51%紙なら紙マークをつけてよいのか、リサイクルを阻害するにもかかわらず紙マークをつけてよいのか
和久傳の菓子「西湖」を友人からいただく。
いかにも涼しげで、とてもおいしいお菓子だと思います。
しかし。
個包装に紙マークが印刷されており、「この袋は紙としてお取り扱い頂けます」とも記載されている。
が、みたところ、触ったところ、破ってみたところ、その内側はどう考えてもプラスチック。調べてみると、王子グループの王子エフテックス株式会社の製品で、「紙製バリア素材『シルビオクリア』」というものらしい。和久傳に採用された旨、プレスリリースを出している。
どのようなものかといえば、紙とOPP(Oriented Polypropylene/二軸延伸ポリプロピレン)つまりプラスチックを合わせた複合素材。詳細はこちら。
「高透明紙を使用することで、 減プラに貢献できます。 中身がみえやすく紙マークの付与が可能な包材としてご使用いただけます」とある。プラスックをちょっと減らせるし、サステナブル感・やってます感だせますよ、ということ。
しかしながら、51%紙だからといって、紙としてリサイクルできるわけではない。ほとんどの自治体がこのような紙は再生できないものとしてリストアップしているし、多くの製紙会社がこのような材料を受け入れることができない。とはいえ紙マークが記載されているのだから、当然古紙原料に入ってくる。だからそれらは再生紙の工場を無駄に通り、異物として吐き出され、結局産業廃棄物として廃棄される。ごくまれに環境に配慮した製紙工場ではそれらを燃料にまわす場合もある。が、基本的に異物が多いことは、運搬や廃棄に無駄なコストとなり(もちろんエネルギーも)、リサイクルを阻害する一因になる。
そのようなことをわかっていながら、メーカーは51%紙だから、紙マークをつけてくる。確信犯。ほぼグリーンウォッシュだ。さらにそのセールストークにのっかって無邪気に「この袋は紙としてお取り扱い頂けます」と記載してしまう和久傳の浅はかさといったら。
シルビオシリーズは、「サステナブルパッケージ」ということになっている。その中には、4種類の素材があって、なかにはプラスチックを使用せず、水系塗工技術によってバリア性を持たせたものもある。
環境負荷の低いパッケージはかなり進化してる。以下のように、さまざまな企業がしのぎを削っており、期待がもてる。
そんな中に、『シルビオクリア』のような製品を紛れ込ませるのは不誠実。複合素材はリサイクルが難しい。
単一素材を使うこと=モノマテリアル化して、質の高いリサイクルすることが求められる昨今、このような製品を新たに生み出し、サステナブルという衣をまとわせて、世に出していくことは害悪でしかない。単一素材、100%プラスチックを薄肉化したほうがどれだけ誠実か。
受け取る側はくれぐれも「紙になったんだ、いいね」などと安易に騙されないようにしたい。現行のルール(容器包装リサイクル法と資源有効利用促進法)のアップデートも必要。