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Jubilo Diary【J2 第11節 ジュビロ磐田対大宮アルディージャ】~裏へのロングボールが少なかった要因の考察~


お久しぶりのJubilo Diaryです。今回は大宮アルディージャ戦について振り返りたいと思います。

テーマはずばり、
「裏へのロングボールが少なかった要因」です。


前節の松本戦は裏へのロングボールが有効的な試合でした。その松本と大宮は同じ3-4-2-1を採用しており、一見守り方も似ているように見えましたが、大宮戦は「裏へのロングボールが少ないな」と感じながら試合を見ていました。

同じように感じた方はいらっしゃいますか?


もちろん小川(航)選手がスタメンではなかったことも影響しているでしょう。

しかし、見直してみると、松本と大宮の守り方にいくつか相違点があり、それによってロングボールを出さなかった(出すタイミングがなかった)のではないかと感じました。

ぜひ一緒に考えてみてください!


この試合のMVP投票結果はこちら。



裏へのロングボールが少なかった要因の考察


本題に入る前に、松本の守り方を振り返り、裏へのロングボールが有効だった理由を考えてみます。


松本の守り方を端的に表したのが以下の図です。

特徴的なのが磐田のビルドアップ隊がボールを保持している際、対面の選手が前に出てくることです(下図;円で囲われている部分)。

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それと連動するように、松本のWG(図では㊷)が磐田のSBへのパスコースを潰し、圧力を高めます。ただこの時、磐田にはスペースを得る選手がいます。それはSH(上図では松本選手)です。

大井選手から松本選手へのパスコースは、中美選手の立ち位置で遮断されていますが、大井選手⇒小川選手⇒松本選手とダイレクトでパスを繋げることができれば一気にチャンスとなります。

そこで松本は、フリーになる磐田のSHに対してCBが対応しました。最終ラインを上げることで。

磐田からすると、SHは対応されます。しかしその一方、最終ラインの裏にスペースを見出すことができます。つまり、相手が前に出てきたことで裏にスペースが空き、ロングボールが有効手段となったわけです。


松本戦で裏へのロングボールが有効的だった理由を簡単にまとめると

①松本が磐田の最終ラインにアプローチ
②フリーになるSHに対応するために、最終ラインを高くする
③磐田の選手が裏へ抜け出すスペースを得る

という流れです。
松本と大宮では、②のSHへの対応方法が異なっていました。




その大宮です。

最終ラインへのアプローチと、それに連動したWGのアプローチは基本的に松本と同じです。

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SHへの対応方法はどうだったのか。

松本はCBが対応するために最終ラインを上げるという選択を取りました。一方の大宮は中盤の選手(上図では㉖)がスライドしてSHに対応しました。

するとどうなるか。
この方法ではCBが対応しないので、最終ラインを上げる必要がなくなります。すなわち、磐田は裏へ抜け出すスペースを得られないということです。

相手が前に出てくるタイミングで裏へロングボールを出すことは、相手のベクトルを変えることにもなります。その観点から見ると、大宮は最終ラインを上げる必要がないので、仮に裏へロングボールを出されても問題なく対応することができたでしょう。



したがって、「どうして裏へのロングボールが少なかったのか」という疑問に対する個人の見解は、

「大宮は、磐田のSHへの対応方法が松本と異なっており、それにより最終ラインを上げる必要性がなかった。結果、磐田は裏を狙えるタイミングが少なかった」が一番の要因だと思います。

付け加えると、「最終ラインへのアプローチに行くか行かないか」という判断も異なっているように見えました。

「行けるときは行く」という判断が多かった松本に対し、大宮は「磐田が低い位置でボールを保持しているときはアプローチに行く。ミドルゾーン(センターライン付近)の場合は5-4-1でブロックを作る。」という意思統一がされていたように思います。

大宮のように、磐田のSHに中盤のスライドで対応する場合、2枚の移動距離がとても長くなり相当ハードだと思います。しかし、5-4-1でブロックを作ってしまえば4人のスライドで対応可能となるので、使い分けるのは効率的だなと思いました。


この守り方について別角度から見てみます。
改めて上と同じ図です。

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磐田のSBにボールが渡った場合(上図で㉔小川選手がボールを持ったと想像してみてください)、この守り方だと前・横・前斜め全てに大宮の選手が立つことになります。この試合はショートカウンターを受けるシーンが多かったですが、出しどころがなくなる状況を作られたことが要因の1つになっていたかなと思います。


ここまでが今回の本筋です。松本戦と大宮戦は相手が同じシステム(3-4-2-1)でした。しかし対応方法が異なったため、磐田の攻め手が変わる試合だったかなと思います。

では、そんな大宮相手に磐田は成す術がなかったのか。
ここからは、最初の問いから離れて気になった部分を余談としてまとめたいと思います。よろしければ引き続きご覧ください!

