【PickUpMatch】#001.浦和レッズvs.FC東京
開幕戦の注目カードは埼玉スタジアム2002で行われた浦和レッズ対FC東京。
今季から戦術家リカルドロドリゲスを招聘し、大きく改革のシーズンも迎えるレッズと昨年ルヴァン杯を制し、長谷川健太監督の元積み上げが結果につながってきたFC東京の一戦だ。
本記事では、今季新加入した両クラブの2人に着目しながら、各クラブの目指すものと今後の展望について僕なりに考察してみたい。
浦和レッズからは、FC琉球から加入した18番小泉佳穂(よしお)。
なかなかキャンプ時の情報が表に出てこない中で、唯一確認できたチームが発信するYouTubeの練習動画を見て、小泉の充実した表情から「まさか」とか思っていたが、いきなりの先発抜擢とは驚いた。
リカルドロドリゲスの目指すサッカーと小泉の特徴が一致する形だと思うし、今後も期待が持てそうである。
↓ちなみに、充実していると感じた表情はこちら。(練習試合で得点を取った後のインタビューシーンだからそりゃいい表情するか、、笑)
一方、FC東京からは今季モンテディオ山形から加入した渡邊凌磨だ。
FC東京は長谷川監督が厳しく情報流出にも気を配っているのかまったく情報が確認できなかった。
開幕戦前日か二日前に、凌磨が先発の可能性というのをTwitterで発見し、すげえと思ったのは記憶に新しい。
個の能力が高く、特にある程度のレンジであれば持ち前のシュート力で難なくゴールを決めてしまう彼は、FC東京強力3トップの一角に君臨するだけの力は十二分にあると思う。
Topic①:監督の目指すスタイルを体現
開幕戦は、相手の戦い方や戦術に関する情報がないのは私たち一般人同様、プロサッカークラブも同じだ。
だからこそ、チームとしての戦い方やキャンプ中の積み上げが色濃く反映される。この2チームももちろん例外ではない。
こうも監督で生まれ変わるかという印象は浦和レッズだ。
球際の強さと守備の強度を個のスキルと勢いに任せない緻密な設計があり、奪われた後のプレスにはリカルドロドリゲスならではのこだわりが見られた。
数試合見ないと何とも言えない部分だけど、こと開幕戦においては奪われた瞬間のプレスはボールホルダーに対し囲い込み包み込むような守備を見せていた。
4-2-3-1の布陣のメリットを最大限に活かし、ボールに対して常に一定数の人数がプレスをかけられる。囲うようにボールホルダーにプレスをかけるため、逃げ道がなくボールロストが増える。奪われた瞬間こそ中盤で強度を高めるのだ。
そしてこの戦い方の中心となっていたのこそ、言うまでもなく小泉佳穂なのだ。
一方、アウェーチーム、FC東京に話を移そう。長谷川健太監督体制となり成熟期を迎えつつあるチームだが、メンバー構成を見ると若手からベテランまでバランスの良い陣容になっている。
昨年までは相手のスピードを出来るだけ高めず、相手が出てきたところを強力3トップでショートカウンターを仕留めるといったスタイルであったが、今季は前から高い位置でプレスをかけショートカウンターを陥れることにも取り組んでいるように映った。
長谷川健太体制4シーズン目、悲願のJ1タイトルに向け、新たな守備戦術にも取り組んでいるように見受けられた。
Topic②:互いに訪れた見せ場
前半6分早速決定機が訪れる。中盤のプレスから左サイドバックの山中がダイレクトで小泉にパス、それを右足で難なくコントロールし前を向くと前線で待つ杉本に絶妙なスルーパスを通した。
ファーストコントロールからラストパスまでのスムーズな動作は、スタジアムの時間を一瞬止めるには十分であり、新生浦和レッズのトップ下に名乗りをあげる瞬間だったと思う。
FC東京の23番渡邊凌磨も続く9分、一瞬の身のこなしで相手ディフェンダーと入れ替わる。
この選手の特徴の一つだと思うが、ボールに触れず身のこなしひとつで相手のバランスを崩す能力は天賦の才能を感じる。
このプレー後はクロスを選択したが、相手を抜き去る(背中に入り切る)、クロスボールの種類の多様さなどがレパートリーとして増え始めると手をつけられない選手になるような気がする。
Topic③:攻守の切り替えを担うスイッチャーとファーストディフェンダーとしての信頼の厚さ
今シーズンのレッズは、ボールを握りゲームをコントロールすることを目指しているが、その際重要になるのは「どれだけボールを持っている時間を長くするか」≒「失ったボールをいかにはやく奪い返せるか」だ。
すなわち、強度高く切り替えを高いレベルで行わなければならない。驚いたのは、そのスイッチの中心に佳穂がいたことだ。
もちろん、現状体で当たり負けしたり、惜しいけどマイボールにしきれないというシーンがないわけでない。でも、持ち前のゲームに溶け込む力と攻守両面においてふわっと現れる絶妙なポジショニングは真価を発揮してた。
(琉球時代に小野伸二選手とプレーしたのがもしや良かったのか?)
一方、渡邊凌磨は完全にFC東京の守備のスイッチの入れ役だった。
明確にボランチ(中)のパスコースを切りながら、相手DFにプレスをかけて、外に追い出す守備は後ろの選手の予測のためのパスコース限定に一役買っていた。
厳格な長谷川監督の元で、守備で信頼をされてスタメンに抜擢された凌磨の未来はきっと明るい。そもそも攻撃で違いを生み出せる選手なのだ。早いところJ1で得点できれば、おそらく簡単に二桁得点取っちゃうだろう。
そりゃ当たり前だが、開幕戦は凌磨もプレーに硬さがあった。硬くなるとボールを持っているときに顎が上がるのだ。だからわかりやすい。
球際に槙野選手にもっとあたりに行っていいし、ピッチ上でもっともっと主役になれるプレイヤーだ。
すぐに週末はやってくる。社会人でさえそう思うのだから、選手はもっとだろう。
ゆっくり焦らずにチームの中心として結果を残し続けてくれたら嬉しい。とても頑張れ!
それでは。