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Jubilo Diary~確かな地力と今後の伸びしろ~【J2 第6節 対ギラヴァンツ北九州】


今回は7/19(日)に行われたギラヴァンツ北九州戦について振り返ります。振り返るポイントは、1.プレスに対する出口、2.先制点です。ではさっそく。

*本文中に出てくる①のような〇数字は全て背番号を示します。



スタメン

ジュビロ磐田

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磐田は前節から6人変更と大きく入れ替え。福岡戦ではコンディションが良くなかったように見受けられたためその影響か。


ギラヴァンツ北九州

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対する北九州は、中3日にもかかわらず前節からの変更はなし。直近3試合で2勝1分、無失点のいい流れを継続したいという意図か。




確かな地力
~プレスに対する出口~


前節の福岡戦では、激しいプレスと強固なブロックの前にチャンスを作れず敗れた磐田。

福岡と形こそ違えど、ギラヴァンツ北九州も前からプレスをかけるチームであり、どう対応するかに僕個人は注目していた。



まずは北九州のプレスのかけ方をおさらいする。


ボール非保持時の北九州は4-4-2もしくは4-4-1-1など時と場合によるが、プレスのかけ方はあまり変わらない。2CBに対してはFW1枚とSHが前に出ることが多い。

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相手の最終ラインが3人の時も同様で、中央のCBにはFW1人が対応し、両サイドCBにはSHが対応する(上図 伊藤選手⑮に対し、SH⑩高橋選手がプレス)。

また、北九州のSBは連動して相手のSBまでアプローチを行う(上図③福森選手が⑬宮崎選手に)。


このやり方は試合前に確認した2試合(岡山戦、京都戦)でも同様であったため、対磐田ではないと思われる。


これに対する磐田の出口となったのは、SBの裏もしくはSHの背中であった。




SBの裏


北九州のSB(図では③)が前に出てくるならばその裏を使えばいいよね、というシーン。

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これは伊藤選手のキック精度もさることながら、左CBに左利きを置ける最大のメリットでもある。

このようなシーンは他にも見られていたため、どこが空いているのかをみんなで共有して実行に移せた良いシーンだと思う。




SHの背中


もう1つの出口。


こちらはSHがCBに来るならサイドで数的優位を作れるよね、というパターン。

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SH(上図では㊴)がCB㉝藤田選手にアプローチ。けれどSB㉜永田選手は連動できずサイドで2対1の状況に。


この辺りは試合前のイメージ通り。
こういう予想が当たるのも試合中の楽しみだったりする。



先ほどと同じ図

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先ほどの図に話を戻す。何気ないシーンではあるが、㉝藤田選手がボールを持ち運べたことで相手をズラし、前進ができたシーンである。

これができるのは藤田選手の特徴であり、現CBの中でも稀有である。ここはもっと評価されてほしいと思う。


サイドに起点ができると、SHの⑩山田選手がCB-SB間に走る。北九州の特徴として、CBは基本的に中央に留まりCB-SB間は中盤の選手(図では⑰)がカバーする。

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前半はこの形から惜しいシーンをいくつか創出できていた。




ここで何が言いたいかというと、予想当たったぜ!ということではなく、これらのパターンがこの試合用で準備したわけではないことである。


SBの裏やCB-SB間はどの試合においても磐田の狙っている形であり、それを効果的に使えたという点で、磐田の地力を感じることができた。






続いて先制点の話に移る。これまでの内容と関連させると、



CB-SB間の攻略は先制点にも当てはまる。
と表すことができると思う。


これは間違いない。間違いないのだが、北九州側から見ると少し違った見え方ができる気がするので先制点のシーンを振り返りたい。

一言で表すならば、可変システムゆえのギャップとなるだろうか。




先制点
~可変システムゆえのギャップ~


ここで言う可変システムとは攻守において立ち位置(フォーメーション)が変化することである。

これは磐田も行っている。⑦上原選手が最終ラインの中央に下がってビルドアップに加わることもその1つである。


北九州も同様に中盤の1人(下図⑰)が最終ラインに加わる。しかし磐田と下がる場所が違う。CBの左に下がるのだ。

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これは開幕戦でも見せていた気がするから、今季のやり方なのだと思う(昨季は見ていないため不明)。

その他はSHが内側に入るなど、基本的には磐田とクリソツである。ここでは⑰加藤選手が下がるということを覚えておいてほしい。

降りる位置の違いによりどういうメリットを享受するのかの見解は置いとくとして、先制点について少し前から振り返る。





先制点までの一連の流れは北九州のスローインから始まる。

カメラがピッチ外を向いていたこともありはっきりとは分からないが、おそらくスローイン時の北九州は前述した可変の位置取りを取っていたと思われる。

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その後、⑩山田選手から⑧大森選手へのパスが出されるタイミングで、最終ラインに下がっていた⑰加藤選手が元の位置へ戻る(下図)。

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ここで注目したいのは磐田⑯中野選手のポジション。これは推測になるのだが、元々はスローイン時に最終ラインに下がっていた⑰加藤選手をケアしていたと思われる。


その⑰加藤選手がポジションを元の高さに戻したことで、中野選手はフリーな状態でCB-SBに位置取る結果となったように見える(上図)。


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北九州側から見ると、最終的には中野選手に対応できなかっことが主要な失点要因となるのだろうが、その発端、その要因の一部には可変システムによるポジション移動で生まれたギャップがあると感じた。



狙ってはいないだろうがその隙を突いて先制点を上げたのは見事の一言に尽きる。

同じような可変システムゆえのギャップによる失点、あるいはピンチが磐田にも起こりうる可能性があると思ったため、ここであえて取り上げてみた。


欲しかった先制点、帰ってきた中野誠也、最高!



