お前のせい
ガチャ。
トイレに行こうと部屋を出る。向こうから、お風呂を上がった焚石が歩いてくる。
首に巻いたタイルで長い髪を拭いながらオレを見る。視線を感じながら焚石の前を通り過ぎようとした。が、あまりの圧に見上げてしまった。
焚石もオレを見下ろして立ち止まる。いつもの無表情ではあるものの、「なんだ」とでも言いたげだ。
オレは早くこの場から立ち去りたいのに動けない。オレの目は焚石の胸元に釘付けになっていたから。
緩く結んだバスローブからチラリと見える胸筋。髪から滴る水滴が白い肌をつたって流れる。
何か見てはいけないものを見てしまった気分になり、顔が熱くなる。
オレは無理矢理目を逸らしその場を離れようとした。
それを拒むように焚石がオレの前に立ちはだかる。
「はぁっ!?なんだよ……」
焚石の体をグッと押してみたが動かない。
おそるおそる顔を見上げると焚石が不思議そうにオレを見ていた。
そっと手を伸ばしオレの顔に触れる。
「熱い」
「あぁ💢誰のせいだよ……」
そう言って、オレは焚石のバスローブが開いた胸元をグイッと閉じた。
そして、そのままトイレに駆け込んだ。