【PickUpMatch】#009. 徹底した中締め。躍動のヒーロー候補。敵地で貴重な勝ち点1。
J1昇格チームの好調はリーグ全体を活性化させ、より面白くさせる。
今シーズンJ1に昇格した徳島ヴォルティス、アビスパ福岡の両チームはJ2時代からのチームの積み上げを見事にJ1でも示しており、単に調子が良いでは片づけることのできない充実っぷりを見せている。
今節はそんな好調のアビスパ福岡が敵地セレッソ大阪に乗り込んだゲームをレビューしていこう。
Topic①:志知の退場も明確なビジョンで堅守を遂行
試合は思わぬ形で様相を変える。
前半14分、福岡の左サイドバック志知のタックルがVARチェックにより一発レッドカードの判定。(足裏を見せ、チャレンジしてしまったことで危険なプレーとなってしまった)
これにより、残り75分を福岡は一人少ない状態でプレーすることを強いられてしまったのだ。
一瞬アビスパ福岡にバタつきも見られたが、失点をせずに耐えると、飲水タイムに長谷部監督から指示が飛んだ。
「テーマはブルーノメンデス・ワイドの2枚(吉岡・金森)の3人で攻める。あとは行くところ行かないところを明確に守備を固めよう」と。
中を締め、中盤をコンパクトに保つと、サイドからのクロスにはドウグラスグローリと奈良竜樹の対人に強い2枚が跳ね返し続けた。
セレッソ大阪がなかなか西川潤のところでアクセントをつけられなかったという点はあったにせよ、1人少ない中で簡単に失点しなかった福岡の守備は賞賛すべきだ。
Topic②:吉岡雅和を知ってる!?
この記事で僕が最も書きたかったのがこのパートだ。
この日先制点を左足で奪った大卒4年目のプレイヤー。僕は彼が駒澤大学時代から知ってるんだけど、走力、技術レベルがピカイチなのだ。
このゲームでも、フォワードの一角として攻撃時にはゴール前まで顔を出し、守備の時にはセレッソの丸山、清武ラインにアプローチをかけ続けた。一人少ないことを感じさせなかった福岡の守備には彼の存在があったことも一つの要因だったように思える。
特筆すべきは、65分のシーン。
長谷部監督の言っていたカウンターの形をチームとして作り出す。吉岡、ブルーノメンデス、金森が猛烈に前線に上がり決定的なシーンを作った。これで得たコーナーから得点が生まれたことも彼含めた前線のクオリティがチームを救ったと言える。
Topic③:負けゲームを引き分けに
負けゲームを引き分けにしたり、引き分けのゲームを勝ちにできるチームか否かは、シーズン終了時に大きな差になって現れる。
よくあと一点が、あと一歩がといったコメントや勝てたゲームだったという言葉も目にするが、この差がとてつもなく大きい。
88分福岡はこの日最大の瞬間を迎える。エミルサロモンソンからファンマのヘディングシュート。
対空時間の長い一撃は、キーパーの手をかすめながらゴール右隅に吸い込まれた。
一人少ないゲームで、セレッソにゴラッソが生まれ万事休すと思われたゲーム。アウェーの地大阪で勝ち点1を持ち帰れた功績は今後のシーズンに大きな影響を与えるはずだ。
今後もこの福岡の躍進から目が離せない。
それでは。