
ガンダム ジークアクスについて ジオンに甘すぎる世界感 虐殺者を商売のネタにする人々❶
唐突ではありますが、機動戦士Gundam GQuuuuuuXというアニメ作品について触れてみたいと思います。
この作品が面白いであるとか、つまらないという事ではなく
作品の前提となる世界観についてのツッコミです。
ガンダムという作品のジオンという存在
ガンダムという作品については有名なので説明は不要だと思いますが、要はロボットで戦うアニメで最も有名なシリーズです。
ガンダムというロボットもここでは気にしません。
でジオンというのはその作品の初代から敵役で出てきた集団という事になります。
ただ、初代ガンダムというのはそれまでのロボットアニメの敵役が悪の異星人という設定が殆どであったのに対して現実的な軍隊という点で描かれたのが斬新で新しいという評価を受けました。
悪のロボットを倒して終わりでなく、戦争をしていても兵隊そのものが悪人ではなく、ただ国家の命令に従っているだけの同じ人間である―――
というのが基本的なスタイルとして貫かれていました。
が、ここで初代ガンダムの設定と制作側の事情というのが様々な矛盾を生み出す事にもなってゆきます。
❶ジオン軍は同じ地球人ではなく悪の異星人とする案もあった
初代ガンダムが製作・放映されたのは1979年です。
それまでのロボットアニメの影響が強く残っていて、地球人どうしの本格的な戦争を描く作品のノウハウが無かった時代という事もあり、単純な悪の異星人として登場する可能性もありました。

❷弾圧される民衆を解放するという大義名分と矛盾する大量虐殺
ジオン軍が主人公の勢力である地球連邦と戦争する理由は宇宙の移民が不当な弾圧に対抗し独立を目指すという大義名分がありました。
が、そんな物は建前であり、ジオン公国の実質的なトップは大量虐殺もいとわない悪人として設定され、作中の歴史としては同じ宇宙の移民に対して
『数で対抗できないし邪魔だから』という理由で毒ガスによる虐殺を平気で行っています。
ついでのようにコロニー(宇宙空間における巨大生活空間)を地球へ落とし
地球市民も大量虐殺しています。
総計すると実に人類の半数を殺害したという事なので、創作とはいえあまりに人を殺しすぎです。これが悪の異星人のしわざならまだマシだったという
レベル。
これだけ殺人を犯していて、同じ地球人だの戦争で苦悩する人間だのとよく扱えたものです。普通ならジオン軍の人間は憎まれて皆殺しにされてもおかしくありません。
おもちゃを売るアニメと設定の違和感
が、ガンダムという作品、アニメ内ではジオン軍がそんな非道を行う残虐集団という描写は殆どありません。
設定はともかく、ガンダムという作品に出てくるジオン軍と所属する人間は
【主人公のロボットと戦う敵役のロボット乗り】ぐらいの扱いで
『俺たちは敵対する人間の半分を虐殺してしまったんだ!』
などと叫んだり苦悩したりする人間はほぼ出てきません。
対抗する主人公側も
『おまえら人類の半分を殺害するほど犯罪を犯してるんだぞ!
わかっているのか!?』
などと非難する人間がほぼいません。
ある意味当然で、ガンダムという作品は人間が乗るロボットが戦って
それを見た視聴者にプラモデルやおもちゃを買わせるという仕組みで
作られた番組です。

だからあまり複雑な設定を表に出すより
『何か戦っているロボットが格好いいな~僕も買おうかな~』
ぐらいのアニメなのです。
ジオン軍の代表的かつ超有名なキャラクターであるシャア・アズナブルも
何か格好良い仮面をつけたライバルであり【虐殺者の手先】には見えません(まあ、この人も後の作品で性懲りもなく虐殺行為に走るのですが)

別に商売の都合上で仕方ない事かもしれませんが、それにしては裏設定として残酷すぎます。
設定を知った上でガンダムという作品を見ると
『作中の人物には倫理観という物が存在しないのか?』
と感想を抱かざるをえません。
これは結局のところ監督である富野由悠季が想定していた世界感とスポンサーであるバンダイや制作会社であるサンライズの見せたいアニメや商売事情
が決定的にズレているせいで起こった矛盾です。
機動戦士ガンダムでの末路
一応、悪の敵役という事で初めて登場した【機動戦士ガンダム】では
主人公側の軍隊に敗れ、虐殺を主導した指導部は全員死亡し
【ジオン軍】は悪は滅びるという結末を迎えます。
この時点では。
この後の作品でもジオン軍は雨後のタケノコのようにボコボコ湧いてきて
何度も復活してきます・・・全てはガンダムという作品で商売したいという
制作側の都合で。
今回も長くなりそうなので一旦ここまでとします。
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