遊戯王売ります?


❶遊戯王は紙とデジタルの両輪から始まった(2000年代)


あの頃は楽しかった

遊戯王、売ってますか?

昔(20年前)は日本のカードゲームショップといえばまず遊戯王でした。
マジック・ザ・ギャザリングやポケモンカードを売っていて遊戯王OCGを扱っていないカードゲームショップは存在しなかったと言ってよいでしょう。

カードゲームといえば紙です。紙であったというのが正確ですが。
日本のカードゲームの歴史は長いのかもしれませんが、少なくとも社会で爆発的に流行りだしたのは遊戯王OCGからです。
自分が小学生の時は男子が一枚は持っていて当然の遊びのツールとして社会現象を巻き起こしたのです。
高額カードを買い求めたり、カードを交換したり、対戦の大会に参加したり
多くのデュエリストが日々カードを握ってデュエルする光景が日本では普通でした。

一方で2000年代は家庭用ゲーム機が爆発的に進化して、どの家庭にもゲーム機が一台はあって当たり前、TVゲームが売れていた時代でもありました(以降はデジタルゲームと呼称)

当時の日本の遊びはカードとデジタルの二つのゲームがかなりのシェアを占めていたのは統計上から見ても間違いないでしょう。

遊戯王OCGは2000年のギリギリ前に始まったので紙とデジタルの両方が並行して販売されて来ました。

ただしデジタルゲームは一定期間でまとめて収録されるケースが殆どで、リアルタイムにカードプールを更新するのは紙のOCGにしか出来ない事でした。

本来デジタルと紙の媒体で同じカードゲームを展開するのは食い合いが発生するのですが
発足当初はオンラインで対戦する環境が整っていなかった事もあり、カードプールの固定化されたコンピューター戦が基本だったので同時並行しても差別化が図れていました。

ですが時代が進むにつれて構造にも急激な変化が訪れ、パワーバランスも崩れてゆきます。

❷オンラインが紙を侵食する(2010年代)


置いてかないで

劇的に変化が起こるのはオンラインゲームの進化です。

インターネット環境も一家に一台、どころかスマートフォンの普及により一人一台のオンライン環境が手に入るようになると、ゲームもそれに合わせるようになります。

ゲームというより娯楽そのものが急激にデジタル化する時代の波が押し寄せた訳ですが遊戯王でもデュエルリンクスが始まりました。
この時は同じOCGでもルールやカードプールが全然異なるので、全然ベツモノでありまだまだ差別化を計れています。

とはいえ①リアルタイムの更新②対戦相手の確保
という紙媒体での利点をデジタルカードゲームが獲得したという事であり
これは紙との共存が物理的にも心理的にも難しくなってくる段階です。

買い切りのデジタルゲームと違い、リアルタイムでアップデートされるという事はそれだけ継続的に費用をかけ続けなければならないので、ユーザー(デュエリスト)もメーカー(KONAMI)も両立するのは大変です。

特に対戦相手はわざわざ知り合いかカードショップで相手を見つけて時間と場所を合わせる必要のある紙OCGと違い、自宅にいながら、あるいは電車に乗りながらでもマッチングできるので手間と時間が段違いです。

人間は効率の良い方に流れる生き物ですから、同じ費用をかけるならデジタルの方に偏ってしまうものです(まして無課金でも最低限のカードが手に入るので)

メーカーだって【紙を印刷して】【流通させて】
【工場やら配達ドライバーやらカードショップやら】
の複数の手間がかかる紙OCGよりも
【サーバー】と【プログラマー】を確保しておけばOKなデジタルの方がコスト面でも管理面でも楽なハズです
(必要な人種が違うという事でもありますが)

これは別に遊戯王だけではなく他のカードゲームもそうかもしれませんが
単純に『媒体が変化したんですね』と言えない問題を孕んでくるのです。

工場は別のモノを作れば良いでしょう。
ドライバーだって他に運ぶものはあります。
カードショップは・・・放置されていません?

