか?
例えば、同じサッカー選手でも強みは人により違います。
ゴールをとにかく狙うストライカーと、スルーパスを通すミッドフィルダーのやりがいは違います。パスを磨く人もいればドリブルを磨く人もいます。人により強みはそれぞれ違います。価値観や脳の配線が異なるからです。
脳科学の観点から見ると、ニューロンとシナプスの結合が多い部分はそうでない部分よりも、結合の増加ペースが速いことがわかっています。
脳科学者のジョゼフ・ルドゥーが「脳の成長は新しい絵だが増えるというより、すでにある新しい枝に蕾がつくようなもの」と表現する通り、脳は「最も強い部分が最も成長しやすい性質を持っているのです。
つまり、強みとは人間の脳回路で最も成長し、最も強化され、花が咲いていいる回路の中に存在します。
漫画の単行本が順番通りに並んでいないことが気になって仕方ない人は規則性という才能を、
初めて会った人に自分から常に話しかけてしまう人は社交性という才能を育ててきているのです。
私たちの強みは、脳の配線により無意識に繰り返してきた行動が集積された周辺にあります。
強みはいつ形成されるのか?
これらの強みは、脳科学的にも心理学的にも幼少期に形成されているのが一般的です。
子供の頃、人前で話して褒められた経験がある人は、機会があれば人前で話し、また褒められて人前で話す試行回数が増えます。結果、人前では話す機会がなかった人よりも、人前で話すことが上手くなります。
それを磨き上げれば、仕事で使えるプレゼンテーションスキルになります。
私の場合は、小さいことZOIDといわれる恐竜のプラモが好きでハマっていました。「ZOID好き」を仕事に活かそうとすると、ZOIDの製造元のタカラトミーに就職する以外に活かせそうにありませんが、「ZOIDの何が好きだった?」まで抽象度を落とすと汎用性が高まります。
私はZOIDを作るときに完成図をイメージし、完成図に向けてパーツを組み上げていくときにワクワクしていたのですが、今も仕事で研修のスライドや提案書を作る時、完成図を手書きでノートにまとめてから、パワポで制作していく過程にワクワクしています。だから多少人より人よりパワポを作るのは得意です。
3000年前から変わらない強み活用の力
論語に、
という言葉があります。知ってる人は好きな人に敵わないし、好きな人は楽しむ人に敵わないという意味です。論語は約3,000年前に書かれた書物ですが、その頃から人の本質は変わっていません。
ちなみに、皆さんの強みはなんですか?
以下に簡単なワークを紹介しておきますので、もしお時間があれば強みを考えるキッカケにしてみて下さいね。
もっと専門的に知りたいという方は、アメリカの専門機関「ギャラップ」が強みに関して書籍やネット記事でまとめています。
上記の書籍を購入すれば、クリフトン・ストレングス(旧ストレングス・ファインダー)というツールを使って、下記サイトから、ご自身の強みも診断できますので、興味がある方は活用してみて下さい!