ここからは個人的にピックアップしておきたい2つの点をまとめておく。三木選手についてと試合展開について。



ピックアップ
~三木選手/試合展開~



三木選手


三木選手について触れないわけにはいかないだろう。
まずはリーグ初先発おめでとうございます!

交代後の表情を見ると悔しさが残っただろうが、小川(航)選手、ルキアン選手の2人を休ませるという選択を取ることができたのはフベロ監督が三木選手を信頼している証だと思うので、一歩一歩進んでいって欲しいしその成長を見届けたい。




パフォーマンスの話をすると、この試合の三木選手の主なタスクの1つは以下だったのではないかと推察する。


守備:サイドへ誘導する
攻撃:最終ラインと駆け引きし深さを確保する



守備:サイドへ誘導する

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この試合は⑳ルリーニャ選手含めてFWがアンカー(上図㉕)へのパスコースを消すことを意識していたように見えた(上図)。

中央へのパスコースを消すことができずに前進を許すことが多かったこれまでの試合を鑑みると、守備のタスクは三木選手が一番うまいのではないかと感じた。


しかし特に前半、守備がそこまで上手くいっていないと感じた人も多いのではないだろうか(少なくとも僕は感じていた)。


その理由の1つは、サイドへ誘導はできても結局どこで奪うの?が設定できていなかったからだと思う(下図)。

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この試合に限らず、どこで奪いたいのか分からない試合が多いのは伸びしろとして今後に期待したい。




攻撃:最終ラインと駆け引きし深さを確保する


この試合、三木選手がサイドに流れるシーンはあまりなかった。下がってボールを受けに来るシーンも少なかったはず。それにより三木選手がボールを触る回数は少なかった。


ただし、チームはそれによる恩恵を受けていたと思っている。

上述したSBの背後を狙う場面では、FWがいることで相手のCBがサイドのカバーに行くことを止めていたかもしれない。

また、北九州のライン間でルリーニャ選手がボールを受けるシーンが目立ったが、それも三木選手が最終ラインをピン留めしていたことが影響していただろう。

そう考えるとこの試合の三木選手の役割はこれまでの小川(航)選手と少し重なる(逆にルリーニャ選手の役割がルキアン選手に近い)。


この役割は三木選手にとって不慣れであったかもしれないが、それにより周りの選手を助けていたのではないだろうか。


その中でも自分の特徴を示せるように次のチャンスを活かしてほしい。





試合展開



続いてもう1つのトピック。

試合展開と書いたが正確に言うと、「これまでの試合から予想される今後の試合展開」である。



ここまでの戦いを振り返ると、京都戦以降、磐田は深さを取ることを意識するようになった。


深さを取るようになった理由はチームにしか分からないが、深さを取った方がよいという考察は京都戦のレビューで記載しているので、お時間があればこちらを。


磐田がどのように深さを取るようになったかというと、ロングボールの積極利用である。

これにより相手を押し下げることに成功すると、磐田の形である「サイドに揺さぶりながら隙を生み出し素早く攻める」フェーズへと移行する。




北九州戦も多分に漏れず、前半はロングボールや①八田選手からのパントキックなど速い展開が目立ち、後半になると相手を押し込むことができていた。

相手が前から来るのであれば押し下げて主導権を握ったという点で、理想的な展開だったのではないかと思う。

北九州が前に出られなくなった要因は前節とスタメンを変更しなかった影響もあったのだろうが。


DF6 岡村 和哉 選手試合後コメント(公式HPより)

Q:全体的に途中からプレスの効きが悪くなりましたが、暑さのせいが大きかったんでしょうか?それともジュビロ磐田のパス回しによるところでしょうか。
A:両方あると思うんですけど、やっぱり一番は自分たちに問題があるかなという風に思っていて。後ろからの押し上げも遅くなっていったし、いつもの勢いがなく、自分たちが今までやってきたプレスがかからなくなってきて。自分たちも分かっているんですけど、なかなかそこを絞らせてもらえなかったというのが一番です。
なんでそうなったかと言うと、暑さもあったんじゃないかなというのもありますし、もちろん磐田さんがうまかったというのもあります。


ロングボールが増えることは相手ボールになる機会が増えることを意味し、全体的に間延びする可能性があるのでピンチを招く機会も増えるだろう。

その心づもりを持ったうえで試合を見るとハラハラドキドキが少し軽減されるかもしれないし、されないかもしれない。


終わりに
〜ほんとうの自力〜


先ほど僕は、
押し込むことに成功すると、磐田の形である「サイドに揺さぶりながら隙を生み出し素早く攻める」フェーズへと移行する。と記載した。


では成功しない場合はどうなるのか。

その典型例が第5節の福岡戦だと思う。この試合は自分たちの時間を作ることができず、アップテンポな相手の展開に自ら入り込んでしまったと感じている。

そのような相手と次に戦うとき、本当の地力が試されるのではないだろうか(おわり)。



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