ギニアの結婚式
2019年7月14日(日)
フランス語家庭教師、アミナタさんの結婚式に招待された。モーリタニア生まれのアミナタさんは大学を卒業したばかりの日本語も勉強したことのある女性で、このたびコンピュータエンジニアの男性と結婚することになったという。フランス語はまだ挨拶くらいしかできず不安の方が大きかったが、ギニアで結婚式に行けるとは思っていなかったし、どのように行われるのか興味もあったので出席することにした。
会場はコナクリ市ラトマ区役所。14時からというので一応時間通りに着いたが当人たちの姿が見えず、外は暑いため車中で待機。当日は他の結婚式も何件かあったようで、待っている間、着飾った人たちが次々と到着する。同じような白いベールを被ったイスラム式?ウエディングドレスを着た新婦が家族か友人の車で2、3人来るので、到着したのがアミナタさんかどうか判別するのに苦労する。イスラム教徒は冠婚葬祭をモスクで行うものと思っていたため区役所での挙式は意外であった(宗教的な式はまた別に執り行うのかもしれない)。区役所の別棟にホールがあり、そこに家族や親戚、友人など招待客が集まる。
ラトマ区役所入口
区役所外観(2021年9月撮影)
ずっと注意して見ていたものの、どの花嫁も同じような衣装でいつもより濃いメイク、まだギニア人に見慣れていない状態で彼女を見つけるのはいっそう困難を極めた。およそ1時間後、ようやくアミナタさんが到着。結局、本人が電話をくれた。親の車で来たようである。ギニアには乗車制限がないようで一台の車に乗れるだけ乗る(コロナのため今は乗車制限されているらしい)。さすがにドレスを着たアミナタさんはぎゅうぎゅうの状態で乗ってきたわけではなさそうだった。新郎はおそらく別の車で来ていた。筆者も車外に出て、アミナタさんが向かった区役所の別棟に入る。別棟入口にはたくさんの人だかり。そこで白いドレスに身を包みベールを被った美しいアミナタさんにやっと会え、お祝いの言葉など挨拶。アミナタさんも喜んでくれて、新郎や家族を紹介してくれる。なぜか父親がシャツにジーンズ姿でびっくりしたが、父親だけでなく他にも普段着の人もいれば着飾った人もいて皆それぞれであった。
ホール左手入口から入った部屋は、祭壇はないが教会のように椅子が並べられ、もし黒板があったなら教室のようにも見える。前方には白い布がかけられた巨大なテーブルが置かれ、新郎新婦はそのテーブル正面中央に座り、それぞれ彼らの隣には仲人にあたる人物だろうか、新郎新婦よりは少し年上に見える男女が座る。この2人、新郎新婦に負けないくらいのとても見栄えのする美男美女であった。そして後方の席や大テーブルを囲む形で家族や親戚、友人たち。出席者は全部で20〜30人くらいだったと思う。
白い衣装を着た新郎新婦
手前に登録簿?と書かれた冊子
証明書のようなものを持つ新郎。両隣に証人?の男女
新郎新婦に対面して座ったのはギニア国旗色の襷をかけた進行役の男性。普段着のためか司祭には見えず、手続きに慣れた感じで区役所の職員であろうか。会場が区役所ということもあり、宗教的な儀式ではなく婚姻届を提出するのに証人の前で宣誓を行う、人前式のようでもあった。外で待っている間に何度も見たように、同日、しかもほぼ同時刻に何組もの新郎新婦がやって来たということは、他にも同じようなホールが複数あって、そこで何件か結婚式が行われていたのだろう。
進行役の男性。区役所の職員か
奥に見えるドアが出入口
式はまずこの進行役の男性が挨拶、新郎新婦の紹介、その後金銭支払い(式の途中、お金のやりとりが頻繁にあったが何のお金だったのか不明)、婚姻届?に記入、誓いの言葉、指輪の交換など。約30分という時間でさらりと終わり、お祈りや歌などはなかった。なお、おそらく友人も含むカメラマンたちが3、4人ほど、進行役の後方からずっとビデオカメラやスマートフォンで撮影していた。全体的には結婚式と言っても大変気軽なもので、進行役も皆の前で冗談を交えながら、友人たちも2人をからかうなど、とても和気藹々としたカジュアルな雰囲気であった。異国の、しかも馴染みのないイスラム教の結婚式を想定して緊張していたが全くの取り越し苦労で、たった1人日本人の筆者をとてもあたたかく迎えてくれた。終了後は外に出て皆で写真を撮ったり談笑したりと穏やかな時間が流れた。
自由なスタイルのカメラマンたち
その後、アミナタさんは出産のため家庭教師は終わり筆者もコロナ禍で一時帰国するなど連絡が途絶えてしまったが、家族共に元気で幸せに暮らしていればと願っている。