母子家庭

昭和50年代は、母子家庭の子供はクラスに1人いるかいないか、の珍しい存在だった。

そう気がついたのは中1のクラス担任からの
「片親家庭でいじめられたりしていないか?」という、一見優しさの塊であるかのような気遣いの一言から。

片親家庭だという事実なんて、新しいクラスでクラスメイト同士ではそう簡単に知りようがないことなんだけど、担任は新卒の一年目で、受け持ちの子供に気を回そうとする余り、触れなくても良いことに触れたわけだった。

ま、古今東西、教師なんてのは余計なことしかしないものだ、と気がつくのはもっと先のこと。

高校受験の頃には片親家庭であることのデメリットをイヤと言うほど体験するので、その当時の担任の気遣いは無駄ではなかったのは確か。

母子家庭の子は…と一括りに問題視されることはしばしばあったが、当時も今も私自身は思う。


どのクラスメイトにも、ある日突然父親が死ぬ可能性なんていくらでもあるじゃないか?
離別か死別か、は大差ない。
片親家庭を差別する傾向はいつでもあるが、
片親家庭に突如なる可能性だっていつでもあるのだ。

現実に、小学生時代、中学時代、高校時代とクラスメイトの親が死ぬ、という出来事はポツポツあった。

ようこそ、片親家庭の世界へ。

ある日突然片親家庭になった感想は?
どうして嘆くの?
これまで大丈夫だと思ってた、その根拠はなに?お父さんは浮気せずにずっと家にいる、と思ってた?
なんで???
お母さんが死なない、ってどうして思ってたの?

親は自分より先に死ぬ。
必ず片親になる日が来る。
親無しになる日が必ず来る。
そんなの早いか遅いかの違いでしかないのにね。

……これを、中1の時心配してくれた担任に言いたかったけれど、多分言ったら「冷めた変な奴」認定されると思ったから言わずに健気に頑張る感じを出しといた。
私、賢かった笑

片親家庭の子は、今では珍しくなくなった。
子供を連れてまんまと離婚するには?のハウツー本が出るくらいになった。
うふふ、みんなようやく気がついたね。

いまだに片親家庭は…なんて差別したり難色示したりするのは時代遅れか認知機能低下してる人だよ。

親はほぼ、子供より先にいなくなるの。
なぜ気が付かないの??

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