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【くもりガラスの銀曜日】ガラスの向こうの宝物【ネタバレ感想】

皆さんはもうくもりガラスの銀曜日を読みましたか?自分はイベント予告動画のオルゴール版Spread the Wings!!聞いて既にちょっと泣いてました。

くもりガラス、感動系でも、心臓を握るような重いシナリオでもないのに、読んでしみじみ「良いなぁ...」と思うと共に、イルミネのことがもっと好きになる、もっと知りたくなる。そんなシナリオだったと思います。ただ時系列の移動や今までのシナリオとの重なりも多く、一度読んだだけだと「?」ってとこも多かったので、ここに思ったことをぶちまけていこうと思います。

雨粒のインク

プロデューサーにレッスンの報告をする灯織。八宮さん、櫻木さんという呼び方からかなり序盤の回想なのかなという印象。個人的にジャックナイフ時代の灯織が大好きなので、久しぶりにキレキレの灯織さんが見れる!?というワクワク感がある。

もうレッスンを休みたくはないという発言から、「Light up the illumination」第4話にて灯織が体調不良でレッスンを休んだ後と推察される。でもこの出来事の後なら既にお見舞いに来ためぐる、そして真乃を呼び捨てにしているのでは?とか思っていると灯織は事務所の前に来た真乃とめぐるに対しては呼び捨て。  

銀曜日-2

ここ凄く丁寧な描写!仲間内同士で呼び捨てできるかどうかと、Pの前で呼び捨てできるかどうかってまた違うよね...。2人をさん付けで呼ぶ時代からいきなりPの前でも名前呼びするようになったわけじゃなくて、そこに至るまでの微妙な色彩があったことを教えてくれる。

これボイスついたら扉越しに3人の会話が聞こえてくるシチュエーションボイス風味になってドキドキしそう。

場面が変わり、事務所の倉庫で日誌を読みふけるP。めぐるが声をかけたことで回想に浸っていたことに気づく。

「忘れかけたいつかの香り『雨粒のインク』」というポエムからすると、部屋の中に響く雨音、雨の日の香り、日誌に書かれた内容...そういうものが重なって、Pがイルミネ結成当初の思い出を想起したことを「雨粒のインク」っていうタイトルで表しているのかもしれないですね。オシャレすぎます。

食パンとベーコン

朝のランニングのために集まったイルミネ。2人の距離感から察するに、「雨粒のインク」(オープニング)のレッスン報告の前後の出来事と考えて良さそうですね。

銀曜日-7

初手ジャックナイフ。でも失言したことに気づいてちゃんとフォローできるようになってて成長を感じる。度々沈黙をはさみながらもお互いに言葉を真摯に吟味しながら喋ってて、ぎこちなくはあるものの見た目ほどは気まずくなさそう。

ホトトギスの話になるとイキイキしだす真乃さんとやたらリアルなホトトギスSE。シャニマスくんホトトギスのSEってホトトギスの時にしか使えないけどいいの?このSEこれっきりだったりしない??でもこういうところできちんとSE入れてくからこそ、くもりガラスの絶妙な空気感が成立してるんだろうな。

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ここのセリフ誠実すぎない?

「イルミネはお互いを大好きだと思ったメンバーが集まったんだ」(「Light up the illumination」 第6話)

という真乃のセリフに意外さを感じ、二人のことがまだちゃんと分かってない、だから2人のことをこれからもっと教えてほしいと繋げる。

「Light up ...」のイベントの中で、灯織は真乃やめぐるがいい子なのは何となく分かってるんだけど、何となくで妥協したくない。2人のことをちゃんと好きって言えるように、2人のことをもっと知りたい。そういう灯織の強い気持ちが垣間見えるシーンになってて大好きすぎる。そんなに真摯に人と向き合うことある?

