【レビュー】シンプルに数的有利を活かす意識を持ちたい 北中米W杯最終予選日本対中国
日本が独走しつつあるアジア最終予選C組。ここで勝てればW杯に大きく近付くアウェー中国戦。試合を振り返ります
5名の選手交代を行った日本
日本の陣形は前回の試合と同じ3421。ただ、前の試合から選手を半分近く変更してきました
中国は4312。日本対策を感じる布陣でした。詳細に説明します
中央圧縮と素早いスライドで日本の攻撃を封じた中国
試合は従前の予想通り日本がボールを握る展開。中国は日本の攻撃を防ぐために以下のような対策を取ってきました
とにかく日本にサイドへパスを出させる。中央への縦パスを通させない
2トップと1トップ下で日本のボランチへのパスコースを消しつつ、CBにプレッシャーをかける
中盤の3枚も中央を固め、日本のCFや2シャドーへのパスコースを消す
日本がWBにパスを出したらそちらにスライドして日本のWBを囲む
CF及び中盤のサイドの選手が素早くスライドし、SBの選手と共に日本のWBに対して最低でと2対1を作る
素早くスライドできるようピッチを狭くする
日本は中央にパスを差し込めず、WBに渡しても囲まれてそこから展開できずと、かなり苦しい展開。人工芝で思ったようなボールの動かし方ができなかった事情もあるようです
日本はボールを失ったらいつも通り即時奪還。中国はこのためかなかなか攻められず。日本は攻勢でも決め手に欠けましたが、セットプレーから得点を重ね試合を有利に進めます
サイドからサイドへのサイドチェンジに活路を見出す
後半は中国が前からどんどんプレスをかけるようになりました。日本は少し苦しみますが、交わしてカウンターという形
後半は停滞を打破する工夫も見られました。左サイドの中村選手が囲まれた時に右サイドの伊東選手に大きくサイドチェンジして突破するパターンが何度か発生。1-2になった直後にもそのパターンから得点が生まれ、敵の勢いを削ぐことかできました
しかし攻撃の停滞感は残りました。中国の圧力に苦しむ状況は変わらず
433に変更してからポジションに流動性が生まれて安定
その後、選手交代で形勢が変わります。特に伊東選手が橋岡選手に変わった段階で形勢が大きく変わりました。この段階で日本は久保選手が右WGに張り出して、433のような立ち位置になります
これで以下のような変化が起きました
久保選手が居たポジションに田中選手が入っていくようになった
代わりに鎌田選手が下がってDFラインからのパス回しを支援
橋岡選手は久保選手とレーンが被らないように内側に構える。4CBのようの状態に
2ボランチを消すポジショニングを取っていた中国の2CFは1ボランチ化した日本に対しどうマークに付けば良いか迷っているように見えました
久保選手の代わりに前田選手が入ってからは、橋岡選手がWBになる3421に元通り。しかしこの頃には中国もバテてきており、もうマークに付けなくなってきていました。最終的に1-3で日本の勝利
総括
チームの底上げに繋がる試合
結構な選手交代を行ったため、苦しい試合になるのもある程度仕方なかったと思います。その中で選手が工夫しようとする姿勢が随所に見られ、実際に勝ちに繋がったのは非常に良かった。チームの底上げに繋がった試合だったのではないでしょうか
3バックでの前進に拘り過ぎた可能性
中国が明らかに2ボランチを消しに来ていたことを考えると、433への変更など、2ボランチから変更して相手を惑わす変更をもっと早くに入れても良かった気がします。以下記事では3バックでの前進がテーマだったともあり、それを意識するあまりにポジションチェンジが進まなかったかもな、と感じました
手薄になるはずの裏を狙いたかった
また、もっとシンプルに数的有利を活かす攻めをしても良かった気がしました
この試合ではWBが相手のサイド側の中盤とSBの2人を引き付ける形がいくつかありました。結果、相手は残りの3枚のDFラインの選手で日本のCF、2シャドー、逆サイドのWBを見る必要性が出ます。この状態で裏に飛び出されればマークに付きにくいはずで、WBから一気に裏にボールを出すなどの試みがあって良かったと思います
これまでの試合もそうですが、数的有利の場所にロングボールをどんどん入れるという姿勢はもっと必要だと思います
今後に繋がる良い試合だった
今回の試合を通じて、これまで代表で主力ではなかった選手も3バックで相手に対策された場合にどう動けば良いか見えてきたはずです。10月の2試合でも色々な選手を試して、誰が出ても戦力が落ちないようにしていって欲しいと思います