歳をとるって、悪くない
いい男になったなぁ...
最近、R–指定を見る度こんな言葉が口から溢れる。
特にラップしてる時以外に感じることが多く、毎度新鮮にそう思う自分に「毎日見てるのに飽きもせずよくもまぁ」と我ながら呆れている。
さて、当然この言葉には外見も含まれている訳だが、じゃあ実際どう良い男になったの?と聞かれると、これがどうにもこうにも言葉にしずらい。
やれ夏毛だ犬だ、ひっつめだふわふわだハーフアップだ。眼鏡だ!カーキだホラーだ、ベストは上州屋だお洒落だ......こんな風に毎度律儀にSNSでファン(私含む)が大騒ぎしているが、こんなのは普通に生きていれば発生するレベルの変化な訳で、なんならそこらへんの市井の男性の方がバリエーションに飛んでいるんじゃないだろうか。
つまり信じられないほど変わらない男なのだ、彼は
ではどうして、私の目には最近変わったと映るのであろうか。考えられる理由は、1つだけ。
結婚したからだ。
これを認識するにあたり嫉妬めいた感情が全くないかといえば嘘になるが、どう考えてもそれしかない。だって明らかに充実したいい顔をしており、誰に聞いたってかなりの確率で「良い人と結ばれたんだなぁ。お幸せに!」と言うに違いない。
ところで、結婚してやけにモテるようになったなんてのは、周りを見渡しても結構あるあるな話だ。
その理由には色々あるだろうけど、1番はおそらく自信。そしてそこから派生する余裕がもたらす大人の色気と、選択をしたという責任感がまとわせる説得力が、人としての奥行きを与えるからじゃないかと思っている。
今どき結婚入籍などしてもしなくても構わないし、相手が異性でも同性でも同い年でも歳の差でも、職業や出身地・仕事もなんだって良いし、生涯パートナーなどいらぬ!だって自由にすれば良いと思うが、それでも。
それでも「1対1という条件下で交わされる生涯契約相手に自分が選ばれた」という事実は、やはり結構幸福なことなんじゃないかな?と私は思う。
彼に話を戻すと、曰くいわゆる普通の生活というやつが苦手で、人からはラップ以外で褒められたことがほとんどなく、自分を許せるのは自分しかいないと己を守って生きてきたという。
そんな彼は、“お世話をしながら子供に生活習慣を身につけさせる“保育士という職に就いていた彼女とはきっと相性がいいはずだし、逆からしたら子供が大好きで底なし沼のように優しい男であるからきっと気も合うだろう。
おっと、ここは余計なお世話か。
今になって過去の写真を見てみると、1-2年くらい前から明らかに顔つきや表情が違うと感じる。それは当然仕事上で認められ成功したことが大きいとは思うが、やっぱりそれだけじゃない。
明らかに美しいのだ。
人は、男も女も老いも若きも関係なく
恋をすると儚くも美しい表情を浮かべる生き物なのだきっと。
さてそんな中、先日AppleMusicからとあるプレイリストが紹介された。それが「CreepyNus スプリングタイム・サウンズ」だ。
CNの2人が春をテーマに選んだリストだそうだが、彼らにとって春とは、厳しい冬を抜け草木が芽吹き鮮やかな花が咲き誇った挙句、鼻歌の一つも歌いたくなるような晴れ晴れとしたものではなく
過去、親しい人たちと訣別し
戦いへの最初の一歩を踏み出す時
大きな夢を必ずものにしてやるという闘志を抱え
夢を掴んだその先をみる覚悟を己に問う時
そして
まだもう少しだけグズグズしていたい
真綿で首を絞めるような、甘美な人生の余白時間
そういうものであるらしい。
そんな、ある意味彼ららしいプレイリストの終盤にこんな2曲が入っていた。
♪ Wnderful Day Fire ball
♪ 残ってる 吉沢嘉代子
ずっと仕事の傍らで音として聴き流していたのに、ある日歌詞が耳に飛び込んできた時があって、その際はびっくりしすぎて携帯を2度見し、トチ狂って再起動したくらいには驚いた。
それでもしばらく呆然とした上で、気がついたら歌詞読みながら泣いてた自分に更に驚いた。
その時の感情は今でもうまく説明できない。
何にそんなに驚いたかというと、彼らの作品にはいわゆるラブソングというものがほとんどない。そんな2人がこんな曲を、こんなど直球ストレートな愛の歌をリストに入れたことが信じられなかった。
今までは苦手で照れくさくて言えなかった愛の言葉を、歳を重ねて沢山いろんな経験をし自信がついたことで素直に表現できるようになったのだとしたら。
だとしたら。
それは、なんて素晴らしいことなんだろうか。
どちらが選んだんだか知らないが、いずれにしても最高じゃないか。歳をとるのってやっぱり悪くないなと久々に思わせてもらったよ、私は。
(とはいえ素直に受け取ればの話。
実は、相手は擬人化したHIPHOPなのかもしれない...なにせ前例があるからな...まぁファンの勝手な妄想だとしても良いのだ。幸せな気分になったから)
そして。
最後をこの曲で締めたあの2人が私は大好きだし、これからもずっと応援していくし、あなた達の夢のその先をほんの一部だけでも一緒に見られたら本望。
♪ 長いこと待っていたんだ ハンバート ハンバート
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