灯織の感情が完全に「トライアングル」なので、「キミをまるごと知らなくて『食パンとベーコン』」っていうポエムも「トライアングル」の歌詞に寄せて書かれていると考えて良さそうですし、灯織の「好き」に関しては真乃のS-SR、【天然色ピクニック】のエッセンスも含まれているように思える。

くもり空で場面転換。時系列としては「雨粒のインク」(オープニング)Bパートの続きとみて良さそう。めぐるの朝食が和食だったことからお父さんが朝食を作ったことを見抜く灯織、めぐるの分かり手すぎる。

そしてそれを見たPが「もうお互いについて知らないことなんてないんじゃないでしょうかーー......」と語る。確かにここまで分かり合っている姿を見ると、そう思っても仕方ない。プレイヤーの視点からしても、この3人は十分すぎるほどにお互いのことを分かり合っているように見える。

しかし「くもりガラスの銀曜日」という忘れ物をたどる旅の中で、イルミネへの解像度が上がる度に、Pも私たちも「そうじゃないのかもしれない」ということに気づくことになる。

素敵色のハニィ

電車でイルミネのグループラインに返事をする真乃。星のマークのハンカチやボールペンを買ったり、星のモチーフのアイテムが気になるのは「輝きだした12文字『素敵色のハニィ』」、イルミネーションスターズという12文字が心の中で輝いてきているからなのかも。

街角でめぐると偶然出会い、ラインで「銀曜日」という打ち間違いをしていたことに気づく。GRADでも垣間見える、真乃の友達付き合いのぎこちなさをグループライン見てなかったり、誤字ってたりするところで暗に示すの、表現が上手な分心に来るな...。

銀曜日-8

いや素敵なのはお前だ。

真乃の言い間違えた「銀曜日」という言葉を、どこにも無いけどありそうな、素敵な響きという感じ取り方をするめぐる側がすごい。「今日を『銀曜日』にしたいなあ!」というセリフがとても印象的。俺も今日を銀曜日にしたいよ...真乃...めぐる...!

さりげなく出てくる『ドーダン』いう店名。お店の名前が固有名詞で出てくるのはかなり珍しいため、ここの店名にはなにかしらギミックがありそう。
『ドーダン』の看板にある星の飾りが気になる真乃。

いつものくもり空暗転。

レッスン場でお昼の相談をするイルミネ。

灯織「あ……でも三時のおやつじゃなくてお昼?」
めぐる「基本は甘味処だけど、昼と夜は定食もやってるんだよ」
真乃「そうなんだ……っ その時間に行ったことないかも」

ここのセリフ一度目は普通に流してたんですけど、灯織が「思考を煮詰めたような味」(第5話 Aパート)で「定食もやっていたんですね。甘味処だと思っていたので......」と言及していることから、第5話よりも時系列は後ですね。

つまり、灯織は定食を出してるのは知ってるが、皆はそれを知らないと思っているのでおやつを食べに行くのかと確認しているのに対して、めぐるが『ドーダン』で定食も出していることの説明をしていて、真乃が『ドーダン』で定食も出していることに驚くといった感じで少しずつ齟齬が起きている。

ここの何気ない会話が「食パンとベーコン」ラストの「分からないことなんてない」や後に出てくる「以心伝心」という言葉をきちんと否定しているのはプロットが上手すぎる。

ひんやりと星の匙

『ドーダン』に初めて来たイルミネの3人。個人経営のお店に入って、他に客がいないの確かに不安になりますね...。真乃が自責の念に駆られはじめるが、そこは輝き始めてるイルミネ。

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2人がきちんと真乃をフォローしてくれる。灯織の「もう、別に真乃が店を決めたってわけじゃないのに」ってセリフは「だから真乃が一人で背負い込む必要はないよ」って意味なのかな?まだ灯織の言葉使いが絶妙に下手で笑顔になってしまう。食レポの茶番をこなすとこを見るに、この時期の三人はかなり打ち解けている様子。

ここ、灯織だけ服装が【手作りの心遣い】なのは【宝石色のしおり】の「ただの卵焼き」の話とかけてるのかな。

店内に響く音から雨が降ってることを察する。外を見て確かめようとするも、鍵が錆びついていて開かない。しかし雨が降ることによってくもりガラスの向こうの庭に花が咲いていることに気づく。この展開がもう美しい。

真乃「……この窓の向こう……綺麗な色だね」
めぐる「くもりガラスだから……見えそうで、見えないんだよね……」
灯織「…………見えないけど、綺麗だね」

やは~~♡雛菜、ここのセリフ好き~~~!!くもりガラスの向こうの綺麗な庭というのが、見えそうで見えない他の人の心の暗喩として秀逸。めぐるが「見えそうで、見えない」っていうのチエルアルコ的というか、人の心を決めつけたりしないめぐるらしいセリフ。「見えないけど、綺麗」というセリフも、灯織のイルミネに対するスタンスを短いセンテンスでまとめてて震える。シャニマスは即刻シナリオライターへのスパチャを解禁しろ。

