実はふつうに勉強できる桜
オレはずっと一人で生きてきた。人に頼らず自分で自分のことはする。これまで一人暮らしでやってきたから、家事はもう慣れた。二日に一回洗濯をして、毎日風呂洗いをする。掃除機は週一でかける。自炊はしないので洗い物はほとんどしない。
勉強だってそこそこできる。教科書を読めば大体のことは理解できる。課題はその日のうちに済ます。
放課後の見回りが終わり家に着く。鍵のかかっていない扉を開け、中に入る。楡井も続いて入ってくる。
「お邪魔しまーす!」
「おまえ、マジで来たのかよ」
「えー、いいじゃないですか。
桜さん家、久しぶりですもん」
「まー、いいけど。何もねーぞ。」
オレは早速今日の課題に取りかかる。まずは英語から。明日の授業でやる英文をノートに書きとり、和訳していく。英語は結構好きなほうだ。梶がよく洋楽を聴いていて、オレにも度々聴かせてくれる。歌詞の意味はわからないが、テンポがよくて聴き心地がいい。
「桜さんって、意外と真面目ですよね。
帰ってすぐ課題をやるなんて。
オレ、感心してます!」
「うっせーな。
家帰っても課題くらいしかやることねーんだよ。」
「ははは。桜さんらしいっすね」
「はぁ?💢どういう意味だよ」
「まあまあまあ。」
「てか桜さん、ここスペル間違ってますよ」
「”cherry blossoms”の “blossom”は、”s”が2つです。もぅ〜自分の名前なんだから、しっかり覚えてくださいよ」
「あぁ💢関係ねーだろ」
「てか、おまえは課題やらねーのかよ?」
「あ、オレはもう終わりました。昼休みに時間があったので、ぱぱっと済ましました。」
「何だよ!終わってんのかよ。マジでここに何しに来たんだか…」
「そりゃ、もちろん、桜さんに教えるためです!わからないところは何でも聞いてくださいね。
「まあ、桜さん結構勉強できますし、大丈夫そうですけど。」
「まあな」