❸コロナ襲来! カードショップは何処へ行く!?(2020年代)


カードショップは不遇である

2020年代に入ると・・・と述べる前にカードやOCGと関係なく天変地異が発生しました。
皆さんご存知コロナショックです。
これは正直、戦争とか大震災とかに匹敵するレベルの災害なので仕方が無いのですが、カードゲームにも致命的な影響をもたらしました。

病気怖い、感染怖いのは当然として【人に会わない】【外に出ない】
のが基本の生活習慣として強制的に身につけさせられました。

会うと広がるのだから会わないのが一番の対策と言えばその通りです。
が!これは紙のカードゲームと致命的に相性が悪いのです!!

会うし、対面するし、カードを触れ合って接触するし、人は集まるし!!!
もはやデュエリスト=感染したい人達のような最悪の組み合わせですね。

一時期カメラで撮影するオンラインデュエルが検討されましたが一般的なデュエリストには負担が大きすぎるのであんまり流行らなかったようです。

一方でオンラインゲームは正に全盛期です。デュエリストの方向性だけでなくやる事が無くなった人がハマり始めるきっかけもあってデュエルリンクスの売り上げにもブーストがかかった事でしょう(正式な数字はともかく)

ここでKONAMIは更なる一手に踏み切ります
【紙のOCGが危機ならルールも同じデジタルオンラインゲームを始めるべきでは?】
マスターデュエルの誕生です
(違法ツールのADSもありましたが競合するので逮捕案件に近い)
実際に売り上げの減少という物理的なダメージを受けるのですからメーカーとしては戦略として間違っていません。
今までリアルなカードゲームで稼いだ資産をデジタルカードゲームに転換すれば少なくとも事業としては生き残れるでしょう。

ですがやっぱりここにもカードショップの存在が考慮されていません。
今までの20年以上のOCGの歴史を続けてこれたのはKONAMIの企業努力だけではありません。
原作者、集英社、テレビ東京、そして何より全国のカードショップがデュエリストの環境を確保し続けてきたからこそ遊戯王は日本の代表するカードゲームを名乗れるのです。

❹君(カードショップ)はどう生きるか

なりふり構っていられない

とはいえ、とはいえです。
時代の変化が押し寄せてきている以上嘆いてばかりもいられません。
【コロナとデジタル化のせいで客が減ったじゃないか!】
【全カード販売会社は補償をしろ!!】
【今まで散々貢献してきたのに使い捨てか】
などと怒ったところで未来はありません。

KONAMIは特にゲームに関して冷たい会社ですが、コロナの責任は無いし小売業は自己責任です
(全国カードショップ連合会でもあるのか知りませんが)

実際にカードショップが潰れたり廃業したりはコロナショック中にニュースでも取り上げられていましたので諦める方が殆どでした。

昨今コロナは収まってきたものの、以前の遊戯王はもう戻ってこないでしょう。
いえはっきり断言してしまうと
KONAMI【紙の遊戯王は廃止します! 理由は採算とれないので】
といつ宣言してもおかしくはありません。

ポケカに切り替える?デュエマがある? 他のカードがあれば選択せざるを得ませんね。

でもやっぱり日本のカードゲームと言えば【遊技王】です。
遊戯王を抜きにして日本のカードゲームを考えるのは無理があります。

何とか遊戯王とカードショップが共存出来るために諦めずに手段を見出したいのです。

ここまでダラダラと述べてきましたが、何を訴えたいか?

【遊戯王が好きだ】【遊戯王は青春時代の相棒】
【遊戯王はコナミだけの物ではない】

という愛着があり、ただ黙ってコナミの方針に従うだけではなく、ユーザーやデュエリストの側からも起こせる行動はいくらでもあるのではないか。

その為に多くの方に問いかけを広げて頂きたいと思います。
ひとまず問題提起としては以上です。



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