フットボール統計学 xGを嫌う人々へ MPR

今シーズンからヨーロッパではMatch Of The DayやSkyなどでxG(期待点)が導入されている。

フットボール統計学 xG(Expected Goal、期待点)とxA(Expected Assist、期待アシスト)を再確認する

xGやxAに加えて、xGChainなど、関連する指標はこのブログで何度も紹介しているので、以上のリンクを確認してほしい。

xGは分析コミュニティ内ではよく理解されているが、そのコミュニティの外では一部の人々を困惑させ、怒らせるようである。アンチアナリストの間では、アナリティクスの動きに間違っているすべてのもの、つまり、不気味で不透明で無関係なものの象徴となっている。ESPNの専門家Craig Burley氏は、共同プレゼンターのGabriele Marcotti氏がバイエルン・ミュンヘンとアトレティコ・マドリーのチャンピオンズリーグの試合を分析した際にxGを挙げたときに、メルトダウンになったことが有名である。そしてJeff Stelling氏はxGを「絶対無意味—フットボール史上最も役に立たない統計」と呼んだ。

筆者(Garry Gelade氏)は人々がxGについてうんざりしている理由が分からない。恐らくそれは小数点以下のゴールのコンセプトかもしれない。恐らく確率論的な期待のコンセプトかもしれない。恐らくネットに突き刺さるボールよりも少し抽象的なものへの疑惑かもしれない。恐らく単に新しいことに対する恐怖かもしれない。フットボールにおいて未知の現象ではない。

恐らく、xGに含まれる疑いのない有用な情報をレポートするために、より良い統計が必要になるかもしれない。この記事では、xGに基づいた潜在的な試合の結果をレポートする方法を説明したいと思うが、より理解しやすいと思う。この指標をMPR(Most Probable Result、最も可能性の高い結果)、MPR2(2番目に可能性の高い結果)と呼ぶ。


MPR


試合のMPRを構築するために、まず、個々のシュートの期待値(xG/each shot)を通常の方法で計算する。期待値を合計して各チームの合計期待値(すなわちxG)を与える代わりに、可能なスコアの分布を得るために多数の試合をシミュレートする。1つのシュートの期待値はその状況での得点の平均確率であるため、不規則過程を使用して試合結果をシミュレートすることができる。シュート毎に、0と1の間の乱数を選択する。この数値が期待値よりも小さい場合はゴールを、大きい場合はノーゴールを記録する。何度も試合をシミュレートすると、各チームの得点の分布になる。

例えば以下の図は、マンチェスター・ユナイテッドが2018年3月5日にクリスタル・パレスと対戦した試合で得点をシミュレーションした結果を示している。ユナイテッドはこの試合で17本のシュートで3得点し、xGは1.44だった。パレスには10本のシュートがあり、xGは0.78で2得点を記録した。

両チームともこの試合ではxGを上回っていたが、上図は、マンチェスター・ユナイテッドの最も可能性の高いスコアが1ゴールであったのに対し、パレスの最も可能性の高いスコアは0ゴールだったことを示している。この試合のMPRは1-0でマンチェスター・ユナイテッドの勝利である。

また、各チームの得点が独立であると仮定すると、得点の同時確率を計算することで、2番目に可能性の高い結果(MPR2)を見つけることもできる。MPR2は1-1となることが分かる。MPRの得点はマンチェスター・ユナイテッドが勝利に値することを示唆しているが、パレスは引き分けた可能性もある。

元の記事では直近20試合のMPRとMPR2を示している。


まとめ

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