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個人にお金を貸すときは,どこまで審査をするべきか?返済してこないならどうすれば良いか?

 千円,五千円,人によっては一万円くらいなら気前よく金を貸すかも知れない。しかし五万,十万円,それ以上になってくると,当然貸し手としては「本当にこの人は金を返してくれるのだろうか」という懸念がでてくる。
 そこで,個人ができる相手に対する信用調査の限界と,合法性を考えるてみる。

 ※重要事項
 本気でやるならこの記事通りにしないで弁護士に事前にプランを話してください。わからないことは弁護士に聞いて進めてください。筆者は弁護士でも司法書士でもありません。
 この記事通りにやった結果どうなっても責任が取れないからです。


審査の実施前に

1.業として行わない(大前提,あたりまえ)

 当然ながら,反復性があり,見ず知らずの第三者に金を貸しているとなれば,サラ金と変わらなくなる。そうなると無許可での融資を行っていたとして貸金業法に反する可能性がある。
 貸すのであれば精々親族か,親しい友人までにしておくべきだろう。

2.個人情報の取得使用に同意して貰う

 審査にあたっては次の情報を取得することになる。
 1) 氏名
 2) 住所
 3) 年齢
 4) 生年月日
 5) 勤務先
 6) 電話番号
 7) 電子メールアドレス
 8) LINEのID
 9) 運転免許証の写し
 10) 3ヶ月以内の住民票の写し
 11) 預金通帳の写し
 12) 内定通知書や雇用契約書の写し(入社前)

 また,審査の中で本人と連帯保証人の,勤務先への在籍確認までする場合,それに関する同意も取得するべきだろう。連帯保証人を立ててもらうのなら,連帯保証人に対しても渡してもらう。2通を発行し各1通が保管するようにする。
 当然,自筆で記名,押印してもらえば後々争いになった際にこちらの言い訳は立つ。
 口頭でも同意は得られるものの,書面で残さないと絶対に「言った・言わない」のトラブルに発展する。

3.返ってこない前提で貸す

 そもそも預貯金なく金を貸してほしいと言ってきているということは,なんらかの事情があると思ったほうがいい。そしてそのような相手がお金を期日通りに返してくれるとは思わないほうが良い。

個人でやれる審査を考える

1.免許証と住民票の記載事項との相違がないか

 住民票と運転免許証の記載事項(氏名・年齢・住所)を照らし合わせる。相違があるならうそをついている可能性が高い。

2.勤務先への在籍確認(または内定確認)

 個人情報を取得し使用する行為に同意してもらっているのであれば在籍確認を行う。
 この際に注意すべきことは
 1)必要以上のことをいわない
 2)偽名を使わない
 3)(口が裂けても)借金の審査とはいわない
 ことだろう。

3.預貯金の残高の確認

 本人と,本人が支払えない場合親族に支払えるだけの資力があるかを確認するため,預貯金残高は絶対に確認すべきだろう。直近3ヶ月程度の出入金の明細も見ておいたほうが良いかも知れない。

必ずやるべきこと

1.金銭消費貸借契約書,または借用書の作成

 インターネットに雛形は転がっているので,まず自分なりに雛形を作る。
 当然利息制限法などの法律や,期限の利益の喪失などややこしい話が出てくるので,可能であれば弁護士の無料相談などを活用するか,世話になっている弁護士がいればその弁護士に作成を頼むのも一つだろう。
 当然,サラ金を上回るような金利を設定したり,借り手にとって著しく不利となる条件を設定すれば,それは法に反し,貸し手が悪者になる可能性が出てくる。

2.印鑑証明書の取得

 契約書に押印してもらう印鑑が三文判であるか確認するためにも,印鑑証明は送ってもらったほうがいい。

3.契約書(借用書)の取り交わし

 各書類が揃ったら書面を取り交わす。対面が望ましいが,不可能なら配達証明付きの郵便などで送り,契約書などを各2通ずつ送り,うち1通を返送して貰う。

3.貸付の実行

 これらの情報をすべて取得し審査し熟考し,契約書の作成を終え,貸すに値すると判断したら貸付を実施する。
 貸付を行った証拠を残すためにも可能な限り手渡しで行い,受領証でも作って署名,押印させたほうがよいだろう。

金を返してくれない

 まず間違いなく,初回返済日に入金がされるとは思えない。なので回収にむけて動いていく。

1.電話をかけ,メールを送る

 当然ながら脅迫的なことを書いたりしてはいけない。あくまで事務的な綴りで「契約書通りの返済がされていないので,〇日までに入金してください」と伝える。
 当然,電話をした履歴は音声で残し,送信した電子メールは保存しておく。

2.(音信不通の場合)配達証明付き手紙を送る

 相手はどうせ応答しない。ので配達証明付きで督促状を送る。
 郵便局から出した明細などはすべて保管し,管理票などを作っておくことが望ましい。

3.(催促に応じない場合)連帯保証人にへの連絡

 電話,電子メールで1日2回程度,郵送で2〜3回催促をしても返済もせず連絡もしてこないなら連帯保証人に連絡する。

4.訴訟を起こす

 相手が一度も支払をせず,返済の意図がないのであれば訴訟を提起する。

5.(一度も返済してこない場合)刑事告訴する

 かなりハードルが高い。警察は刑事告訴を基本的に受け取らないが,全く返済の意図がなく,本人からも返す気がないとでも言質が取れるのであれば,詐欺容疑で刑事告訴する。

面倒くさいので貸さないほうが良い

 ここまで書いておきながらなんだが,結論としては課さないほうが良いだろう。そもそも,マトモな相手であれば個人間で借りるのに免許住民票預金残高の写しまで取るのぉ!?となるだろう。
 おそらく相手から「お前なんかから借りねえよ!」となる。縁も切れるだろうが,そんな相手とつきあってもロクなことはないのでその機会に縁切りすれば良い。

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