re:Loop ※ネタバレあり（2023.6.23）

　Loop再現ツアー２日目で訪れたKT Zepp Yokohamaは、ACIDMAN初の神奈川県での単独公演の舞台となった。彼らほどのキャリアがありながら初ということは、池袋や目黒の壁の高さに驚かされる。

　創再現に続く自身の過去のアルバムを再現するツアーだが、一度成功したことを臆面なく繰り返し、そして堂々と成功に導く大木伸夫の胆力と手腕には恐れ入る。ANTHOLOGY、SAI、THIS IS ACIDMANなど、過去の栄光に浸ることなくどんどん書き換えて、しかも良くなっていく。
　もちろん単なる焼き直しではない。例えば創再現は、当時のセットリストを再現したが今回のLoopは違う。ツアータイトルもre:Loopだ。生まれ変わりを繰り返すように、そしてどんどん新しくなっていくように、新旧の楽曲が組み込まれたセットリストとなった。
　唐突に最新アルバムの曲が入ってきても違和感がないのが、ACIDMANがブレていないことの証明なのだろうと思う。

　１４時半ごろ会場に着いたが、ファンクラブ限定のピンクTシャツは完売していた。他の希望したものは買えたが、どうやら軒並み完売したらしい。SAIで在庫を抱えた社長が数を絞った、わけではないとMCで言っていた。
　信者たちは信じるものの前では従順に財布の紐を緩めることを、教祖はもう一度思い出してほしい。ちなみに僕はなんちゃらペイのクレカ払いなので実質無料である。

　今回の立ち位置はサトマ側だった。
　体を揺らすか縦ノリするかは、もちろん曲によって違うのだが、ふと顔を上げるとサトマも同じ動きをしている。グルーヴを生んでいるベーシストなんだから当然だと言われれば確かにそうだ。しかし他のバンドではあまりこうならない。もしかするとサトマの一部は観客側にいるのではないか。
　佐藤くんは本当に何も考えずボーッとできるみたいなことを大木さんがかつて言っていた。爆笑問題の太田さんも田中さんをそんなふうに評したことがあった。強烈な個性を支えるのもまた、偉大なる個性だ。
　サトマが話し始めたときの歓声がすべてを物語っている。ちなみに一悟さんは冒頭のような話を駄洒落なくしていた。

　ACIDMANを追いかけ始めたのが遅く、Loopの頃の姿は残念ながら知らない。138億年のうちの20年だからとかいう話ではなく、それでもいいかと思えてしまう。
　いまここにいるACIDMANが最高で、それは今後も変わらないだろうから、次は羽田に行く。