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好調セレッソ大阪戦術分析 偽SB+偽CB?

今回は好調セレッソ大阪のビルドアップの動画を分析しました

今期のセレッソ大阪は一時的に首位に立つなど好調を維持しています。それを受けてかJリーグがビルドアップのシーンを集めた動画を出しており、とても興味深かったので記事を書くことにしました。重要なシーンをピックアップしつつ好調の秘訣を探ります

セレッソの偽SB+偽CBでのビルドアップ

基本フォーメーション

まずは基本フォーメーションから

基本フォーメーション

基本フォーメーションは4-3-3。YouTubeの動画のタイトルにもありますが、両WGは幅を取ってアイソレーションしがちでした。そこに対してロングパスを送ってプレスを回避するパターンも見られます

自陣ビルドアップでの偽SB化

ただ、1番重要なのは攻撃時の両SBの動き。まず左SBの登里選手が内に入って(偽SB化)、3-2-5になることが多いようです

偽SB化

ただ、自陣のビルドアップでは偽SBの登里選手を使うというより、先ほど申し上げた逆サイドへのロングパスを使ったり、前線から降りてきた香川選手とパス交換してプレス回避することが多かったです。敵陣に入った後のビルドアップの方で登里選手が多く関わっていました。

敵陣近くでの偽CB化

また非常に興味深いのが、敵陣近くになると右CBの毎熊選手がすーっと前に上がって行く(偽CB化)ことです。毎熊選手が右側のハーフスペースを上がってDFライン裏に飛び出し、2-2-6又は2-3-5になる形が多く見られました。記事のタイトルにもある通り、偽SB+偽CB的な動きとなります(偽CBにしては上がり過ぎかもしれませんが…)

偽CB化

相手が4バックの場合、偽SB化後の3-2-5の時点で既にDFラインは数的不利でマークが付きにくくなっています。それに加えて偽CB化で2-2-6になったら尚更マークに付きにくくなるはずです。しかもこのようにすーっと上がられると尚更マークが難しく、フリーになった毎熊選手にボールが渡ってDFラインを崩すパターンが多く見られます。セレッソ好調の大きな要因に感じています

実際のビルドアップ動画の確認

上記がセレッソのビルドアップの特徴でした。では実際の動画を見て行きます

まずは自陣でのビルドアップ動画から。敵に前からプレスに来られた時にどう回避しているかを紹介します

逆サイドへのロングパスでプレス回避

多かったのは逆サイドへのロングパスでプレス回避するパターン。特に左側からロングパスをアイソレーションした右WGに通すことが多かったです

ロングパスがポンポン出されてますが、その遠因に偽SB化がある気がしています。登里選手がボランチの位置に構えているため、敵のCFは後ろを気にしてDFラインにプレッシャーをかけにくくなります。その分、左側からロングパスを蹴りやすくなっている可能性があります

右の毎熊選手から左側にロングパスを送ってプレス回避する場面もありました

レイオフでプレス回避

後はCBから前線にボールを当てて、前向きなボランチやSBにレイオフし、プレスを回避するパターンも見られます。この時に登里選手がボールを受けることが多いです

レイオフを意識してか、ボランチやSBがボールを貰いにDFラインに寄って行きません。この点は日本代表とは大きな違いで、ハイプレス回避のためにとても重要な点に感じています

偽CB化してポケットを突く

敵陣近くになったら右CBの毎熊選手がするするとハーフスペースを上がってポケットに飛び出します

一気にポジションを上げた毎熊選手をDFがなかなか捕まえられません。ポケットでボールを貰った毎熊選手はクロスを上げたり後ろから上がってきたWGとのコンビネーションで相手を崩したり、更には自分でシュートするという選択肢もあります。結果、得点チャンスが生まれやすくなっています

まとめ

動画から見られたセレッソ大阪のビルドアップの特徴を纏めると以下の通りとなります

  • 自陣では登里選手が偽SB化。逆サイドでアイソレーションしたWGへのロングパスか、前線に当てて登里選手にレイオフすることでプレス回避

  • 敵陣では毎熊選手が偽CB化。ハーフスペースを上がってポケットに進入し、そこにパスを出して崩す

動画からはかなりの再現性が見られました。これはやはりポジショナルプレーの考え方に沿って位置的優位を上手く作っているからだと感じます

日本代表に対する示唆としてはやはりハイプレス回避のために逆サイドにロングパスを入れる意識と、レイオフのためにボールを貰いに行き過ぎない意識が必要だと感じました。個人的に学びの大きいビルドアップ動画でした

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