「ひんやりと星の匙」というタイトルは、あんみつの温度と、この店で使われている星があしらわれたスプーン(「星空を、ひとつまみ」)を示していると考えるのが自然そう。

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三角形をひとかじり

ピーちゃんの前でイルミネへの気持ちを独白する真乃。少年漫画の最終決戦前みたいなテンションだな。

めぐるが部活で捻挫してしまい、急遽2人でライブをすることに。このシチュエーションは、【克服の特訓】でめぐると灯織が2人でライブをしたことを思い出しますね。めぐるの「本当にごめん」ってラインはめぐるの自責感が伝わってきて辛い。めちゃめちゃ気にしてそう...。

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2人だけのライブに気負う真乃を気遣う灯織。人を励ますために距離を詰めるという方法がかなりめぐる的。めぐるがしてくれたことを灯織も真乃にしてあげようとしてるのかな。

「ーーこの石は、心をつなげてくれる」といいながらメノウのお守りを真乃に渡す灯織。メノウはたくさんの結晶が集まることで作られた鉱物であり、他人との結びつきに効力のあるパワーストーンと言われています。灯織らしいやり方で真乃を励ましてライブへと向かう。

場面転換。イルミネのラジオで来週真乃がお休みするらしい。灯織×めぐるの漫才見たすぎるな。

ここで真乃の【ナチュラルモード】での話。真乃が見つけたメノウで作られたストラップ、Pだけでなくめぐると灯織にも渡してたんですね。「雨粒のインク」の呼び方しかり、Pが見てる物語の外でもアイドルは生きてるっていうテーマ、かなり「ストーリー・ストーリー」を感じる。

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「この石は心をつなげてくれる」という教えが灯織→真乃→めぐるという流れで伝わっていくの熱いな...。

めぐる「どんな時も、ちゃんと一緒にいてね、真乃」
めぐる「代わりは、どこにもいないんだから──……」

ここ、なんか分からないけど涙腺に来る。めぐるの言葉使い、シンプルだけど丁寧でストンと心の中に落ちてくるんだよな~。めぐるのセリフの合間で灯織と真乃の「代わりにはなれない」という回想が挟まれる。時間を超えて3人の気持ちが重なる瞬間。

こういう気持ちが重なる瞬間を何回も繰り返してきたからこそ、イルミネは少しずつお互いのことを知ることができたんだろうな。

「三角形をひとかじり」は文字通り、1人が欠ける瞬間の暗喩なんでしょうね。ライブのときは1人欠けるってことに対して、かなりのぎこちなさがあるんだけど、ラジオのときには離れていても気持ちが一緒だというお互いへの信頼感がある。メノウのストラップが3人の繋がりの象徴として描かれてますね。

思考を煮詰めたような味

灯織の服装が【清閑に息をひそめて】なので、灯織は忙しくて外食しがちだったころに『ドーダン』に来てるみたいですね。

清閑やGRADの時の灯織が自分のアイデンティティについて悩んでいるのは既知なんだけど、こういう具体的なシチュエーションと共にお出しされるとかなり解像度が上がってくる。

ここの店主さん、喋り方とか雰囲気的に灯織と気が合いそう。お互い喋らないけどそれを苦にしなそうな雰囲気がある。

店内に「トライアングル」が流れる。灯織は少し硬い顔で店主にこの曲を知っているか尋ね、流していたラジオから偶然流れただけと聞くと安心した表情。

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隠れ家的に使っていた店が使いづらくなるっていう感情の動きかとも思ったけれど、清閑やGRADの時の灯織という前提で見るとアイドルの風野灯織ではなく、ただの風野灯織として自分を見つめ直せる場所が減ってしまうことへの不安という風にも見える。

「ひんやりと星の匙」(第3話)で触れられたくもりガラスの向こうに、以前と違う花が咲いている様子。窓を開けようとするも、錆びついて動かないことに気づき、暗転。

「食パンとベーコン」(第1話)で受けたインタビュー。Pが決めたテーマは「<以心伝心のきらめき、イルミネーションスターズ>」。灯織で開かない窓を描いた直後にこのキャッチが出てくるの、イルミネは「以心伝心」ではないと強調されてるように感じます。

「素敵色のハニィ」(第2話 Bパート)の続き。3人は昼食をとるため、『ドーダン』へ向かう。ウキウキで歌を歌う2人が可愛い。会話の途中で回想へ移り、灯織が1人ファンレターを読む場面へ。

『ドーダン』の雰囲気を気に入っている灯織。その気持ちをきちんと店主さんに伝えられているの、見てて嬉しくなる。

灯織「......」
灯織「向こうも、くもりガラスなんですね」
店主「はい」
灯織「光と音が溢れて、とても綺麗です」
店主「はい」
灯織「そっか......」
灯織「ーー暗い時ほど、光は綺麗に見えるんですね」

ここの会話、何?達人の間合いか??

