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【PickUpMatch】#016.サイドは攻略の鍵か。奮闘した湘南と最後は個の力。

 昨シーズン川崎フロンターレの優勝がかかった大一番大分トリニータ戦に敗れてから目下18試合負けなしを継続中。
 破格の強さを誇る川崎フロンターレは敵地湘南ベルマーレに乗り込んだミッドウィーク開催のゲームをマッチレビュー。
 結果こそ1-1の引き分けだったが、湘南ベルマーレが勝利まであと一歩に迫る好ゲームだった。

Topic①:川崎攻略の鍵か。サイドの圧力。

 今シーズン、名古屋グランパスが魅せた戦いと同様。フロンターレを倒すにはサイドが一つのキーポイントになる。
※グランパス戦のレビューは下記参照。

 今節湘南ベルマーレは3-4-3の布陣を採用し、サイドには高橋諒と今シーズン初スタメンの畑大雅を抜擢した。
 アグレッシブなプレッシングとサイドの2枚を活用した徹底したクロスに活路を見出すプラン。最前線にウェリントンを置くことでターゲットを明確にし、はっきりとしたプレーを徹底させた。

 川崎フロンターレのようにトランジション局面での反応がはやく、選手同士の良いクラブに対して、中途半端にボールロストを繰り返すことは命取りとなる。
 攻めに転じた瞬間にボールを失えば、バランスを崩したディフェンス陣の傷を早急に使われてしまう可能性が高まるのだ。

 そして、この戦い方が奏功することになる。前半フロンターレは30分のシーンなど「らしい」形こそ作ったものの、得点を奪うには至らなかった。
 もっといえば、なんかパッとしない上手くいかないと感じるようなゲームだっただろう。ハームタイム、ロッカールームに戻る表情はなにか苦虫を噛み潰したようだった。

Topic②:雰囲気を察した名将。転がった湘南の先制ゴール。

 鬼木監督は意思決定が早い。これまでのゲームも前半なにかうまくいかないと感じ取れば、後半頭から選手を入れ替え立て直しを図ってきた。
 それだけの選手層を持っているし、日頃からトレーニングを積んでいるということなのだが。
 この日は後半スタートでは交代せず、前半と同じメンバーがピッチに戻ってきたのである。
 「現メンバーで流れを変えてみろ。」そんなメッセージが鬼木監督から発せられているかのようであった。

 ただサッカーとはとても難しい。複雑にいろんな要素が絡み合う。後半になってもフロンターレの停滞は変わらなかった。サイドの圧力を受け、中盤はほぼ互角。湘南ベルマーレのハードワークがかなり効いていた。

 ベンチが慌ただしくなった。バタバタしていた。三苫と橘田が急いで準備するよう求められ、家長にも声がかかった。
 そんな中、先制点がうまれた。ベルマーレの背番号10山田が貴重な得点をヘディングで奪った。

 相手の長所を消すこと。つまりサイドバックの上がりを抑え、攻撃時の厚みを減らし、奪ったボールをより前線に運び切る流れを作った。
 繰り返し続けた結果、後半中盤に差し掛かる前に湘南ベルマーレは一歩前に出たのだ。

Topic③:光った個の力。救った2人のアイディア。

 ただ、一失点した川崎フロンターレは凄かった。まず、鬼木監督の形相が「鬼」そのものなのだ。あれだけ勝負に執着する監督がいまのフロンターレを作っていると言っても過言ではない。

 左サイドに三苫、右サイドに家長が入るとゲームは川崎ペースの展開に。
 家長は右でタメを作るだけでなく、自らボールを運びゴールに迫ってしまう。三苫は縦への仕掛けを伺いつつ、中へのパスコースを探る。全然にレアンドロダミアンが入ってからは湘南ベルマーレの最終ラインは引き込まざるを得なかった。

 そしてついにその瞬間が訪れる。

 再三再四サイドへの上がりを止められた山根視木はインナーで関わることを選択した。次の瞬間、敵のマークが一瞬ずれた。バイタルに侵入した山根はワンタッチでダミアンの足元へパスを送る。ここからは説明不要かもだが、ダミアンはつま先でボールを浮かすと見事なバイシクルショットを突き刺した。

 19戦無敗。フロンターレの強さをまた見せられた結果となった。

 次戦はホーム鹿島アントラーズ戦だ。J1新記録となる20試合無敗をかけた戦いであり、鬼木監督通算100勝をかけた戦い(史上最速らしい)でもある。

 僕も現地に赴くことにしよう。
 それでは。

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