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【レビュー】パリ五輪サッカー決勝スペイン対フランス 戦術変更で挽回したフランス

パリオリンピックサッカーの決勝はスペイン対フランスの好カード。金曜夜の試合でしかも眠れなかったこともあって観戦したのですがとても良い試合でした。振り返って行きます

まずは基本フォーメーションから。フランスは442の中盤ダイヤモンド型、スペインは433と4231を可変させるフォーメーション

青がフランスで442、赤がスペインで433

フランス優勢だった前半序盤

右サイドのポジションチェンジでスペインのハイプレスを回避

スペインの戦い方は今までと変わりなし。まず守備は相手のDFラインにハイプレスをかけます。GKまでプレスをかけることが多かったです

フランスは右サイドのオリーセ選手、ラカゼット選手、ミヨ選手が巧みにポジションチェンジしてプレス回避の起点を作ります。ラカゼット選手が外に出たり内に入ったり、オリーセ選手が前に行ったり戻ったり…

青のRCF、OM、RMが流動的に動いてRMがフリーに

DHのコヌ選手のキープ力と展開力も高く、フリーの選手が生まれた右サイドに展開してハイプレスを回避。そのまま攻め込んで先制点を奪取しました。前半初めはフランス優勢

フランスのハイプレスが機能せずどんどんスペイン優勢に

スペインのポジションチェンジを捕まえ切れないフランス

しかしここからスペインが3得点。フランスがかけたハイプレスを上手く回避し、擬似カウンターで何度も得点機会を生みました

フランスは2トップがスペインの2CBにプレッシャーをかけます。且つ、中盤ダイヤモンドが内を締めて、SBにパスを出させてからプレスをかける形

内を締めて赤のIHへのパスコースを遮断し、 SBにパスを出させる青のフランス

スペインのIHが流動的に動いてフリーになりがちなので、内を締めてそこにパスを出させない意図があったと思います。スペインのIHが戻る時にCBが追いかけて潰そうとする場合もありました

スペインの戦い方は日本戦と同じ。IHが下がってきてSBを支援してプレス回避します。CFやWGが下がって、代わりにIHが少し上がったりする時もありました。このようにスペインの前線はかなり流動的に動く上にキープ力も高く、フランスのハイプレスはなかなか効果が出ません。フランスでもここまで苦労するのかと驚きました

しかもこの試合のスペインはサイドチェンジをかなり上手く使っていました。特にマークが集まった左サイドからフリーの右SBにサイドチェンジすることが多かったです。そこからレイオフ、ドリブル突破などで一気に擬似カウンターをかけます

右サイドにできた大きなスペースにサイドチェンジするスペイン

このように上手くプレス回避したスペインが立て続けに3点を奪います

サイドで詰まり気味になり攻撃も機能しない

フランスも反撃しようとしますが、徐々に右サイドの攻撃が機能しなくなります。裏に走る選手が少なくてマークをずらせず、パスの出しどころがなくなり気味でした。結局、劣勢のまま後半へ

戦術変更でハイプレスが嵌まるようになったフランス

SBにボールが出る前からマークに付いてハイプレス

スペインが強過ぎてこのまま楽勝しそうだったのですが、フランスの戦術変更が戦局を一変させます

後半からフランスは、スペインのSBにパスが出る前にマークに付くようになりました。つまり相手のDFラインの全ての選手にハイプレスをかける形。後半早めに2枚替えたのはこのハイプレスを行いやすくするためかもしれません

スペインの SBにパスが出る前にマーク

スペインのCBは仕方なく中央中心にパスを試みます。しかし中央へのパスはフランスの残りの選手が激しくプレッシャーをかけて奪取。フランスのCBもどんどん前に出てプレッシャーをかけます。スペインはこのハイプレスに苦しみボールを失うことがかなり増えました

シンプルにクロスを放り込む

ボールを奪ったフランスは両サイドにボールを散らしシンプルにクロス。前半はドリブルを仕掛けることが多かったですが、後半はどんどんクロスを放り込む形になり、それがかなり機能しました

且つ、スペインがサイドをケアし出したら今度は中央にボールを差し込み、コンビネーションで中央を打開します。中央への縦パスとそこからのキープ、リターンの精度もとても高かったです。スペインは押されに押されて同点まで追い付かれます

フランスのエネルギー切れが試合の決め手に

結局、試合は延長に。ただ、フランスはもうハイプレスを行えるエネルギーがなかったようで、延長戦は大分劣勢でした。そのまま2失点して敗戦します

戦術の大事さを感じた試合

前半だけ見れば、フランスでもスペイン相手ではハイプレスは難しいのか、やはりスペイン相手にハイプレスなど不可能なのか、と感じる内容でした。しかしフランスが戦術を変更した後半は形勢が逆転。戦術の大事さを感じさせられた試合でした

フランスの442ダイヤモンド型はアンカー脇が空きがちです。前半はスペインのSBにパスを出させるように誘導してましたが、スペインのSBからフランスのアンカー脇までが比較的近く、そのスペースを突かれやすかったのかもしれません

442ダイヤモンドでアンカー脇が空きがちな青のフランス

後半は逆にスペインのSBにパスを出させず、CBからパスを出させる形に変更。スペインのCBからフランスのアンカー脇までの距離は遠く、パスの角度も付きにくいです。スペインはそのためにパスを差し込みにくくなり、プレス回避が難しくなってしまった可能性があります

アンカー脇まで遠いスペインのCB

あまりに戦局が大きく変わったので、もっと違う要因があったのかもしれません。時間があれば試合を見返して再度分析してみたいと思います

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