灯織が深い思索に沈んでいてほとんど独り言の域なんだけど、『ドーダン』の店主はそういう雰囲気を壊さずに灯織の語りを聞いてくれる。その結果この空間、この瞬間にしか生まれない気づきへと至る。

「三角形をひとかじり」のラストしかり、そこにしかない一瞬一瞬を切り取っていくの、忘れ物をたどるっていうテーマに合致しすぎている。

そしてこの「暗い場所から光を見つめる」というシチュエーション、GRADの「今、風野灯織になる」で客席から光るステージを見る灯織や【清閑に息をひそめて】の演出とかなりイメージが近しく、そこに繋げて読むのが正規ルートに感じます。

GRADの「今、風野灯織になる」では、大事にしていた気持ちをどうして忘れたのかと訝る灯織に、Pが「きっとさ」「灯織が、『アイドル』になったからなんじゃないかな」って答えるんですけど、「ーー暗い時ほど、光は綺麗に見えるんですね」というセリフはここに繋がってきそう。

灯織がアイドルとして輝いていたからこそ、大事なものが見えなくなっていたのかもしれないですね。そして『ドーダン』という暗いけれども優しい場所で、アイドルの風野灯織ではなく、ただの風野灯織として自分を見つめなおしたからこそ、自分の根幹を見つけ直すことができたという...。

GRADや清閑の中の、灯織が自分自身と向き合うというテーマに『ドーダン』という場所がとても有機的に絡んできていて、シャニマスの奴そこまで考えて...となって茫然としてしまう。

くもりガラスの銀曜日

真乃と灯織の雑談。ツツジは別名杜鵑といい、杜鵑とはホトトギスを表す。灯織が鳥のことをちゃんと調べてこの知識を得てるの、知らないこと、分からないことを分かるようになりたいという気持ちが表れてますね。

夕方へと場面転換。

めぐる「でも、なんだか......いいね」
めぐる「ちょっと素敵な響きだね」
めぐる「どこにも無いけど、ありそうな......」

「素敵色のハニィ」からのリフレイン、沁みる.......。と思ってるとまた場面転換。

めぐる「見えそうで、見えない.......だけど......」
めぐる「見えたらいいな......」

雨の中、『ドーダン』でくもりガラスの向こうの庭に思いを至らせるめぐる。

P「まさに、以心伝心というか......」
P「お互いで知らないことなんて、もう無いんじゃないでしょうか」

プロデューサーのイルミネに対する印象をリフレインと、思い出アピールのごとく「くもりガラス」のテーマを暗示するようなセリフをまとめてお出ししてくる。

灯織「この気持ち、全部、伝えられたらいいのにな」
灯織「その気持ち、全部、見えたらいいのに」

めぐるとシンクロするようなセリフ。自分の気持ちをうまく人に伝えられない灯織が、このセリフを口にする切実さが胸に刺さる。

そして真乃が2人にメノウのストラップを渡すシーンで思い出アピールは終わり、場面は「思考を煮詰めたような味」の灯織へ。

「このくもりガラスの向こう、見たいですか?」と店主に提案されるも、灯織はそれを断る。くもりガラスの向こうはまだはっきりとは見えないけれど、それでも美しいと思えるから。

「くもりガラスの向こうを見たいって」

「そう、思い続けていたいから」

イルミネとPのそれぞれの思いをかき集めた上で、一番美しいセンテンスを置いてくるの、情緒を破壊するのが上手。

時系列が現在に戻り、ここでPとイルミネが『ドーダン』で合流。

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銀曜日という言葉が、語源は忘れ去られたまま3人の合言葉になっている。「昨日より今日、明日と増えてく秘密の合言葉」、トライアングルの歌詞がどんどんシンクロしてきます。

