再会

柊が風鈴に戻ってから、敵は獅子頭連によって次々と倒されていた。
最後の一人を倒し終えると、獅子頭連の人たちはみんなして拳を突き上げて歓声を上げた。
楠見が彼らの様子を見ていると、背の高い二人がこちらに歩いて来た。
「佐狐……」
楠見の隣で横になっていた梶が名前を呼ぶと、男の一人が梶の前にしゃがんだ。
「酷くやられたな」
佐狐と呼ばれた男が口を開くと、梶はふっと小さく笑った。
「柊さんが来てくれて助かった。お前も来てくれてありがとな…」
お礼を言われた佐狐はプイッと目を逸らした。
横で見ていた榎本と楠見は、二人の雰囲気に気を遣って立ち上がり、少し離れた所に移動した。
佐狐と一緒にいたもう一人の男も楠見たちについて来た。

「オレ、獅子頭連の犬上って言います。よろしくお願いします」
犬上は見た目どおり、元気で明るい声をしていた。
「俺はぁ榎本で、こっちが楠見だ。よろしくなぁ」
楠見がぺこりとお辞儀をすると、犬上は腰をかがめて顔を覗き込んできた。
なんとなく顔が見たいのかなと思い、楠見が自分の前髪を払うとにっこり笑った犬上と目があった。
「あはは、ありがとうございます〜」
愉快に笑う犬上を、楠見と榎本は何だ?と顔を合わせて微笑んだ。

「あの二人って友達なんすか?」
犬上が梶と佐狐の方を見ながら聞いた。
二人は穏やかな雰囲気で何か話しているようだった。
「俺も詳しく知らねえが、柊さんの後輩ってことは共通してるな。梶はずっと柊さんについて来て慕ってるんだぁ」
「あぁ、それなら佐狐さんも同じっすね。佐狐さんも柊さんのこと好きなんっすよ…なのに本人は照れちゃって、ここに来る時だって……」
犬上は佐狐についてペラペラと一人で語り出した。
楠見と榎本は、犬上君も佐狐君のこと大好きなんだなぁと思いながら話を聞いていた。

しばらくして柊が学校から戻って来た。
敵が街から撤退したことを知らされ、あとは梅宮と焚石の決着がつくのを待つだけということになった。
梶と佐狐、そして柊の3人は久しぶりの再会なのか、和やかな空気でしゃべっていた。

全てが終わり、犬上は佐狐と二人で帰り道を歩いた。
「佐狐さん、柊さんとちゃんと話せてよかったっすね」
「‥‥‥まあ、そうだな。ょかった‥‥」
恥ずかしそうに呟いた佐狐の声はしっかりと犬上に届いていた。
「え?」
「‥‥ょかった」
「え?」
「き、聞こえてるだろ!」
「佐狐さん、照れてる」
「う、うるさいな」
拗ねた顔でそっぽを向く佐狐はやっぱり可愛かった。

重症の梶を背中におぶって、柊は帰り道を歩いていた。
その間、梶はずっと黙っているので柊は思わず名前を呼んだ。
「梶?寝てるのか」
「……起きてます」
「眠かったら寝ていいぞ。ちゃんと家まで届けるから」
少し沈黙が流れて梶が口を開く。
「……俺の家ですか?」
「…え?そうだが」
「柊さんの家がいいです」
驚いて言葉が出ないでいると、梶が付け加えるように言った。
「近いですし」
柊は微笑みを浮かべて自宅に向かうことにした。


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