シュナムルさん論文査読へのお礼と正誤訂正
はじめに
ひとつ前に投稿した記事
ですが、当初思っていたよりも多くの方に読んでいただけたようです。ありがとうございます。さらに、いくつかコメントやリアクションをいただきました。とても嬉しく思います。中でも、この分野の第一人者である暇な空白さんに"論文"を査読していただいたのは大いに勉強になりました。
査読レポートへのレスポンス
私自身が書きながら釈然としなかったところ、書く前の情報収集でモヤモヤしていたところに重要な示唆をいくつかいただきました。ありがとうございます。
大学の話
シュナムルさんがたまに投稿する、"まっとうな"就職(活動)に対する怨嗟の念はもっと重たく扱うべきでした。修士卒を自称するのだから、実態との乖離は二段階くらいで(つまり修士卒、修士中退の次で)学部卒だと当たりをつけたのが今思うと早計であったように感じます。学部卒で就活に苦戦し、当初計画とは異なる進路に進むというのもままあることですが、それさえも"常道"として眩しく見えるのなら私の仮定とはあまり整合しません。
記事を書く前の調査段階で、シュナムルさんのブログ
にある記述「大学で山岸常人先生の日本建築史の講義を受講して以来」という文言には私も引っ掛かりを感じていました。しかし、ここでの私は着眼点が"認知プロファイリング"寄りではなく"エビデンス収集"側で、「この講義というのは実在するのか?するとして何年のことか?」という疑問から出発していろいろと調べていました。山岸先生が京大工学研究科で長年教鞭を執られたことはすぐにわかりましたが、当該講義のことはわかりませんでした。もしかすると京都周辺の他大学で開講された集中講義などだったのではないか?とも考えましたが有力な情報は得られませんでした。今はこの講義は京大で普通に開講されていたものだと考えています。
「京大生ではなかったが授業にもぐっていた」という仮説は、確かに諸々の状況を可能な限りうまく説明できるようです。
妻の話
理研エピソード、妻の設定に関しても査読レポートでの説明はスマートな仮説かと思います。別の方が言及されているのを見ましたが、シュナムルさんがインパクトファクターの高くない雑誌の例としてChemistry Lettersを挙げていたことも、この仮説とわりに相性がいいようです。仮に妻が設定通り英国人とすると、いかに英文誌と言えど日本の学会の雑誌を挙げるのは違和感がありました。
今のところは無矛盾なストーリーが構築されていることに満足で、追加の質問等はありません。査読ありがとうございました。
訂正
先の記事に明らかな誤りがあり、読者の方にご指摘いただきました。出版が2006年なので違和感があると述べた『Molecular Motors』ですが、私が見ていたのは電子版の出版年でした。ハードカバーの出版は2003年のようです。教えてくださった方、ありがとうございます。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/book/10.1002/3527601503
上記ウェブページでは2002年初版とありますが、
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/3527601503.fmatter
でfront matterを読むと2003年とあります。First published:12 December 2002とのことで2002年末にプレプリントか何かが出たのでしょうか。いずれにしても(2002年でも2003年でも)、2006年の場合と違って不整合は起きません。
ちなみに『Molecular Motor』編者が書いた同名の論文がNatureにありますが、
これはページ759–765とあるので短いレビュー記事のようです。
おわりに
トピックのアレな性質にも関わらず予想外にいろいろな方に反応していただきました。私の拙い論考めいたものにお付き合いくださった方々にあらためてお礼申し上げます。これからも興味深い新事実が明らかになるのではないかと期待しています。事態を見守りつつ、もうしばらくいろいろと読んだり書いたりしてみようと思います。