他人の心はくもりガラスの向こう側のようにぼんやりしていて、綺麗なことは分かるけど、はっきりとは見通せない。

でも、イルミネはくもりガラスの向こうを見たいという気持ちをお互いに持ち続けたからこそ、銀曜日のような気持ちの重なる瞬間を何度も迎えることができた。メノウのストラップや、銀曜日といった一つ一つの積み重なりによって3人はお互いへの解像度を上げていく。

こうしてみると「くもりガラスの銀曜日」というタイトル、このシナリオのタイトルとしてこれ以外ないって思えるからすごいですね。

星空を、ひとつまみ

「ま、摩美々~~!」は流石に笑うでしょ。
日誌を読みながら「サマーミーツ」の思い出話をする一同。

くまさんのグミやたい焼きのスタンプカードで、カバンに色々詰め込むタイプだという「イルミネの知らないP」が描かれる。こんなに近くにいる人でも、まだまだ知らないことがある。

お互いの秘密を言う流れで、灯織が「めぐるならなんでもお見通しじゃない?」というのに対し、

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「Light up ...」での真乃のセリフ、「イルミネはお互いを大好きだと思ったメンバーが集まったんだ」っていうのがどんぴしゃすぎる。既に色々なことを共有しているイルミネですが、全員がお互いのことをもっとよく知りたいと思いを持ち続けています。

それを見たプロデューサーは、「以心伝心」というテーマを取り下げることを選ぶ。周囲から見たら以心伝心、分からないことなんてなさそうな3人の間にも、見えないものがあり、だからこそ「くもりガラスの向こうを見たいと思い続ける」ことで、この3人はどこまでも輝いていけると、そう思えるから。

『ドーダン』については既に調べた方も多いと思いますが、灯台躑躅とも満点星とも表記される、ドウダンツツジをモチーフにした店名です。よくそんなイルミネーションスターズの象徴みたいな花あったな。

店主さん、寡黙ぎみではあるものの、頭の中には言葉が豊かに溢れているタイプの方なんでしょうね。店名や小物に統一されたモチーフがあるの、センスが良い。

音や香りによって昔のことを思い出させていたり、くもりガラスの向こうへ目をやるきっかけになっていたり、繰り返し使われていた雨というモチーフで物語を締めくくる。

「雨粒のインク」で初期のイルミネを思い出すPのように、読者にも今までの雨が降ったシーンを想起させて余韻をもたらす。映画のエンドロールみたいな役割を果たしてますね。

時系列

「雨粒のインク」(オープニング)Aパート
(灯織がPにレッスンの報告)

「食パンとベーコン」(第1話)Aパート
(3人で朝のランニング)

「素敵色のハニィ」(第2話)Aパート
(真乃が『ドーダン』を見つける)

「ひんやりと星の匙」(第3話)
(3人で初めて『ドーダン』に入る)

「思考を煮詰めたような味」(第5話)Aパート
(灯織が1人で昼食をとる)

「雨粒のインク」(オープニング)Bパート
(レッスン前、Pを呼びに来る)

「食パンとベーコン」(第1話)Bパート
(レッスンに向かう3人)

「素敵色のハニィ」(第2話)Bパート
(3人が昼食のため『ドーダン』へ)

「思考を煮詰めたような味」(第5話)Bパート
(Pが『ドーダン』へ)

「くもりガラスの銀曜日」(第6話)Bパート

「星空を、ひとつまみ」(第7話)

こうやってまとめるとAパートの後にBパートが繋がっているだけで、意外と素直な時系列。

「くもりガラスと銀曜日」(第6話)のAパートは挟むと混乱を招くため、「三角形をひとかじり」(第4話)のABパートは場所を決めれるほどの確証が自分に無かったため省きました。第4話は入れるなら第1話と第2話の間かな。

終わりに

銀曜日、読者にも「くもりガラスの向こうを見たい」と思わせる、非常にいいシナリオでした。また、生きてることは物語じゃないという「ストーリー・ストーリー」からバトンを受け継ぎ、長い時間一緒にいるもののお互いへと踏み込まない、ノクチルイベントの停滞した空気を予感させる点も秀逸だと思います。

私のまとまりのない感想、解釈をここまで読んでいただきありがとうございました。是非皆さんも銀曜日や、関連カードを読み返して、彼女たち3人の魅力に迫って頂きたければと思います。皆さんの銀曜日解釈の一助になれれば幸いです。

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