余談① 大森選手の巧みな動き
~大宮中盤の移動距離をさらに広げてしまえ~
余談②CKのストーン配置




余談① 大森選手の巧みな動き
~中盤の移動距離をさらに広げてしまえ~


先ほど、フリーになる磐田のSHに対して大宮は、中盤の選手をスライドさせることで対応したと書きました。

逆にそのタスクを利用した大森選手の動きが何回かあったのでまとめてみます(下図)。

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それらの場面で大森選手は、上図のようにサイドへ流れる動きを見せていました。そして大宮の中盤の選手はその動きに付いていきます。

この状況で磐田のSBにボールが渡った場合を想像してみてください。

先ほどのシーンでは前・横・前斜めのコースに相手の選手が立っていましたが、上の図では前斜めのコースが空きます。ここを利用して前進できたシーンが何度かありました。相手を動かしてスペースを得る有効的な動きでした。


一方でこんな疑問を抱きませんか。
「前半はなぜできなかったのだろうか?」って。


その要因の1つにはFWの人選があると思います。

前半はルキアン選手と中野選手の2トップでしたが、中野選手は右サイドに流れることが多かったです。それは前半の平均ポジションにも表れています(下図)。※DAZNハーフタイムより

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松本選手との距離がとても近いです。

つまり、前半は中野選手が右サイドに位置していたことで松本選手が動くスペースを埋めてしまっていたのではないかと推察しています。

後半からは中野選手に代わり小川(航)選手が入りました。小川選手はサイドに流れる場面があまりなく、大森選手には使えるスペースがありました。そのため、上述したような場面が生まれたのではないでしょうか。後半は大宮の選手の足が少し重くなり、スライドが遅くなったこともスペースを得られた要因の1つだと思いますが。

誰が悪いとかではなく、選手の特徴の違いですね。



余談② CKのストーン配置


※ストーンとは特定の選手をマークせず、危険なエリアにあらかじ配置された選手のことを指します。

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上図は前半の大宮CK時(手前から)の磐田のストーン配置です。ストーン役は中野選手とルキアン選手の2人が担っていました。その他の選手は大宮の選手をマークしています。

これを見て、「ゴール前(ゴール正面;丸の範囲)がすっぽり空いているけれど、そこで合わせられたら怖いなー」なんて思っていました。


ところが後半になるとストーン配置が変わります。

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前半と同じ位置に加えて、ゴール正面にストーンが1人立ちました。こっちの方が安心感がありますよね。

そこで不思議なのが「なんでストーン配置が変わったのか」です。


松本戦のCKを確認してみると、前半後半に関わらず大宮戦後半と同じ配置でした。となると、考えられる変更理由は「人」です。

大宮戦前半のFWはルキアン選手と中野選手。一方、大宮戦後半と松本戦のCK時はルキアン選手と小川選手でした。ストーン役は身長の高い選手が多いことを考えると、FWの人選によってストーン配置が変わったというのが今のところの推察です。

実際、ニアポストに立つストーン役は様々ですが、小川選手・ルキアン選手の立ち位置は固定でした(2人の間で入れ替わりはある)。



松本戦以前のCKを検証していないので根拠の薄い推察ですが、そんな観点で今後の試合のCKを見たら面白いかもと思い、まとめてみました次第です。




終わりに


最後までご覧いただきありがとうございます!

今回は省きましたが、ショートカウンターでゴール前に迫られるシーンがとても多かったですね。失い方が悪いのはもちろんですが、被カウンターのリスク軽減は考えておきたいところです。



お盆休みはもう少しで終わってしまいますが、気持ちよく仕事に復帰できるよう、千葉戦は何としてでも勝利が欲しいです!

松本戦前に勝利祈願として買った信濃ワインをもう少しで飲み切るので、千葉戦前には千葉産のお酒を買おうかなと思っています。埼玉産のお酒を買っていなかったことが勝てなかった要因かもしれませんからね…

こんなことを書きながら、皆さんがゲン担ぎをしているのか・どんなゲン担ぎをしているのか、とても気になりました。#ジュビサポのゲン担ぎ なんてハッシュタグがあったら面白そうですね。

思っただけです。ではまた!



10節を終えてのJ2とジュビロをまとめています。よろしければこちらもご覧ください!