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【レビュー】北中米W杯最終予選 日本対バーレーン 結実したポジションの試行錯誤

北中米W杯最終予選の初アウェー戦。前回の最終予選はかなり苦労しており、今回も油断はできないという気持ちで見ていました。結果は0-5の快勝。流石でしたが、前半だけ見れば最悪の事態もあった内容だったと思います。試合を振り返ります

まずは基本フォーメーションから 

日本対策の可変型442

青が日本で3421、赤がバーレーンで442

日本のフォーメーションは前の試合と同じ3421の3バック。もっと選手を変えてくるかと思ったのですが、スタメンで変わったのはは鎌田選手だけでした。前田選手を左WBに、菅原選手を右WBに入れて攻守のバランスを取るかもな、と思っていたのですが…

バーレーンの基本フォーメーションは442。ただ、試合の中で結構流動的に可変する形。後述します

停滞した日本の攻撃とその要因

3バック全員にプレッシャーがかかりパスが出しにくい

日本の前半の攻撃は少し停滞気味。バーレーンは守備時にサイドハーフが前に出て433気味になり、日本の3バックに1対1にプレッシャーをかけてきます

バーレーンが433気味になり日本の3バックと同数に

しかも前線からDFラインまでをかなりコンパクトにして、パスを差し込むスペースを与えません。これらのために日本のDFラインでのパス回しが停滞した感を受けました

バーレーンの陣形がコンパクトなこともあってか、日本は裏のスペースにシンプルにロングボールを蹴ることが多かったです。特に左サイドの三笘選手が裏のスペースを積極的に使う形。パスも通ってましたし、良いやり方だったと思います

数的優位を作れず突破力がない右サイドが停滞

押し込まれたバーレーンはサイドハーフが下がって532的に変化。5トップ気味の日本に対して数的不利に陥らないように守備をします

5バック化して日本の前線に対して数的同数にするバーレーン

数的同数に近い中、左サイドは三笘選手の突破でチャンスを作ってましたが、右サイドは停滞しました。堂安選手も南野選手も突破力がある選手ではなく、数的同数をなかなか崩せませんでした

可変の仕方がかなり効果的で、しっかり日本対策をしてきたなと感じます

前線に数的優位を作ることで攻撃が活性化

困った日本は守田選手中心にポジションの試行錯誤を始めます。守田選手が上がったり、逆に下がって遠藤選手を押し上げたり、鎌田選手が逆サイドに行ったり…DFラインに対して数的優位を作る意図があったのだと思います

守田選手が上がって数的優位の中でフリーに

実際にこのポジションの試行錯誤の辺りから中央への縦パスが通るようになりました。特に後半は中央へのパスがかなり通るようになり攻撃が活性化。伊東選手が入って右サイドが機能するようになったのも活性化に繋がったと思いますが、中央が使えるようになったのが大きかったと思います。日本は順調に得点を重ねました

守備面では不安定さが垣間見えた

一方で守備は不安定さが垣間見える形に

3バックの構造的欠陥を突かれる

バーレーンはボールを奪ったらとにかく日本の3バックの外側にロングボールを入れてきました。日本のWBの裏のスペースを突く意図があったのだと思います

日本のWBの裏にロングボール

日本は両WBも献身的に下がって守備。しかしロングスローでドタバタする場面もあり、不安定さが垣間見えました。アジアカップと同様、両WBの守備力、特に高さの不足を狙われている感はありました。この感じだと強豪とやると失点は避けられんなぁ、と感じます

前からのプレスも空転気味

それを防ぐためにもロングボールが蹴られる前にボールを奪いたいところですが、前からのプレスが空転気味でロングボールを蹴られがちでした。相手の4バックに対し、数的不利のままプレスをかけることが多く、簡単にロングボールを蹴られてしまった印象です

バーレーンの4バックに対しプレスがかかり切らない

自分達が3バックでロングボールに勝ちやすいために意図的にそうしていたのかもしれません。ただ、中国戦でも同様の問題は見受けられ、単純に日本の不足な気がします

攻撃はかなり良いが守備がまだまだ不安

バーレーンがかなり日本対策を練ってきたことが見える中、試行錯誤を繰り返してそれを打破した日本代表。攻撃に関しては相手がどんな対策を打っても対応できそうな感を受けました。安心感が凄い

守田選手が攻撃面で人数不足に陥っていたために3バックを提案したという動画がありました。3バック採用は守備面が理由かと思っていたのですが、確かに攻撃面の進化の方が著しいと感じます

翻って守備はまだまだ不安。やはり前からのプレスがかからないと厳しいのでは、と感じます。強い相手と戦うまでに改善されないと不味そうです

久保選手に関する余談

久保選手のど真ん中ぶち抜きパスは強烈でした。何度も見返したくなるぐらいにビビるし素晴らしい。日本の至宝だと思っています

一方でスタメンからは外れました。南野選手の充実ぶりと裏抜け、そして得点力を期待したのだと思います

基本的にこの試合の初めの日本はかなり裏抜けを繰り返していました。相手を押し下げると共に、裏にボールを出して取られてもカウンターを喰らいにくいという理由もあったのではないでしょうか

久保選手も裏抜けはしますが、どちらかと言えばボールを貰いに下がるタイプ。それによる良さはありますが、ボールを取られるケースも散見され、リスクを下げたい試合では使いにくいのだと思います

このままでは強豪に対峙するほど使いにくい選手になるのでは懸念します。もっと裏抜けにトライする、ダイレクトにゴールに向かうという姿勢が必要なのかもしれません。そういう点でもリバプールに行って欲しい…

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